表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盤面支配の暗殺者  作者: 神木ユウ
第8章 掴み取る頂点
214/295

第213話 ニーリス・カレッジの取材記録

 遂に今年度の班対抗戦が全て終了しました。


 今年は昨年に続き、新入生の活躍が大変大きな年となりました。一強状態だった昨年とは違い、今年は上級生をも圧倒する強力な一年生2班が激突。見ている我々をも熱くさせる互角の試合を展開してくれました。


 他にも素晴らしい試合が数多くありました。では、そんな試合を終えた皆さんのお話を聞いてみましょう。まずは生徒会長ダイム・レスドガルンさんです。








 全試合が終了しましたが、どのような感想をお持ちでしょうか。


「嬉しさと悔しさを感じています。生徒会長として、わたしを越える新入生の存在はとても喜ばしい。しかし、同時に負けてしまったことへの悔しさもあります」


 失礼ながら、そのように悔しさを表情に出しているのは珍しく思います。


「わたしもただの一生徒ですから。あとは、昨年は悔しく思うようなことがなかったですからね」


 おっとこれは手厳しい。私も会長の脅威となることが出来るよう、更に頑張っていきます。


「ニーリスさんも、大変強くなっていました。油断出来ない試合でしたよ」


 ありがとうございます。では、簡単ではありますがここまでということで、最後に何か言いたいことはありますか。


「この場を借りて、報告させていただきます。わたしは、生徒会長の席を譲り、来年は副会長として会長を支える立場となろうと思います」


 えっ!? このまま卒業まで会長を続けるものかと……。


「元々考えていたんです。会長は2年生が務め、前年の会長がそれをサポートする。その形を基本とするのが良いのではないか、と。幸い会長を任せることが出来る後輩も入ってきてくれましたから、安心して会長を辞めることが出来ます」


 最後に衝撃の報告をいただきました。ダイム・レスドガルンさんでした。








 では、次は生徒会副会長フルーム・アクリレインさんにお話を聞いてみましょう。


 全試合が終了しましたが、どのような感想をお持ちでしょうか。


「いつか絶対ダイムの奴はぶっ飛ばすわ」


 えー……感想をお願いします。


「倒さないといけない相手が増えたわね」


 はい、じゃあそれで良いです。いつものきゃぴきゃぴしたウザいやつは止めたんですか。


「えー? なに、ニーリスちゃん、寂しいのー?? 仕方ないなぁ。ほら、かわいいかわいいフルームちゃんだぞ♪」


 はい、指を頬に当ててカワイー、ということで。今年度卒業生の最優秀班はフルーム班にほぼ決定しているかと思います。卒業後は何をするのか、もう決まっていますか。


「んー、前線に行こうかなーって思ってるのよね」


 なんと!? 理由をお聞きしても良いでしょうか。


「騎士団の第三部隊から是非来てくれって言われてるし。騎士団の入団試験とか受けるのは面倒だけど、免除されるなら行っても良いかなーって。他にも理由はあるけど……教えてあーげない♪」


 はい、以上フルーム・アクリレインさんでした。








 次は風紀委員長ディアン・プランズさんです。


 トレーニング中失礼します。今大丈夫でしょうか。


「ああ、少しくらいなら問題ねぇよ」


 もう卒業になりますが、トレーニングに力を入れていますね。


「別に学園で良い成績を取るために鍛えてる訳じゃねぇしな。つっても、やっぱ負けたのは情けねぇが。魔法使い相手に殴り合ってるようじゃ駄目なんだよ。サラフの強化がなくても一瞬で仕留めるくらいにならねぇと」


 あれは副会長が特殊なんだと思いますが。より強くなるために鍛えているということは、卒業後は何か戦う職業に就くのでしょうか。


「入学前からの目標なんだけどな。ほら、最近ますます世の中物騒になってんだろ? 素早い騎士団投入がされるっつっても、毎回間に合う訳じゃねぇ。だから、警備の、何て言やあ良いんだ。隊か? そんな感じのを立ち上げようと思ってる。依頼を受けて街とか施設とかの警備をする感じの」


 民間警備隊の設立ですか。最優秀班の特典がなくても、それは変わらないですか。


「夢だしな。自分の力で一からやるわ。入った奴には非武装でも戦える格闘技術を叩き込んでやるから、気になった奴は来いよ」


 意外にも思える選択ですが、何か理由などはあるのでしょうか。


「……もう二度と、あんな目に……いや、いい。あんま広めることでもねぇ」


 失礼しました。以上、ディアン・プランズさんでした。








 ウェルシー・ノルズさんにお話を聞きに来たのですが……。


 ウェルシーさんのお部屋の前で何をされているのでしょうか。


「ウチの班長、今は集中期間だから」


 集中期間、とは。


「何か悔しいことがあると、しばらく部屋に引きこもって音楽に集中すんの」


 既に会長との試合から一週間経っていますが……。


「今回は長いねー。いつもは大体3日くらいで出てくるんだけど。会長との試合が最後で良かったよ。いや、最後だからこんなに長く引きこもってるのかも」


「クロの作戦通りに進まなかったのは自分の力不足だと思ってるみたいでな。負けたこと自体よりも、それを気にしてるっぽい」


 出てくるまでの間、ずっとここで待っているんですか。


「流石にずっとじゃないよ。でもまあ、結構ここにいるかな。出来るだけ近くにいてあげたいと思って」


 信頼しているんですね。


「そりゃね。学園やめようとしてたとこを引き留められて、熱心に勧誘されて、ここまで引っ張ってきてもらったんだし」


「ウチら大体そんなもんだよなー。最初はただの音楽仲間だったし。クロはちょっと違うけど」


 詳しくお聞きしても良いですか。


「クロのこと? だってあいつは……なぁ?」


「うん。最初は勝てそうなとこ探して声かけてきたって感じだったよねー。会長はもう班員集めちゃってたから、次に良さそうなこっちに来たの」


「見てて面白かったわ。あいつ、明らかに女慣れしてないだろ? だから班長に惹かれてくとこ、見ててはっきり分かんだよな」


「ねー。あ、そろそろご飯持ってきてあげなきゃ」


 なるほど、ありがとうございました。








 おっと、お取り込み中でしたか。


「いや、取り込み中に入室許可出す訳ないでしょう。何を言っているんですか」


 いやー、両手どころか部屋中お花畑ですね。流石クレイさん。


「ええまあ、班員がよく集まっていますからね。部屋がお花畑なのはよくあることです」


 おっと、お認めになるとは。


「もう慣れました」


 今は何をしていたんですか。


「次に向けて、これから各々どう強化していくかの相談です。今回は最高の勝利を得ると同時に重い敗北を刻まれましたからね。まだまだ、鍛練が足りないな、と」


 しかし、あの敗北の試合も全体的にクレイさんたちが押していたように思えます。


「押していた、なんて評価に意味はありません。これは戦いですから、結果が全てです。敗北は死に等しい。勝利を得るだけの実力がなかった。更なる強化が必要だ、というのは班全員の共通する想いです」


 クレイさんとしては、あの試合の敗北は何が原因だったと思いますか。


「我々は今まで、相手の不意を突いて勝利を手にしてきました。それが原因だと思います」


 申し訳ありません。もう少し詳しくお願いできますか。


「意表を突く作戦はこちらが使うものだという、慣れ、ですかね。そういうものがあった。奇策や特攻、意外な一手への対応能力が磨かれていなかったんです。それが一見こちらの方が実力で勝っているように見えるのに敗北した原因だと思います。俺が今までやってきたことをやり返された形ですね」


 なるほど。では、これからどうしていこうと考えていますか。


「奇策への対策をするのは意味がありません。予想出来るのなら、それは奇策足り得ない。ですから、これからやっていくのは単純な実力向上です。奇策を飲み込んで勝利出来るだけの能力を身に付けようと思います」


 分かりました。ありがとうございました。








 では最後に、今回の対抗戦の主役、レオン・ヴォルスグランさんにお話を伺いたいと思います。


「主役、ですか。特定の誰かではなく、皆が主役の行事だったと思いますが」


 いえいえ。あの無敗の会長に勝利したクレイ班。遂に現在の最強が決まったかと思ったら、その後すぐに否を唱えたレオン班に、皆注目していますよ。


「とても実力で手にした勝利とは言えない内容でしたけどね」


 苦しい戦いでしたね。


「本当に。誰か1人でも、少しでも実力を発揮出来なければ得られなかった勝利でした。全員が限界以上に振り絞って、それでも勝てなくて、自身の危険も省みず相討ちまで持ち込んでくれた。仲間たちに感謝です」


 今までの評価に不満などはありましたか。


「あはは……まあ、ない、とは言えないですかね。でも、学園は僕たちをしっかり評価してくれていると分かりましたから。だから試合にも集中出来たのかもしれませんね」


 今回の勝利を受けて……かは分かりませんが、レオンさんを生徒会長に、と会長が言っていました。


「ええ、聞いています。確かに会長はクレイたちに負けましたけど、それでも個人として最強は会長、ダイム先輩であることは変わらない。その後を、本人の卒業前に継ぐなんて……正直、自信がないです」



「なーに言ってんの! もっと自信持ちなさいって言ってるでしょ!」


「レオンさんなら大丈夫です!」


「しっかりしてくれよ、班長。ちゃんと俺らが託した勝利をもぎ取ってくれただろ?」


「信頼していますと伝えたはずですよ」


「会長がどんなことやるのか知らねぇけど、まあレオンならきっと大丈夫だ!」



 はい、レオンさんが班員の皆さんに連れて行かれてしまったので、取材はここまでとなります。


 最後に、理事長からのお言葉を皆さんにお伝えします。



『強者に学べ』



 以上になります。ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ