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「好きだから追放する」と、同性の勇者から言われました。ボクは全力で逃げます!  作者: 椎名 富比路
第三章 男の娘ニンジャと、神待ち竜幼女

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海賊の背景

 ドラゴン頭の騎士が、ボクらの船に降り立つ。どうも彼が、船長さんのようだ。


「あなた方が、クラーケンを退治してくださったのですね? ありがとう」


 ボクは、ドレイク族の船長に声をかけられた。


「信じられませんな。こんな大部隊でさえ手に負えなかったクラーケンを、たった三人だけで倒すとは。すごいお力の持ち主とお見受けするが」

「ええ、まあ。やったのはあの子ですけれど」


 ボクは、ルティアに視線を向ける。

 

 最大の功労者は、ふて寝していた。こちらに見向きもしない。ドレイク族だと知られると厄介なのか、シーツを目深に被ってピクリとも動かなかった。


「騎士様たちは、どうしてこちらに?」

「はっ。クラーケンの討伐に、やってまいりました」


 さる貴族の荷物を運搬するので、邪魔な海賊とクラーケンを倒しに来たという。


 騎士団様まで動かせるなんて、その貴族様ってすごい権力の持ち主なのだろう。


「ですが、一足遅かったようだ。海賊を追い払えただけでも、よしと致します。ありがとうございます」


 艦隊の誘導で、ボクらは港を目指す。


「もっとお話したいのですが、作業があるので失礼します」


 ドレイク族の船長は、自分の船に戻った。


「少し横になっているといい」

「そうするよ。疲れちゃったね」


 キュアノに膝枕してもらいながら、ボクはウトウトする。


 ルティアの騎銃が、カタカタと動き出した。


『さっきから重いのです、ルティア!』


「どわっ!」と変な声を出して、ルティアが騎銃から突き飛ばされる。それにしても、騎銃が言葉を発したように思えたけれど?


「さっきは、ありがとうです」

「わ、なんだ!? 騎銃がしゃべった!」


 やっぱり、さっきの声はルティアの騎銃からだ。正確には、騎銃についているストラップからである。


『ぼくは、ルティアの使い魔のシュータなのです。この騎銃に取り憑いた、精霊なのです』


 ルビー色に光る小さい玉が、ピカピカと点滅しながら話す。人間の上半身を浮かび上がらせた。幻影を映しているらしい。


「使い魔じゃねえって、お前は」


 なぜかルティアが、悲しげな顔をした。 


『バカなルティアがケンカを売って、ごめんなさいなのです。おまけに無愛想な子で、でも、ルティアはそこもかわいくて大好きなのです。ほんとはいい子なのに、素直になれないだけなのです』

「なあっ! バッカお前……」


 恥ずかしい紹介をされて、ルティアは不機嫌そうに舌打ちをする。


「気にしなくていいよ。ボクはサヴ」


 ボクに続き、キュアノも名乗った。


『ありがとうなのです、サヴ。でも……』


 シュータは、落ち込んだ顔になる。


『裏切ってしまった以上、村人の命が危うくなるかもです』

「ワケを話してくれる?」

『はい。ぼくとルティアは、この海を邪神から守る竜族です』


 それは知っている。邪神を倒せたのは、この地に住むドラゴンの協力があったからだ。


『勇者が邪神を倒してくれたときは、しばらくこの村は安全だったのです』


 しかし、竜族の敵対勢力が、表舞台に返り咲く機会を伺っていた。


「それが、アナンターシャとかいうやつ?」

『はい。奴らは卑しくも、邪神側の竜族なのです』


 邪神が封印されたのをいいことに、邪竜たちはその力を自らに取り込んでしまった。その力で、竜族をほぼ壊滅に追い込む。


「死んじゃったの?」

『逆に力を封じられたのです。なんとかしようとしたのですが、ぼくたちも村人を捕らえられて』


 結果、邪竜のいいなりになっているそうだ。


『アナンターシャはその力を使って、魔族とも手を組んだのです』


 竜人族は力こそ強いが、争いを好まない。好戦的な個体は少ないという。


 力を奪われ、今は並の冒険者程度の力しか使えないらしい。


「村人が海賊をやらされているのも?」

「はい。その代わり、家族の安全は保証すると」


 しかし、海賊である彼らの方が命の危険にさらされている。


「抵抗したくても、邪悪な力で海を汚染されているので、漁にも出られず」


 アナンターシャが海にはなった瘴気のせいで、漁獲量が減少傾向にあるという。魚が獲れたとしても、街の貴族に持っていかれる分で終わり。村民たちには食料がまわってこない有様だ。


「だから、さらに海賊行為をするしかなくて」

「ひどい! 最低な奴らだ!」


 ボクらがいなくなってから、そんなことが起きていたなんて!


 船が、港に到着した。


『これでお別れなのです。サブさんキュアノさん、さようなら』

「あばよ」


 ルティアは自分から、騎士団のお縄につこうとする。


「君は脅されて加担していたんだろ?」

『それでも、罪は罪なのです』


 騎士団も、ルティアを捕まえていいかどうか迷っていた。


「待って。この子は、利用されているだけです!」

「事情は、取り調べで聞きますから」

「そんな!」


 ボクが騎士と言い争っていると、一人の紳士が港に現れた。整えられたカイゼルヒゲを口に携え、まるまると太った中年男性が。


「なんの騒ぎですかな、っておや? あなたは」

「ああ。ダンセイニ卿! ちょうどいいところに」


 アウノ・ダンセイニ伯爵。彼こそ、ボクの知り合いである。

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