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僕は幸せになるために復讐したい!  作者: 雨夜澪良
第一部 一章 平凡な日常
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新しい出会い

「おい、起きろ少年」


 その声に反応して僕の意識は浮上した。意識が完全に覚醒すると見知らぬ男が目に入った。


 僕は布団を握りしめながら壁際の方に行き、警戒態勢に入る。


 ここはどこなんだろうか。こんなところ来た覚えがない。それにこの人誰?


「そんなに警戒しなくても取って食ったりしないから安心しろ。俺たちは倒れているお前を保護しただけだ」


 俺たち?

 僕は疑問に思い、部屋を見渡した。そして金髪ロングで儚げな印象を抱く美女がご飯を食べているのに気づく。


 耳が少しとがっている気がする。コスプレ? それにしてはリアルな耳。


「俺はリンって言う。そしてそこでご飯食べているのはオリヴィアだ。お前の名前は?」


 僕は少し警戒を解く。まだ完全に信じることはできないけどこの人ならきっと悪いようにしない気がした。


「僕はリアンって言います。あの、ここはどこなんでしょうか?」


「その前に倒れていた理由、聞いてもいいか?」


 僕は言うか少し迷ったが、意識を手放す前のことをリンさんに簡潔に話すことに決めた。




「そうか……」


 ある程度簡潔に話すと、リンさんは何かを察した様な顔になった。


「おそらく、リアンはこっちに来てしまったみたいだな」


 こっちに来たとは? 


「どういうことですか?」


 まさか今流行の異世界転移というものなんだろうか。

 オリヴィアさんの耳とか普通じゃない気がするし。

 でも部屋は普通の木を基調とした部屋だし、特に変わった所はない。考えすぎだろうか……。


「ここは同じ地球なんだがなんと言えばいいか――――幻の大陸って聞いたことあるか?」


 幻の大陸? 昔大陸は一つでそこから分かれたって言う話は聞いたことあるけどそういう話かな。でも詳しく知らないや。


「聞いたことないです」


「そうか。昔大陸は一つだったんだが一部の人族がやらかしてな。そのときある能力者たちが大陸を分断したんだ。

 そして今俺たちがいる大陸はリアンがいた大陸からは通常の方法で観測できなくなった。

 だからここはリアンがいた大陸の人たちはほぼ知らない。だが幻の大陸って名前だけは残っている」


 え、じゃあここは異世界じゃない? でも観測できないって話だから異世界と言えなくもない? 

 僕がいた大陸からここが観測できないってことはこっちからは観測できるってこと? つまり、家に帰れる?


「僕、家に帰れますか?」


「帰れるといえば帰れるんだが……」

 

 リンさんは言いにくそうな顔をして曖昧に答える。


 もしかして帰れないパターンですか。帰りたいんですけど?! というか僕をこの大陸に連れてきたの誰? 会ったら文句の一つ言わないと気が済まない。


 そんなことを考えていると、リンさんは意を決したように話し始めた。

 

「帰る方法は主に三つだ。一つ、貿易を担当しているところに就職する。二つ、転移を使える人に頼む。三つ、自分で転移できるようになる」


 どれも現実的じゃない。そもそも転移って何。できる人間なんかいるのだろうか。僕はもちろんできない。てことは残る一つは就職だけど……。身分証も何も今持ってない。無理だな。


 僕は落胆し、肩を落とした。


 一応、リンさんが転移できるか聞くだけ聞いてみよう。


「リンさんは転移できるんですか?」


「いや、できない。できる方が珍しい。それにできる者はとても強くて癖がある者ばかりだな。四天王とかそうだ」


 僕はそれを聞いてさらに肩を落とした。


 また知らないこと出てきた。四天王って何? それよりもこれから先どうしよう。お先真っ暗だよね。本当に僕、運に恵まれていないな。いつものことだけど……。


「そうがっかりするな。何かしらこの国で功績をあげれば報償で転移を頼むこともできると思う。――――とりあえず現実的なこととしては功績をあげることだな」


 功績、功績か。まあとりあえず流れに身を任せるしかないか。


 僕は考えることをやめた。これ以上ネガティブになってもいいことないしね。


「オリヴィア、リアンを見つけてきたのはお前だろ?詳しい事情何か知っていたりするか?」


 オリヴィアさんはご飯を食べる手を止めリンさんの質問に答えた。


「知らない。ただ道で倒れていたのを拾っただけ」


 そう言うとまたご飯を食べ始めた。さっきからものすごい食べてる。細いのにあの量、どこに入ってるんだろうか。


 そういえばさっき話していないことがあったんだった。たいしたことじゃないんだろうけど……


 僕が襲われた時、日和さんは銀髪の女性に向かって白い悪魔って言ってた。白い悪魔って何か意味があるのか一応、聞いてみよう。


「リンさん、僕が襲われた時銀髪の女性がナイフからかばってくれたって言いましたよね」


「そうだな」


「そのとき日和さんが銀髪の女性に向かって白い悪魔って言っていたんですけど何か知っていますか?」


 リンさんの動きが固まる。


 あれ、どうしたんだろう。何か言ってはいけないことを言ってしまったんだろうか。


「本当に白い悪魔って言っていたのか?」


「そうですけど」


「その人はおそらく一部の地域で懸賞金がかけられている人だ。

 何をやらかしたのかまでは分からないが相当の手練れだって話だ。そして遭遇したら高確率で命はないっていう噂がある。どこまで本当かは分からないがな。――とりあえず次会ったら全力で逃げろ」


 もしかして、あのとき僕の体が動かなかったのは、ただ単にびびっていただけだったのか? なんか恥ずかしい。


「分かりました」


 そう言った直後、僕のお腹が鳴ってしまった。

 そういえば僕倒れてから何も食べてないや。外を見てみると明るいし多分次の日になったんだろう。


「とりあえず話は一端ここまでだな。ご飯食べられるか?」


 僕はうなずいて返事をした。


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