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ドリドリルのウィッグ


お茶会会場。


わたくしエリザベート。

ここは別にいじっておりません。

少しめずらしいお菓子類がございますが、奇をてらったものでもなく歓談を楽しむお茶会でございます。


ここで頑張り過ぎて無暗にハードルをあげたくはございませんし、わたくしはあまりお菓子には手を付けず三人の殿下とお話し致したのです。

ネルフィス殿下が


「エリザベート嬢。今日も装いは赤だが、赤色が好きなのか?」

「ええ。殿下。好きでございます。

テイラム家といえば赤。初代エリザ様も赤を好んでいたと聞き及んでおります。

似合いませんか?」


わたくしは微笑みました。

というよりもこのお三方。ほとんどお菓子にも手を付けずに終始わたくしを定番のポケ顔で見ております。

ホントに何なのでしょう?

落ち着きませんわ


「いや。似合っている」


ネルフィス殿下がそうおっしゃられると、他の殿下が大きく頷きました。

客観的に見ても赤は小憎らしい程にエリザベートにピッタリなのです。

この白い肌に黄金の巻き毛……ドリドリルでございますね。それが赤に映えるのです。

わたくしに限らずテイラム家の女子は赤を好みます。


そしてお茶会後。


わたくしは一旦皆様の前から辞しました。

そして殿下達も一旦下がりまして、着替えて戴きました。狩人の格好です。


中庭に特設ステージを設置しておりまして、そこで狩をするのでごさいます。

狩ですが残念ながら獲物は一匹もおりません。

そしてわたくしもおりません。


えっと。わたくし獲物ではございませんことよ


「わたくしを捕まえたら、今宵あなたの物になりますわ」


なんて死んでも出来ません。

エアリス殿下だけならまだしも……。




ここは中庭でございます。




11月の寒空の中。不敬にも三人の貴公子達を待たせております。でもちゃんと了承とっておりますわよ。


殿下達はウィリアム・テルのような格好をさせられ、羽根つきの帽子を被っております。

そして可愛らしいオモチャのような弓を持っています。


そこへ



ヒヒヒ~ン



とわざとらしい馬の(いなな)きと共に、わたくし颯爽と白馬で登場!

なんて文章で表現すれば格好いいのですが……。

……ほらあるじゃない。お遊戯会で足が人のお馬。

あれに乗っております!

公爵家の騎士の素敵なお兄様──実の兄はいないわよ


──騎士二人にお馬さんになっていただきました──


一人がスクッと立ち、頭に長い首の馬の被り物をしてもらいます。そのお方の腰にこれもガタイのいい騎士様がお捕まりになって馬の胴体となります。

壮年の男の腰に掴まるもう一人の男。

見た目アレですから、白い布で作った馬の胴体で覆います。

それに鞍を固定させて、わたくしはヒョイと抱えられて

それに(また)がったのでございます。





初め思い付いた時、お父様に相談致しました。

お父様はその余興に大変食いつきまして、公爵家の中でもとても優秀な騎士様を呼んだのですわ。

その凛々しくも素敵な騎士様にあろうことか馬になれと仰るのです!わたくし思わず


「恥ずかしい格好でございますよ。とても騎士様にはそのようなことは頼めません」


なんて逃げ道を用意したのですが、騎士のお二方


「お嬢様の馬になれるなんて恐悦至極でございます。

むしろ公爵家を守護する我ら騎士団より他、任せられる者がおりませぬ。

是非我らをお嬢様の愛馬にしてくだされ」


なんか微妙に卑猥な表現が使われたような気がいたしますが、グイグイ迫る騎士様の凛々しいお顔に


「よくぞ申された。我が騎士よ!

あなた達騎士を我が愛馬とし、我らが公爵邸に来襲する三人の貴公子を迎え討とうではありませんか!」


別に討ち取って命を奪おうというわけではありません。

ただの心意気でございますよ。

そして今回の運びとなったのです。




☆☆




女がてらに狩人の格好をして、人間白馬に跨がった公爵令嬢エリザベート。恥ずかしさも省みず、弓を高々と掲げ堂々と貴公子三人の前へ罷り出ました。


三貴公子三人とそのお付きの方々は、呆気に取られてわたくしをみています。


いいえ!いいえ!

そんなレベルではありませんわ!


もう目をクワッ!と見開いて!

口をあんぐり開けて。

石化しております!


三男!ヨダレでてるわよ!



他の皆様も似たり寄ったり!



─もしかして……やらかしたか?!



ここで恥ずかしがったら恥の上塗りでございますわ。

こんな時に女優は最後まで演じ切るしかないのです。


わたくしはビシッとほんわりペタパイな胸を張り、1カラットで皆様を一睨みしてあげました。


皆様。我に返り真面目腐った顔に戻られたわ。


人間白馬がしゃがんで、エリザベートは降り立ちます。

すかさずエアリス殿下が手を差しのべ、エスコートしてくださいました。


見事役目を終えたお馬さんは、退場致しました。

それから五分もせぬうちに、さりげなく護衛の騎士が二人増えたのはご愛嬌。

この中庭。

エアリス殿下には護衛騎士三人に従者三人。

弟殿下二人にはそれぞれ二人の護衛騎士と従者二人。

それに公爵家の騎士団五名に従者や使用人は10名ほどおります。わたくし専属は安定のイライザとイレーネ。どちらにも地味ですが狩人の格好をしております。


わたくしはね!

緑基調でアニメに出てくる妖精エルフのような格好をしておりますわ!


露出は無しですよ。

わたくしの体型にあわせて上着もズボンも細身でピッタリ。これは薄緑。

それだけだと体型丸分かりのダンサーみたいですから、上にもう一枚濃い緑の厚手のワンピースを着ています。

腰は大きめの皮ベルト。お腹を隠すくらい広くて、紋様の焼き印がしてあります。

そしてワンピースの丈は太もも半ばくらいで、ミニスカートのように見えますね。膝までの皮のロングブーツを履いていますから、結構格好いいと思います。


そしてミソはわたくし、ファンタジーの世界のエルフそのままに黄金のストレートロングヘアーなのでございます!

この日の為にドリドリルのウィッグをわざわざ作り、ストレートヘアを上手く隠したのでございます。

ここだけの話しですが、ドリドリルの癖が抜けるまでたっぷり二週間かかりました。


エルフも少し目付きが悪いでしょう?


姿見で確認した時、あまりにもエルフっぽくて、わたくし感動致しました!

そしてオクダタエコ時代からのオタコの夢が叶ったのでございますよ。



リアルでコスプレしてみたい!



って夢!



こればかりはアラサーオクダタエコじゃ



出来ませんからね!














エリザベートエルフ可愛いでしょう?


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