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王からの依頼

 宴の次の日のこと。みんなで仲良く談笑していると王の側近が息を切らしながら談話室に走ってきた。


「緊急事態です」


「どうしたんじゃ。そんなに慌てて」


 そんなことを言いつつもデザートを食べるのをやめない王様。


 昨日もケーキたくさん食べてたよね? 気持ち悪くならないのかな。


「デザート食べてる場合ではないですよ! アヴァイル国とシネラリア国が戦争を始めるそうです」


「はぁぁぁぁぁ?!」


 みんなどうしてこんなに驚いてるんだろう。戦争以外でも驚く要素あったのかな?


「リアン兄ちゃんは驚いてないみたいだね?」


「ロジェには言ってなかったね。僕、この世界にきてそんなに経ってないし、よく知らないから実感わかないというか……」


「そっか」


「うん」


 なんかロジェといると空気が穏やかになるというか、ぽかぽかするというか。癒やされるんだよなあ。


「そこ、ほのぼのしない!!」


 なんか側近の人に怒られちゃった。


「すみません」


「でもどうしてアヴァイル国とシネラリア国が戦争を? どう考えてもシネラリア国が勝つし、アヴァイル国にとっては負け戦にしかならないよね? 四天王の縄張り的にアヴァイル国がもらえるって訳じゃないし」


 オリヴィアさんが話を持ってきた王の側近に疑問を呈する。


「そこなんじゃよな」


 王様もオリヴィアさんに同意するように首を傾げた。


 二人の疑問に答えるように側近は


「アヴァイル国の王太子がシネラリア国の王子のつがいに手を出したらしいですよ」


 言った。


「アヴァイル国の王太子と言えばリュカ王子か。そんなまねする坊ちゃんには見えなかったのだがのう」


「そうだよね。だとすると、なにかそうせざる終えないことがあったって考えるのが妥当」


 なんか王様もオリヴィアさんも真剣に話し始めたなあ。僕全然ついていけないや。


「リアン兄ちゃん、僕が説明してあげるよ」


 ロジェ?! そのホワイトボードどこから持ってきたの?! しかもいつの間にか眼鏡かけてるし。


「まずアヴァイル国っていうのはね、人間だけの国なんだよ。それで国力的にも弱々でね。土地も痩せてるから誰も欲しがらない。一応、周辺国と貿易はしているけど魔族の国、魔国とケンカばかりしているから好印象はもたれていないかな」


「へぇ、勉強になります。ロジェ先生!」


「でね、次はシネラリア国なんだけど、この国は獣人の国なんだ。一応他の種族も暮らしているけど獣人が多いかな。

 この世界では通常戦争は起きないんだ。四天王が抑止力になっているっていうのもあるけど基本的にみんな協力して暮らしていこうって考え方だから」


「うん? じゃあなんで戦争が起きてるの?」


「他の国にはバックに四天王がいるんだけどアヴァイル国にはいないんだ。あと魔族の国にもね」


「つまり、抑止力がないから戦争するってこと?」


「まあ、半分正解。今回、戦争が起きるきっかけになったのはシネラリア国の王子のつがいにアヴァイル国の王太子が手を出したことなんだ。

 獣人にとってのつがいは人間で言う恋人とちょっと違っていてね。自分の半身ともいえる存在なんだ。

 つまりね、つがいに手を出すと言うことは王子に手を出すのと同じくらい罪になるんだよ」


「てことは、アヴァイル国になめた態度取られて怒ったってことだよね?」


「まあ、簡単に言えばそういうこと。でも、普通国力差があったら手を出さないよね?」


「そうだね。わざわざ手を出してやられに行きたがる人はいないはずだし。もし、手を出す人がいれば馬鹿しかいないよね?」


「アヴァイル国のリュカ王子なんだけどおじいちゃんとオリヴィア姉ちゃんの話を聞く限り馬鹿ではないみたいなんだよね」


「それが今問題だってこと? でも今の話的に戦争が始まったってすぐ終わるんだから別に僕たち関係ないんじゃない?」


「そうなんだけど……。この件には裏があるんじゃないかっておじいちゃんとオリヴィア姉ちゃんは考えてるみたい」



「ふむふむ、僕には手に負えない案件ってことだね」


 僕は顎に手を当て、首を上下に振った。


 説明してもらってなんだけど、僕には関係ない話だよね。はっきり言ってへぇ~そうなんだとしか思わないし。


「そうかも知れないけど、関わることになりそうだよ?」


「えっ、なんで?!」


「だって、今オリヴィア姉ちゃんにおじいちゃんが調べてくるよう依頼したみたいだし」


「僕、帰っていいかな?」


 僕は素早く帰り支度してこっそり帰ろうとしたがオリヴィアさんに帰る準備しているの見られてた。なんかじっと見てるし……。帰りづらいし気まずい。


 この空気で出て行く勇気のなかった僕は大人しく元いた席に戻るのだった。


「じゃあ、よろしくのう。お前さんたち。無事帰ってくるんじゃよ。帰ってきたら焼き肉パーティーするのでな」


 焼き肉!! やった!! 焼き肉パーティー。


 単純な僕は結局、焼肉パーティーという言葉に乗せられてオリヴィアさんたちと一緒にアヴァイル国に向かうことになった。


 そういうことにしといてくれ。決してオリヴィアさんに嫌われたくないとかそういうのじゃないから!!

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