金ピカ豚さん
『あら?刺激が強すぎたかしら?』
発動し、誕生したばかりのノロコをすぐさま引っ込める。
ちょっと想定より、びびらせ過ぎた。
というよりもこいつらビビり過ぎ!
まずギリギリ睨んでる時点で、この九歳児にビビっていたのは確か。
そして止めを刺しにいったのも確か。
だけど、止めの想定があんぐり口をあける程度だった。それが……。
結果は、エリザベートの付き人三人。
イレーネ。ジェシカ。ふたりは失神。
最年長のイライザだけがかろうじて放心状態で、腰を抜かしてへたり込んでいる。
殿下の従者五人。
最年少の少年は号泣。
ふたりは頭を抱えて蹲り、ブルブル震えている。
ひとりは立ったまま固まっている。
おや?白目だ。失神してるわ!
最後に最年長でいちばん嫌みなやつ。金髪でしろい肌。
それだけ聞けばいい感じに思われる方もいるかもしれないが、ただの豚。
ポヨポヨみたいにぷくぷくぽよぽよかわいくない。
ブクブクボヨボヨ肉肉しい。
怠惰と自堕落をたしたようなやつ。
一番、殿下を馬鹿にしていた。
ついでにわたくしも馬鹿にされてた。
子供だからって侮っているのが、丸分かり。
なんだろうね。
オクダタエコの周りにいたよ。
年少だからってだけで、人を見下すヤツ。
ま。この豚。そんなヤツ。
わたくしも人のこと豚呼ばわりで、人にお説教は出来ないけどね……するよ。
する気満々さよ。
おや?なんか眼の錯覚かな?
金の豚の顔がひしゃげて見える。
ん?なんだ?
頭半分ピカッてる?
お!
頭がずれてる。
ズラか!!!
そういえばノロコが出現して、頭を掻きむしっていたわ!その時正体がお出まししたのね!
こんにちは!初めまして!ピカりんくん!
で、この金ピカッ豚。
口から泡をブクブクはいて、目の焦点があっていない。
もしかしたら、目を開けたままいっちゃっているのか?
馬鹿だねこいつ。
こいつも腰を抜かして、後ろ手をついて、お股おっぴろげて、失禁してる。
本日2人目。
ひとりめ女の子12歳!
そしてふたりめいいおじさん。
多分30歳前後!
わたくしオクダタエコと同年代。
死んでもこのような人間には成りとうございません!
王太子付きともなれば、将来の側近候補。エリート揃いと思いましたが、こいつは違うね。
ヅラにも金髪をこだわっているところをみると、たぶん王族の切れ端のカス辺りか?
ごめんなさい。
こんなどうでもいいヤツのために、文面汚してしもうたわ。
『さて。如何いたしましょうか?』
これでは埒があきません。
お説教できませんわ!
殿下の従者の方々にご命令を下す訳にはいかないので、ここはボケーっと青空見上げている赤毛の女子イライザに白羽の矢。よほど怖い思いしたらしい。
わたくしのせいだわね。
でも、同情なんて真っ平ごめん!
ここは心を小鬼にして
「イライザ!いつまでボケーっとしてるのです!
しっかりしなさい!」
「はっ!はいい!お嬢様!!!」
瞬間立ち上がり直立不動!条件反射ってやつだわね。
こいつもわたくしに怯えてましたからね、命令には逆らえないのでしょう。
では、お気持ちに甘えて
「イライザ。そこに寝ているふたりを起こしなさい。
殿下の前で恥を晒して、見苦しい」
「はいい!かしこまありいまあしいたあ!」
いろいろ上擦ってて痛々しい。それに目線を合わせない。ホントいまいましい。
「え……エリデート……余は……大丈夫ぞ」
殿下お優しい。『そのまま寝せてあげなさい』ということね。でも、ここは正念場です。
わたくしよりも、殿下にとっての分岐線。
お優しいの美徳ですけど、そのお優しさに甘えて従者は職務を越権しております。
何処の世界に自分に仕える従者に馬鹿にされ、嗤われる王太子がいるでしょうか?
それも五人中五人に嗤われて!
この侮りが、いずれ取り返しのつかない事態を招くこともあるのです。
わたくし。歴女でもございます。
高校時代。はまっておりました。
侮りは、争乱の元です。
そして腐敗の元です。
手は早い内に打っておくに越したことはありません。
わたくしは殿下に振り返りました。
ポヨポヨと目が合いました。
ポヨポヨはどうしていいか分からないような、不思議な顔をしておられます。
わたくしは微笑みました。
目を瞑ってニコッと可愛く。
……相手にどう思われるかは別として。
そして笑みを持続したまま眼を開き、また目が合ったのを確認して、これまた可愛くウィンクしました。
これまた相手にとって……と付け加えるが虚しい。
そして見つめに見つめて、心の中で
『わたくしにお任せください。けして殿下の悪いようにはいたしません』
と想いを込めました。
そしてチロっと舌を出しました。
『ちょっとからかう程度ですよ。大事にしませんよ』
通じるかどうか?
ポヨポヨはウンウン頷きました。
よし!通じた!はずだ!
でも嘘をついてご免なさい。
大事に致しますわ!
そして向き直る。
?????
わたくしの従者三人の女の子が、わたくしに平伏しております。
それは分かります。
分かりますが、何故に?
金豚を除いた。
殿下の従者四人も。
何故何故に?
わたくしに平伏しておるのだろうか?
わたくしまるで何処ぞの教祖様じゃ!
あ~りませんか!




