ウエルカムリンチなんて迷惑なこと考えたのは誰ですか
「ユレミツレ」
部屋を出たあとユレミツレを呼ぶ。
「なんですか、フェルさん」
「龍姫様から命じられたわ。私もやるから」
「ふぇ、フェルさんも!?」
驚きのあまり叫ばれる。
「…あなたとやるわけじゃないわ。1日頂戴」
「そ、それはもちろん」
「ふぇーる。たのしそう。わたしもまぜてー」
部屋にいたウルが絡まってくる。
「龍姫様の御命令よ。ひとりでやるわ」
準備をする。
龍姫様は直接は来ないが、見ようと思えば、屋敷内はいくらでものぞき込める。
なので、手を抜くという選択肢はない。
「…絶対、直接的手段は無理だしなぁ」
根性がないので無理。
「まあ、こういうのか」
そこには無数の○○虫
「これぐらいは耐えてもらおう」
貴族になりたいか。
下民から貴族に成り上がるなら地獄の一個や二個は潜り抜けてもらおう。
深夜、絶叫が廊下に響き渡る。
「…部屋でやるなよ…」
せっかく地下に専用の拷問部屋あるのに。
「いだい!いだい!いだいぃぃ!!!!」
ネイの絶叫。
こんなに大きな声じゃ、人族が住むフロアにも聞こえかねない。
溜め息を付いて部屋に入る。
「あ、フェルさん」
「た、たずげでください!フェル様!!!」
顔面が血にまみれたネイが助けを求める。
「声帯を潰しなさい。人族に聞こえるわ」
助けてもらうどころか、相手に加担するような事を言われ、絶望に染まったネイの顔。
その顔を覗き込みながら。
「ようこそ。龍族の巣へ。ここはこれが日常よ。貴族になりたければ覚悟なさい」
そう言い
「……!!!?????」
声帯を切りやぶる。
「邪魔したわ。良い夜を」
「はい。こちらこそ失礼しました」
ドアを開けると
「にゃはははは」笑うウルと
「あーあ。部屋汚しすぎでしょ」呆れるマディア。
「掃除はユレミツレにやらせましょう」
明日もあるのだ。早く寝る
翌日の朝、ネイはガタガタ震えていた。
「慣れなさい」声をかける
「そ、そんな!?あんなの」
「もう傷も残ってないし、痛みも一瞬だったでしょう?」
「そ、そうですけれど、あんな恐怖」
「あれでユレミツレはかなり手を抜いたのよ」
「…え?」
「あの程度で終わらせるなんて、ユレミツレはあなたを可愛がっている証拠よ」
実際拍子抜けしたのだ。
刃物で刺すぐらいで済ませるだなんて。
「ど、どんな」
「…今日もあるわよ。夢があるのでしょう。耐えなさい」
「…耐えたら」
「なに?」
「貴族になりますか?」
少し考える
「私の先輩のソレイユ様は正式な貴族として迎え入れられたわね」
ソレイユ様を思い出す。
あの人も強烈な人だった
気紛れな人で、ここを出たのも気紛れ。
貴族にまでなって、今でもその立場を守っているらしい。
「…頑張ります」
「頑張らなくていいわ。慣れて」
大体ここらへんの龍族のしきたりは、フェルラインの先輩にあたるソレイユが発端です




