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本当にソレイユ様ってやべー人だったのですよ

「フェル、相談があるんだけど」

「なに、メル」

レインメルが部屋に来る。


しかし、他の龍族は部屋にくる=殺し合うだったりするのだ。物騒。


「人族のところに戻ろうとか思い始めて」

「ほ、本当に!?」

驚き。

最近は大分慣れてきた気がしたのだが。


「あ、別に居辛くなったわけじゃないよ…いや、ウルは嫌いだし、マディアは嫌だけど」

まあ、それはそうか。


「…あのさ、手紙が来て、家族が戻って来ないかって」

「へえ。珍しいねぇ」

龍族になると、家族と縁が切れる事が多い。

私がそうだ。


「まあ、人族に混じって生きるのもいいかなぁって」

「ふーん」


まあ本人がそれでいいなら、良いのだろう。

現に貴族の元に妾として行った龍族はそれなりにいるのだ。

みな、うまくやっていると聞いている。


「で、ちょっと私は人間の感覚失ってるから、フェルに中身読んでもらおうかなって」

「あ、そういうこと?いいよ。別に」


目を通すが

「…メル」

「なに?」

「騙されてる」

「マジで!?」


そうか、ここらへんの機敏も失うのか。

「あなたの力借りて気に入らない連中皆殺し。罪はあなたが被れって」

「ええー。これそんな内容なのー?」

要約するとそうなる。


「んじゃーやめるー」

「そうなさい…この舐めた手紙寄越した連中に忠告するなら返事考えるわよ」

「まあ、いいや。無視するよ」

「ええ」


しかし人族の元に戻るか。

「そうだ、今度貴族のところに行かれた皆さんに手紙を書こう」



私はここを出た先輩方と手紙でやりとりをしていた。

その手紙を読むと。


「多分、価値観違いすぎて上手くいくんだろーなー」


ヘイルカリ様は、ウルの先輩だが、これがまたウルに凄い嫌がらせをしまくって、ウルに復讐され続けた。


最初は一方的にウルを迫害していたのだが、実力が拮抗したころ、その闘争に疲れたのか降嫁したのだが。


嫁いだ先は名門貴族の長男。

既に跡継ぎもいて、純粋なボディーガードと、家を守る後継者これまたボディーガードが欲しくて迎え入れたらしい。


龍族の特徴だが、人の男性との交尾で子は出来やすい。

出来た子は、ドラゴンハーフとして、身体能力が飛び抜けた子が出来る。


ルカ様は降嫁してすぐ子ができた。


男子ではあったが、既に後継者もいたのでそんなに騒がれなかったらしい。


ルカ様は、緊急時のボディーガードとして、母として淡々と過ごされたらしい。手紙曰わく。


「あんまり会わないし、会話もないから楽」

要は放っておかれたらしい。


妾として、それなりに待遇も良く問題なく過ごす日常。

しかし、それが変わったのは、生まれた男子が7つの時。


後継者であった長男と、次男、そして三男の出来に、貴族とその父が不満をおぼえたのだ。

諍いが多く、素行不良。それだけならともかく、あまりにも無能。


一方で

「龍族のハーフというが、顔は私や父に似ているのだ。母の影響はあまりないだろう」

「そうだ、そしてこの優秀さは、龍族の血というよりも、この血筋特有のものではないか」

ルカ様の息子、ナナセは高すぎる評価を受けたのだ。


とにかく優秀。身体能力は高く、頭の回転も早い。

最初は気味悪がられたらしいが、育つにつれ、父系の顔つきになったこともあり、溺愛された。


そして「後継者は白紙にすべきでは」論が出てきたのだ。

一方で、早々に「ナナセの去就関係無く、私は妾の立場から動きません」と宣言。

権力争いから逃れた。


理由は「面倒だから」らしい。

そうなると、貴族の正妻も無理に実の息子を推す理由もなくなる。

なにしろ、実の息子の長男は母から見てもだめだったのだ。


次男、三男は別の妾の子である。次男、三男に奪われるぐらいなら、正妻の座を守れるナナセに。

そんな感じになり、後継者問題は混迷した。


結局は

「我が血筋をもっともよく引いた者が相応しい」

となりナナセが選ばれたのだ。


今は14。もうそろそろ、家を継ぐらしい。


多分貴族の元に行き、もっとも問題を起こさなかった人だ。


この人の闘争本能は、ウルとので使い果たしたのか、はたまた趣味となったらしい魔物狩りが闘争本能を満たしたのか。


今では後継者の母として敬愛されているらしいが、それでも「正妻は私じゃない」と公式の場には出ない。


その態度は、正妻も信頼しているらしく、正妻との仲は良好なようだ。

相変わらず旦那には放置されているらしい。

だからこそうまくいっているんでしょうけれども。




もうひとり、ソレイユ様。

こちらはなんというか。


闘争本能剥き出しで貴族の出世レースを勝ち抜いた。


貴族と言っても、下級貴族に降嫁したソレイユ様。


その下級貴族は敵地の最前線に位置していた。

降嫁した翌日、散歩ついでに、敵砦を壊滅。


異常に気付いた敵軍を返り討ち。

このあたりで、ようやくソレイユ様の旦那さんは、この妾がなんかやらかしているらしいと気付くが、その時には、相手から宣戦布告が出されていた。


その下級貴族は、最前線の領地を任されていた

最前線は常に両軍の軍隊が入り混じり、畑を耕しても、すぐ荒らされる。


なので、物凄い貧乏なのだ。


そんな悲しい人達なのだが、ただ一人で砦を壊滅させる頭おかしい人がいたおかげで色々大変な事になった。


絶え間なくくる敵軍を、龍族の血を活かして、直接、間接問わず、足止め、皆殺し、足止め、皆殺しで、血の海を作り出した。


あまりの陰惨な戦場に、敵軍は戦意を失い、戦争はなし崩し的に終わった。


そして、相手方の食糧を分捕り、領民に勝手にバラまいた。


領民からは喜ばれたが、下級貴族から見れば、なにしでかしてるんだ。という話だ。


何故ならば、敵軍の食糧や武器防具を奪えば、それは軍隊に渡すものなのだから。


結局、食糧バラまきは黙るしかなくなる。



そうこうしているうちに、ソレイユ様は妊娠しており、第一子を産む。


産んだ後は子育てノータッチで、また気紛れに敵地に勝手に乗り込んで人殺しを繰り返す。


制御不能のアッパラパーである。

実に迷惑な話だ。


しかし、事態は下級貴族に有利に働いた。

敵軍が、前線を下げたのだ。


地続きの前線に留まると、いつあの殺人鬼が来るか分からない。

ならば、川の境まで下がり、そこで監視、撃退しようとしたのだ。


その結果、下級貴族から見れば広大な土地を接収した。


国に報告したが、一時的な撤退と見なされ、どうせすぐ取りかえされると判断。

そのまま管理する事に。


接収した領地には、住民が多くいた。

反抗的な住民も多く、治世は難航を極める筈だったのだが、これまた、気紛れなソレイユ様が、反体制派をかたったぱしから、勝手に皆殺し。


恐怖政治めいた治世だったが、想定以上にうまくいった。


下級貴族自体は、気が弱く、有能とは言い難い人物であった。

それが故に、ソレイユ様の暴走を止めることも出来なかった。


何度かきた国の視察も、気弱で、あやふやな領主を見て「たまたまが重なっているだけ」と判断した。


ソレイユ様と、下級貴族は仲は良好だったらしい。

まあ、年に何回か、気紛れに付き合っていただけな気がするが


子沢山なのだ。恐らく一番産んだ人だ。子は7人できた。

殆ど男子だが、ドラコンハーフには珍しく女子も混じっていた。


広大な領土を持ち、領民の食糧事情も改善し、治安も想定以上によくなり、子にも恵まれる。


子を溺愛して、自ら教育していたその下級貴族は、ソレイユ様が降嫁して十年後、唐突に亡くなった。


手紙にはなにも書いてないが、そのあまりの書いてなさ加減から考えるに、おそらくうっかり領主を殺してしまったのでは無かろうか。


殺すつもりもなく、じゃれ合いのなかで力加減間違えたとかで。



国の方は慌てた。

なんだかんだいって、十年拡大した領土を都の軍隊無しで維持した貴族の死である。代わりを急いで任命しないといけない。


この十年で豊かになった土地でもあるので、代わりはすぐに来た。翌日骸になっていたが。


ソレイユ様は、代任を拒否したのだ。

そして


「敵国が、領主の死につけ込んで攻めてきた」


というストーリーをでっち上げて、代任ご一行を皆殺し。

そして、敵国に乗り込んで、軍隊に突っ込んだ。


十年の治世で、領主に対する忠誠心がそこそこある人が多かったことと、逆らう人間は皆殺し方針により、その領土を掌握。


自分の息子を領主に立て、自らも領主の母として、貴族を名乗った。


貴族って勝手に名乗れるものではないのだが、僅かな寡兵で、敵国の領地を荒らし、食糧と武器防具を分捕ってくる彼女を止める勇気は誰にもなく。


なし崩し的に追認された。ただし、彼女の領地は、旧敵地領土のみ。元々の領土は国に返還

ここらへんにこだわりはなかったようで、あっさりと認めた。


気がつくと、彼女は戦場の女神のような崇められ方をしており、敵から見ると恐怖の象徴だった。


そして、貴族のところに行って15年、領主が亡くなって5年後。


息子のハリル・クラウルが領主として正式に任命された。


その晴れの任命式の当日、母親は敵陣に乗り込み、殺し合いをしていた。

今でも戦場の最前線に出る貴族として猛威を振るっているらしい。


本当に厄介な人だ。関わった皆さんにご同情申し上げる。


ソレイユ様は、ここにいたときから厄介な人だったからなぁ。


ソレイユ様ぐらいまでは、私に対する苛烈な虐めも多かった。


私はやられたことを、他の誰かにするつもりはない。

命令されればやるが、そうでなければやりたくない。


ソレイユ様は真逆な性格だ。


ああ、なんどあの人に屈服させられたか

全裸で土下座で、○○を浴びせられるとか日常だった。


あんな人と十年付き合えた領主というのも、中々凄い人である。


会いたかった気もする。

そして、その息子は大丈夫なんだろうか?

そこらへんの思いを手紙に書いて送った。

前作で出てきたヘイルカリとソレイユは同時期に貴族の妾として館から出ました。

ミシディアは館に残っていますが、有り余る闘争本能のコントロールに苦しみ、今は活動停止状態にして、眠りについています。

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