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「好きだから追放する」と、同性の勇者から言われました。ボクは全力で逃げます!  作者: 椎名 富比路
第四章 男の娘ニンジャ、邪竜と激突!

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男の娘ニンジャ、ドラゴンおばさんをディスる!?

「ハンデキャップだよ。ボクの方が、キミよりカワイイからね」


 ウインクして、アナンターシャを挑発した。


「どこまでおちょくれば、気が済むのかねえ! このチビは!」


 アナンターシャの怒りが、さらにヒートアップする。


 それでいい。気分が悪くなりそうだけれど、今はアナンターシャのヘイトを稼ぐ。ボクに注意をひきつけて、ルティアかキュアノの攻撃が利きさえすれば。


 下水道のような口が、大きく開かれる。漆黒の炎が、ノドの奥で灯った。


「そのカワイイ顔を、黒コゲにしてあげるよ!」


 闇を圧縮した炎が、アナンターシャの口から放たれる。


 キュアノとルティアは左右へ、ボクは天井へ逃げた。

 

 炎が、天井をやや溶かす。業火の火力は、落ちているようだ。天井を突き破るほどでもない。それでも、人間に当たったらヤバいだろう。


「さっきより、威力が弱いね。連発はキツイかい、おばさん? 年には勝てないみたいだね?」

「ガキがっ! こしゃくな!」


 大ぶりの爪が、ボクに襲いかかってきた。


 ボクは大げさに、爪の攻撃をかわす。


 爪は派手に、天井をえぐった。こちらも当たると痛そうだ。


「このやろう!」


 騎銃を槍のように構えて、ルティアが突進する。


 しかし、騎銃の刃物がアナンターシャの全身から溢れる瘴気で溶けた。


「ぐお!?」

『瘴気にやられて、近づけないのです!』


 ゼロ距離となったルティアに、アナンターシャの無慈悲なシッポが飛んでくる。


「ちいいいいい!」


 騎銃を密着状態で構えて、ルティアは雷撃を放った。爆風の勢いで後ろへと下がり、シッポ攻撃をかわす。


 空振りしたシッポが、宮殿の柱をへし折った。返す刀でガレキを弾き飛ばす。


 また三人とも、回避を余儀なくされた。


「くすぐったいわい」


 雷撃を受けたアナンターシャは、無傷である。攻撃を受けた部分を、爪でかいているのみ。


 天井から不意をついて、脳天へ刀を浴びせようかとも考えた。しかし、あれだけ強固な皮膚なら結果は見えている。全身から漏れる瘴気のせいで、刃物も腐食してしまう。


 いったい、どうすれば……。



 ん、待てよ。



 天井から降りて、ボクはキュアノの手首を握った。


「キュアノ、天井の穴をもう少し開けられないかな?」


 アナンターシャを天井から観察したとき、あることに気がついたのである。


「どうして?」

「ヤツの弱点がわかった気がするんだ」


 ボクら三人は集まって、作戦会議を立てた。


「そういえば、シュータ、キミはすごい雷撃を撃つじゃないか。パワーはどこから取り込むの?」


『太陽光なのです。でも、こうも太陽から遠いと、チャージが難しいのです』


 だったら、なおさらボクの作戦を聞いてもらわないと。


「マジか? それでトドメがさせるのか?」


 ボクの話を聞いて、ルティアが不審がった。


「おそらくは」


 確証はない。けれど、試す意味はあると思う。


『無茶なのです! アナンターシャに単身飛び込むなんて!』

「しかし、ヤツの油断を誘うには誰かが犠牲にならないと」


 その適任者は、足の早いボクだ。

 攻撃力の高いルティアでも、防御力の高いキュアノでもなく。


「やってみる価値はあるが、お前がどうなってしまうのか」

「そうなったら、それだけの男だったってだけさ」

「強がるな! 無謀と勇気を履き違えてんじゃねえよ!」


 ルティアは、ボクとシュータを重ねて心配してくれているのだろう。


「ありがとう、気にかけてくれて。でもいいんだ。そこまで心配してくれる人がいるってだけで、ボクは戦える!」


 再びボクは分銅を用いて、天井に張り付く。


「こっちだ化け物! 可愛いボクを食べたいだろ!」


 自分でも寒気がするくらいのセリフだが、アナンターシャを挑発するには十分だ。


「おのれえ! お前を食って若返ってやるよ!」


 アナンターシャの腕がボクに伸びてくる。


 だが、爪が天井をえぐっただけで、ボクには当たらない。 


「どうした? ボクはここだぞ、邪竜のお嬢さん! いやおばさんかな?」


 分銅で移動しながら、アナンターシャの爪をかわす。


「生意気なガキだね。シッポの下敷きになりな!」


 腰を浮かせ、シッポをはたき代わりに振った。


「おっ、ほっ、やっ! どうしたの、老眼なのかな? 全然当たんないじゃん。ホルストならカウンターでシッポを切り落としているだろうよ!」


 アナンターシャに向けて、お尻を叩く。


「ぐぬぬぬぅ!」


 黒いシッポが、さらに加速した。


 やはりだ。アナンターシャは「業火を撃ってこない」でいる。チャージ時間があるようだ。


「ぬううっ! この手は、使いたくなかったんだけどね!」


 アナンターシャが、腕をさすっている。何か、奥の手があるのか?


 こすった手を、こちらに振り払った。何かベトベトしたものが飛んでくる。


「まずい!」


 肩に、粘液のようなものがかかった。ジュッ! と音を立てて、肩から先が溶ける。


「ドロドロになった自分のウロコを、飛ばしてきた?」

「そうさ! 皮膚を剥がすことになるから使用は避けていたんだけどね」


 息を荒くしながら、アナンターシャがニヤリと笑う。


 そうやって、余裕ぶっているがいい。

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