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女神の草原


青い空。白い雲。

見渡す限りの草原。


そしてわたしの目の前に、女神がいた。


金髪碧眼。ギリシャ神話の神様が来ていそうな、布一枚掛けただけのような格好の美しい女神がいた。


そして目付きが悪かった。


なぜか目だけがオクダタエコにそっくりだった。


「タエコさん?」


わたしはパツキン女神に思わず聞いた


「ではないが、そのようなものだな」


訳の分からない答えを発した。そして女神は続けた


「お主。つまらぬ事。いくらオクダタエコにやっても無駄だじゃぞ。

あやつはソナタらと次元が違うのだ。

お主らの大好きな、嫉妬。妬み。嫉み。嫌味。そのようなものは遠の昔に卒業しておる。

ソナタとは波動が違うからの。

ソナタのは荒すぎる。もう少し気を休めよ。

殺った殺られたの世界は修羅の道というてな。心休まる暇がないのじゃぞ。

良いか魂は続くのじゃ。人は生まれ変わり。つまりは輪廻転生を繰り返すのじゃ。

そして因果応報。したことは必ずソナタの元に帰る。

ソナタのように意地悪すればいずれ何処ぞの生まれ変わった世界で、ソナタが人にしでかしたことが帰ってくる。気持ちでな。

ソナタが嫌な思いをさせれば、必ず同じような思いをする出来事に遭遇する。

逆もまた然別じゃ。他人を幸せな思いにさせれば、いずれソナタも誰かに幸せな気分を頂ける。

自明の理じゃ」


「そんな事。分からない」


わたしは言った。何を言いたいのか分からない。

何をどうすればいいのだ


「分からなくても良い。じゃがな。

ソナタがオクダタエコにしてきたこと、ソナタの娘がされたらどう思うのじゃ。

ソナタの孫がされたらどう思うのじゃ。

親の因果は子に報い。

ソナタが分からねばいずれそのような形で現れる」


わたしはこんがらがった。わたしがした事が、どうして娘や孫に反るのだ


「人の生は今世だけではない。永き輪廻の輪の中にあって様々な行動をしてきた。例えば娘が生まれ変わりの中で人知れず他人へしてきた嫌な出来事が、ソナタの行為をきっかけで、ソナタの人生に目に見える形で反るだけじゃ。まあ。我はもう言うべきことは言うた。

あとは知らぬ。

ソナタの生はソナタのものだ。

好きにせい」


好きにするわよ。こういう偉いやつが出てきたら、ハイハイと聞いてるふりすれば勝手に消える。

人生ハイハイやり過ごしが一番だわ


「ハイ分かりました。女神様の言うとおりにします。

アリガトウゴザイマシタ」


女神は笑って去って行った。

女神っていってもチョロいわね


「誰がチョロいじゃと?」

「ひい!」


去った筈の女神が真後ろにいた


「言うとくがここは我の世界じゃ。

ソナタの思うとおることなど、全て筒抜けじゃ。

それと。

先ほど我が語った言葉。あれはソナタの好きな建前じゃ。

女神はああやって笑顔で諭せば大概の者は有り難がって行いを改めるからの。

じゃが!これからが本番じゃ!

上には上がいるのを思い知らせてやろう!

ソナタの大好きな誰が上だか分からせやろうか!

エリザノロコ発動じゃ!」


そういうな否や女神の様相は変貌していく。

あの美しく清らかな女神は消え去り、赤く禍々しいオーラをだし、金髪が黒々として蛇のように何十も蠢きだした。ギリシャ神話のメデューサのようだ!

目は赤々と燃え上がり、不気味な笑みを浮かべ、ギロリギロリと睨みを強くしていく


「貴様!優しくすれば付け上がりよって!

生前の我なら、ソナタなど首を即刻切り落として晒しておるところじゃ!

我は正直、ソナタがどうなろうと知ったことではない!縁あってオクダタエコと数年交わったそれだけのことじゃ!

よいかよく聞け!お主のしたことは寸分違わずソナタに反る。我は神だからわかるのじゃ!

今ソナタは分岐点におる。

このままじゃ修羅道を抜け、地獄へまっ逆さまじゃ!

落ちて堕ちて墜ちて底の底!

無間地獄まで墜ちるがよい!」


そして辺りは暗くなり、真っ暗になった。

そして完全な闇に包まれた。

右も左も分からない。

叫ぼうとしても声も出ない。

何も見えない。

そして無限の時間が過ぎていった。


わたしは誰だろう?名前?思い出せない。

あれから五年?十年?それとも百年たったの?

孤独。寂しい。誰もいない。光もない。闇だけ。

手も足も体ももうなくなった。

助けを呼んでも叫んでも何もなかった。



─無限の闇

─無限の孤独

─無限の刻




─────無間地獄─────




コトブキトモエがコトブキトモエを失くした頃。

自分という存在が希薄となった頃。


遥か遠くに光が見えた。


自分はひたすら光を目指した。


何年も何年も何年も何年もかかって。


光は少しづつ大きくなっていった。


やがて人一人がやっと通れるくらいの大きな光にたどり着いた。


そして光に触れた瞬間。


コトブキトモエはコトブキトモエを思い出した。


コトブキトモエの人生を走馬灯のように体感した。

全て思い出した。

赤ん坊から子供時代、学生になって、会社に入って、結婚して子供が出来て、子供が大きくなって、子供に子供が出来て

家族への愛を思いだした。

嬉しさ。楽しさ。感謝。喜び。愛おしさ。

辛い事もあった。でも幸せだった。

心がアタタカカイ。



……そして……オクダタエコが入社してきた。











無間地獄とは、間断無く辛く痛い責め苦が続く

地獄みたいです。


でもこの小説の無間地獄は

闇の中、たった一人で永遠のような時を過ごす地獄。


こちらの方が私は怖い。





仏教の思想に輪廻転生ってあるの。

魂は六道を巡るという思想ね


天道──天国のようなところ

人間道─人間の世界。現世ね。

修羅道─殺った殺られたの世界。

    ずっと喧嘩して殺し合ってる。

畜生道─動物になってひたすら酷使される世界

餓鬼道─ずっと飢えている世界

地獄道─地獄ね


なんとなく書いてみた。

ちょっと参考になれば嬉しい。



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