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「好きだから追放する」と、同性の勇者から言われました。ボクは全力で逃げます!  作者: 椎名 富比路
第二章 男の娘ニンジャと、はじまりの村

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ちびっこ冒険者たちに加勢

 ダンジョンへ向かい、南の草原を進んでいく。


「きたよ!」


 途中、現れたゴブリンやウルフが現れた。


「えーい」


 こめかみへのキックだけで、ゴブリンたちを仕留める。遠くで弓を構えている個体には、クナイを投げて応戦した。


 魔物はみんな畑へ向かっているのか、ボクたちの進路を塞ぐような数はいない。


 キュアノも、氷の矢を手から放ってウルフを倒していく。動き回る敵には、矢をカーブさせて倒していた。


 ドロップ品が光りに包まれ、携帯しているカバンに収まる。


「すごい。【自動アイテム回収】のスキルを持ってる」

「いやあ、キュアノだって」


 キュアノが倒した分は、キュアノの腰のポーチに収まった。


 トップクラスのパーティなら、必ず持っているスキルだ。これによって、いちいちしゃがんでアイテムを拾う必要がない。


 これで服が汚れな……いやいやっ。こんな服なんて、どれだけ傷んでもいいんだった!


 あやうく、毒されるところだったよ! 恐るべきは魔物ではなく、服による精神汚染だなんて。予想外だ。


「その服は、人魚の鱗やアラクネの糸など、一部に女型の魔物が素材として使われている」


 キュアノが倒してきたモンスターの素材を、ヘルマさんが服に編み込んだとか。余計なことを! 魅了の効果はこのためか! フカフカで着心地がいいから、おかしいと思っていたよ!


「魔物の全滅を確認した。これより調査を続行する」


 ごまかしたーっ!


「い、行こうかキュアノ」


 ボクもあきらめて、ダンジョンがあるという森へ急ぐ。


「昼食にしようか」


 一旦、川で水分を補給することにする。


 お弁当を広げた。昨日のカツをサンドイッチにしている。カレーのスパイスが、前より強かった。めちゃくちゃおいしくアレンジしたな、ヘルマさんは。スパイスを使った料理は、やはり専門家に任せたほうがいいね。


「凍てる空の君って言われていたみたいだけれど、相当強いよね」

「魔王の四天王とかいうやつを、一体討伐した程度」

「いや、大功績じゃん」


 ホルストでさえ、一体も倒せていないのに。


「そうでもない。その戦いの最中、オークロードの侵攻を許してしまった」


 だから、ボクが相手する羽目になったのか。


「ごめんなさい。あなたの手をわずらわせた」

「わずらわせるなんて、そんな! キュアノはすごいじゃん。ホルストが認めただけあるよ」


 キュアノが、カツサンドを持つ手を下ろす。あれ、おいしくないのかな?


「ホルストって、人気があるのかないのかわからない」


 もっともらしい評価を、キュアノが下す。


「元は悪ガキだったし」

「そう?」

「うん。村の果物がなくなったら、たいていホルストのせいにされてたよ」


 事実だけれど。自分で食べるようじゃなくて、魔物にやられて弱った動物のためだった。そこが、勇者として目をつけられたんだろう。ボクは、そう思っている。


 以前から、ホルストは誤解を受けやすい性格だった。けれど、人を思いやる気持ちは誰よりも強い。


 ボクへの配慮も、その一環だと思いたいけれど。


「彼の行いは、あなたへの愛を感じた」

「ゴホゴホ!」


 盛大にむせた。感じたくないよ、そんなの。


「水、水!」


 川に首を突っ込もうとしたその瞬間だった。


「むっ!」


 ボクの足元に、矢が突き刺さる。あやうく、カツサンドを落としそうになったじゃないか!


「また魔物の気配が!」

「誰かが戦っている」

「そうみたいだね」


 森の近くで、冒険者たちが戦っている。

 みんな、まだ子どもだった。みんな一二、三歳くらいかな。子どもたちの武装は、大人の短剣のようにたよりなかった。後衛にいる少女が魔法を放つ。だが、その火球も小さい。

 それでも、懸命に戦っていた。


「そのまま押せ! いいぞ」


 後ろにいるおじさんが、子どもたちをコーチしているらしい。サポートをしつつ、魔物が畑に逃げていかないかチェックしていた。


 よくやってくれている。しかし、魔物の数が多すぎた。


「手伝う?」

「どうしよう……」


 ボクらくらいのレベルやクラスになると、難易度が低すぎる依頼は受けられない場合がある。初等冒険者の仕事を奪い、訓練する機会をなくすからだ。

 初心者はなるべく、戦闘に慣れさせなければならない。ボクがでしゃばっても、あまりいいことがないのである。


「あっ!」


 複数のゴブリンが、畑の方角を目指す。


 ここは目立ちたくないんだけれど。


「助けよう!」


 本当を言うと、彼らは失敗して学んだほうがいい。けれど、畑の人たちには関係ないもん。


「待て、モンスターッ。こっちだ!」


 ゴブリンの足元に、ボクはクナイを放った。ゴブリンやウルフを足止めする。


 魔物の群れが、こちらに気づいた。ゴブリンの一体が、弓を引く。


「遅いよ」


 矢を打つより早く、腹パンで弓ゴブリンを昏倒させた。


 油断していたのだろう。弓より早く動くボクを見て、ゴブリンたちは戦意を失った。子どもたちにターゲットを戻す。倒しやすいと睨んでか。


 統率の乱れたゴブリンなんて、子どもでも太刀打ちできる。哀れ魔物たちは、返り討ちにあっていた。

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