表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は幸せになるために復讐したい!  作者: 雨夜澪良
第一部 一章 出会い
1/107

プロローグ

 波が護岸を静かに叩く。

 護岸に腰掛け、黒髪の青年――レオナは、真っ赤に染まった水平線をぼんやりと見つめていた。   

 湿った風が髪を揺らし、足元の貝殻が淡く光を弾いた。


「師匠、来たんだな」


 背後に現れた気配に、振り向くことなく呟く。

 足音も立てずにそこに立っていたのは、赤い瞳と銀の長髪を持つ女性。目を奪う美貌だが、レオナは一度もその顔を直視しない。


「兆候は?」


「昨日、体育の時間。人間離れした反応速度を見せた」


「そうか……」


 波が再び来ては戻ってく。しばしの沈黙。師匠は意を決したように口を開いた。


「奴らに居場所がバレてしまった」


 その一言にレオナは軽く息を飲んだ。


「連中って……」


「ヴァリテイターだ」


「はっ、学習しない奴らだ。あいつが手に負えるようなたまに見えるって?」


 予想していた名にレオナは鼻で笑う。

 

「リアンをあちらの大陸へ移動させる。バレてしまった以上この大陸にいる意味はない」


「記憶が戻ってないのにか?」


「あちらの大陸に行けば思い出すだろうよ。お前にとってはそっちの方が好都合だろう」


「思い出すだけじゃあ意味がねえ。――あいつがまた、顔を出さないとな」


 レオナは夕日を背に護岸の上に立ち上がる。師匠は見上げて見つめるが視線が合うことはなかった。


「転移することは確定事項だ。だから――――」


「言われなくても分かってる。明日でリアンとの“友達ごっこ”も終わりだ」


 波の音がまた静かに押し寄せた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈応援よろしくお願いいたします〉 「面白かった!」 「続きが気になる!」  と思ったら  下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をよろしくお願いいたします。  ブックマークもいただけると作者のモチベーションが上がります。そしてものすごく嬉しいです。  何卒よろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ