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タエコ社長になるみたいです


わたしオクダタエコは28歳。


常務で重役出勤で定時帰宅。

時間が有り余った。


自炊して『ボッチ女の毎日ご飯』という題名で動画にでもアップでもしようかと本気で思ったりしたが、虚しいので止めた。


ふと本屋のゲーム売り場で乙女ゲーム

【白薔薇姫と七人の虜たち】

を推していたのでなんか気になり、そこではいい歳してあまりに恥ずかしいので買わずに、大手通販サイト[密林]でポチッた。


やってみて『ケッ』ってなった。

ヒロインのピンク女


アイリス・ユークラリス伯爵令嬢


これがまたろくでなしで腹が立った。

とにかく節操がない、あっちふらふらこっちふらふらで前半の二年間は誰彼構わず好感度をあげる。


そして一番腹立つのが、周りの男達がピンク女に惹かれて手を貸したりするのだ。

あなたが好きな女の子を、あなたじゃない攻略対象のイケメンとくっつけるために奔走するなんて、美談にもなりやしない。

ピンク女はあちこちに好感度という媚びを売って、味方を増殖し、白薔薇学園内を我が物顔で席巻する。


アランを除いて攻略対象は皆パートナーがいるのに、ピンク女が掻き回して奪う。

『あなたさあヒロインの皮を被った悪役令嬢だよ』

そう思わずにはおれない。


で、そのパートナーの中に

エリザベス・テイラム公爵令嬢

がいるのだけど、この()タエコのお気に入り。



だって目付きが悪い。



親近感沸きまくる。

見た目そのまま悪役令嬢。

黄金の巻き毛でドリドリル。着ているドレスは真っ赤っ赤。化粧も濃くて同年代のヒロインと対照的。


そして隠れファンが多い。


悪役令嬢らしからぬ悪役令嬢で有名。

とにかく男気があり、別の攻略パートではなにかとヒロインの面倒をみる。

メインの第二王子パートでは確かにヒロインはいじめられるが、それはエリザベスから第二王子を奪おうとピンク女が画策実行し、それをエリザベスの取り巻き達が必死に邪魔をするから。


実際、公爵家の婚約を邪魔する伯爵家なんてないからね。

片や王族だしね。

ゲームだから皆当たり前のようにプレイしているけど、ピンク女のしていることって不敬も甚だしい。


わたし、いい大人だし常識外れなピンク女よりも、断然エリザベス様を応援するのですわ!


で、第二王子パートの最大の見せ場はなんといっても、悪役令嬢令嬢エリザベス様への断罪イベント!

ピンク女が第二王子を強奪しようとあの手この手を駆使する。それをエリザベス様の取り巻き令嬢達が邪魔をするついでに、チクリチクリとピンク女に釘と針を刺す。


ピンク女が媚びを売ってかき集めた取り巻き達が、その釘と針をせっせとかき集め、取り巻き達の罪状とやらに変換して書き止め、エリザベス様に付きつける!


エリザベス様は見事に何も知らない!

だって周りが勝手にしたことだから。

知らないけど『わたくしの監督不行き届き』ということで、潔く身を引かれる。



この場面泣けるのよ!



エリザベス様が幼少時からの第二王子への献身が一枚絵で何枚も写し出されるわけ。

フィアンセのために、美を磨き、教養を身につけ、第二王子が恥ずかしくないように己を律して。

それがパッと出のいかれたピンク女にさらわれるなんて……なんて憐れ!



外見はともかく心は恋に揺れ動く乙女なのですよ。



わたしもアラサーで乙女です。

恋は……聞かんでくれ!武士の情けじゃ!



そしてそんなある日、ある小説が出た。

エリザベス様生き写しのお婆様、エリザベート様の恋を描いた物語。


[悪役令嬢エリザベート]


言っておくけど、婆さんが恋する訳じゃないよ!


エリザベート9歳で初めて婚約者の王太子に会う所から始まって、小さいながらも恋心を抱き、おしゃれに教養に日々を積み重ね、白薔薇学園へ入学する。

ご入学は13歳から。同い年の王太子と蜜月の日々が訪れるはずが、そこへヒロインが現れて……!


なんてテンプレ的な展開!

でも趣向が変わってまして、あくまで主人公はエリザベート。

見た目魔女で心キュートな乙女女子エリザベートと、外見可憐な花のようで心肉食猛獣ガツガツ系のヒロインが繰り広げる王太子を巡る女の戦い!

上級貴族はエリザベート様に付き、下級貴族及び平民はヒロインを応援する!


なんともいえぬぐだぐだな展開!


でネタバレですが、エンディングではエリザベート様、ヒロインに負けます。


王太子はヒロインを選び、エリザベートは断罪され平民へ落とされ……とはなりません。


王太子はなぜかエリザベート様の妹君セシル様と卒業後に婚姻を結び、エリザベート様は第三王子を婿に迎え公爵家に居続けます。

そうそう公爵令嬢を平民などに落とせません!


肝心のヒロインはというと……身分が低いので正妃にはなれず、何番目かの側室に収まりました。

『それならエリザベート正室でヒロイン側室でも良くね?』

と思われるかもしれませんが、馬鹿王太子が公衆の面前でヒロインを選んだので収拾がつかなくなり、このような形に収まったのです。


はぁ~不毛な戦い。


失意のエリザベート様を慰めたのが、以前からエリザベート様に恋心を抱いていた2歳年下の第三王子。

彼は彼女の外見もそうですが、内面の美しさに惚れていてこれはこれでハッピーエンドと、なんとも煮え切らないエンディングになったのです。




☆☆☆




ある日。オクダタエコは社長に呼ばれました。

社長室に行くとそこには奥様とご子息様がおられます。


ここを乙女ゲームの世界に例えれば、社長と奥様は王と王妃。ご子息はさしずめ王太子というところでしょうか?

わたしいつしか脳が乙女ゲームに侵略されております。


突然社長が言われました


「オクダタエコくん。社長になりたまえ。

そして息子をオクダタエコくんに預けようとおもう!」




わたし社長になるみたいです。





これ。【伯爵令嬢アイリス~】の主人公

アイリス・ユークラリスをディスっています。

ピンク女です。


どうぞ気が向いたら、そちらも御覧ください。


時々勝手にコラボしますぞ。


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