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転生前が学生の貴族は異世界に何を望むのか  作者: 朝丸
第0章 プロローグ 〜召喚事故による転生〜
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1 プロローグ(前)

 初めての作品ということで、表現やら文字数やら読みにくいところもあるでしょうが、プロローグだけでなく、幼年期編ぐらいまでは読んでいただきたいです。まだ、執筆途中ですが。


 2章で、ある大きい山場を作ろうと思っています。もし最新話まで読んで気に入っていただけたら、最新話のページからできる評価、ブックマーク登録をお願いします。感想も出来るだけ読ませていただきます。

(なんなんだ、この状況は)


 体が、椅子から立ち上がろうとする不自然な姿勢で固まっている。手足の自由が効かないのに、目は動かせる。そんな現実らしからぬ状況に僕の頭は混乱していた。


(声は出せないが、息苦しくはない……呼吸は出来ているようだ)


 その現象は何の前触れも無く起こっていた。

 数分前まで、話の抑揚に癖のある数学教師による授業が行われていたはずだ。寝坊したために朝から何も口にすることが出来ず、空腹のため全く集中できないその話を教室の一番右後ろの席でぼんやりと聞いていたのだ。


 4限終了のチャイムが鳴り、次回までの課題としてプリントが配られる。挨拶の後、教師が教室を出てさあ食堂へ行こうとした瞬間この状態である。


 顔が下を向いているため教室の前の壁に掛かった時計を見て時間を確認することも出来ず、首がまわらないためクラスメートの様子を伺うことも難しい。


 ただ耳を澄ましても聞こえてくるのは廊下から響く他クラスの喧騒だけな事を考えると、他29人もおそらく自分と同じ状態なのだろう。


(というか腹減ってるんだけど! どうすればいいんだこれ……ん?)


 ふと気づくと床に白い線がいくつもあらわれて、そこから光が漏れ出ていた。その内の何本かは緩やかなカーブを描いている。


(これは……円の一部か?)


 その全体を見ることは出来ないが、頭に浮かんできたのは魔法陣、という言葉だった。

 果たして床の変化も終わったところで僕の視界は真っ白に染まり、突然足下の感覚が無くなった。




 ♢♦︎♢♦︎




 気づくと横になっていた。目を開くと視線の先には星空が広がっており、その幻想的な光景に思わず目を奪われてしまう。仰向けの状態から体を起こして周りを見ようとした瞬間、僕はその非常識な光景に悲鳴をあげそうになった。


 体の下に広がっていたのは、頭上に広がるのと同様の星空だったのだ。僕が触れているところには何もなかったのである。


 とはいえそこに透明な床があることに気づくのにそう時間はかからなかった。目を閉じ、深く呼吸をしてからもう一度目を開け、その場で立ち上がる。


 地面が見えないその場所において、当然地平線も存在しない。視覚的には僕の体は宇宙空間に浮いている筈なのに、実際にはちゃんと足元には地面がある。


 そのままゆっくりと周りを見渡す。するとちょうど真後ろの少し離れたところになにかが見えた。近づいていくと段々その像がはっきりと認識できるようになる。



 スーツ姿の女性が机に向かって書類作業をしている。厳しい顔つきでペンを走らせ、次々と判子を押していく様子はさながら出来るキャリアウーマンのようで、それ故に周りの風景から浮いていた。



 僕がさらに近づくとその女性はこちらに気づき顔を向ける。そのモデルとして通用しそうな整った顔立ちに思わず息を飲む。すると彼女は作業を中断し、大きくため息をついた。


「はぁ、来てしまいましたか。面倒なことをしてくれるものです」


 ……何この人。いくら美人でも人の顔見ていきなりため息とか流石にムカつくんですけど。


「いえ、すみません。あなたに言ったわけではないんです。どちらかといえば被害者でしょうし」


 ……被害者? 僕は何かの事件に巻き込まれたのか?


「事件というか事故というか……端的に言ってしまえばあなた達を召喚しようとした人達が居てですね……」


 ……召喚ねぇ、それって所謂魔王とか倒すための勇者召喚だったり?


「それならまだ良かったんですけど……」


 ……というか、あんたどういう存在なの? 天使とか、あるいは女神とか?


「……あなた適応力ありますね。思考を読んでいることにツッコミも無しですか。あれですか、アニメとかネット小説とかの影響があるんでしょうね、日本人は」


 ……知らないよ、そんなこと。それよりさっきの質問の回答は?


「ええ、一応女神を名乗っても良いとされているメメントスというものです」


 ……何その婉曲的な言い方。あれか、なんか上位存在がいるってことか?


「その通りです。説明させてもらうとですね……」



 ということで説明してもらったところ、


 僕達の世界ではある神が管理者をやっており、その神によっていくつかの小世界とその管理者達が生み出されている。

 メメントスはその内の一人として小世界ミトゥンの輪廻を担当している女神なんだそうだ。


 そのミトゥンにも知的生命体が存在していて、しかも魔法も存在するらしい。

 その内の、現時点で発展途上にある召喚魔法が部分的に発動された結果、僕達山中(やまなか)高校二年一組が魂の状態でもとの世界の輪廻からミトゥンの輪廻に強制的に移されそうになった所をメメントスがとどめている、というのが今の状況ということだ。


 とはいえ元の世界の僕達の体はすでに消滅しており、僕達はどちらの世界の輪廻に組み込まれて新しく生を受けるかを選ぶしかないようだ。今回に限り次の転生先を人間に限ってくれるとのことである。



「ということで、あなたはどちらの世界で生まれ変わりたいですか?」


 ……もう少し情報をくれないか? ミトゥンの人間の生活水準とか、世界情勢とか。


「残念ながら、私があなたに与えても良いとされているのは、今回の事故の詳細だけです。ただ、ミトゥンを選んだ場合は私の加護を、元の世界を選んだ場合は父神(ふしん)の加護が与えられる予定です。今回のシステムエラーのお詫びとして」


 元の世界の神は父神と呼ばれているらしい。


 ……その加護の内容を教えてく……


「決定前に教えることは出来ません。それより早く選択してください。元の世界へ戻る選択肢が無くなってしまいます。今の状況は私の権限で無理矢理作っているだけで、あなたがこれ以上引き寄せられると向こうへ飛ばすことが出来なくなります」


 ……そんな食い気味に返さなくても……分かった、なら僕が選ぶのは、


「ミトゥンへの転生でお願いします」

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