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いつまでもお側にいます、龍姫様

これで最終回です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

フェルライン達が去った戦場

ジュブグランは悲痛な顔でダリスグレアの(むくろを抱えた。

「サウザントではないが、よくやった。よく耐えたよ。お前は暗殺部隊の誇り……」

「げほっ!げぼっ!!!」ダリスグレアが、血の固まりを吐き出し咳き込んだ。


「……は?」ジュブグランは呆然とする。

まさか、思いっきり、腹を貫かれているのに?

しかし、ダリスグレアがまだ生きている、その事実に思わず声が出た

「聖女様!!!!ダリスグレアはまだ生きております!!!祝福を!!!!!」


とっさに、そうとっさに出せる位置に遠距離会話の装置があったのだ。

幸運としか言いようがない。

そして、聖女もちょうど祝福と祝福の合間で一息ついていたのだ。


つまり、間に合った。


「……じゅ、ジュブグラン、さん」

「ダリスグレア!!!生き残った!生き残ったか!!!」ジュブグランは大泣きをしてしまう。


皆が死んだ。

その中で幸運で生き残ったダリスグレアが目の前で戦死してしまうのは、本当に残念だったのだ。


奇跡、それは奇跡だった。

サウザントの攻撃は致命傷では無かったのだ。

痛みの余りに気絶しただけだ。


暗殺部隊としては未熟なのが、幸いした。

ジュブグランやヒルハレイズならば、気絶などせずに、最後まで抵抗したろう。


サウザントも大将格が、痛みで気絶するとは思っていなかったのだ。


「一度引き揚げよう。エルメルダは信仰を残し、帝国に降る。無駄な血を流す必要はない」

ジュブグランは、ダリスグレアを抱えて転移した。

=====================



龍姫は聖女の大陸の指定された場所に降り立った。


「豚、いや聖女、あ、やっぱり豚」

「なによ、ババア」聖女が嫌そうな顔をする。

「いい、派手にやるわよ。これでこの戦争は終わり。双方続ければ大変なことになる。そう思わせる」

「もちろんよ。龍姫。これが最期。いい。私達の決着は別の機会にやりましょう」



龍姫は服を脱ぎ捨てた。

そして

『ドラゴンの恐怖、思い知らせてあげる』

エメラルドグリーンに輝く巨大なドラゴン。

それが荒野に現れた。


「いくわよ!龍姫!私の祝福の力!思い知りなさい!!!」


その大陸では遠くからでも見ることが出来た。

巨大なドラゴンと、天変地異。


ドラゴンに襲いかかる雷や火山、竜巻。

ドラゴンはそれらを蹴散らし、聖女に攻撃を続けた。


そこに有り得ない数のドラゴンが現れ一気にその大地に襲いかかった。


エメラルドグリーンのドラゴンは、漆黒のドラゴンに馬乗りになって暴れたりしていたが、他のドラゴンはひたすらに攻撃。


山は削られ、川は蒸発し、生き物はすべて吹き飛んだ。

その大地は焦土と化した。しかし、聖女は生き延びた。


ボロボロの状態だったが、天変地異を駆使しドラゴン達を撃退した。


エメラルドグリーンのドラゴンは途中から、漆黒のドラゴンとずっと喧嘩をしており、戦いには参加していなかった。



この戦いは帝国でも映像転写で実況されていた。

皇帝はその戦いを食い入るように見て

「最後は人外の使い方か」

と呟いた。

=====================



聖女と龍姫はドラゴン達が去ったあと、再び対峙していた。

「なにあれ?」

「私が知りたい。あの脳味噌ミクロンのクソバカブラックドラゴン、なにも言わずに戦場来るんだもん。取りあえず制裁はしておいたから」


「ドラゴンが30匹集うとか初めて見たんだけど」

「若いドラゴン達が血気にはやって来たみたい。ゴールドドラゴンは止めたらしいわよ。今は時期ではないとね。でも逆を返せばいずれは向かうわ。もちろん私もね」


「ええ。見ていなさい。まだ幼いこの身体でも生き延びられた。身体が馴染めば、逆襲してあげるわ」


「それでは今度こそ」

「ええ。また会いましょう。嫌だけど」

二人は別れた。

=====================



戦争は終わった。

なにも解決はしていない。

だが、取りあえず、この思いもかけず始まった大戦は、一年戦い続け集結させた。


聖女のダメージは大きかった。

帝国側の大陸にあった三つの国は、アディグルのみ残して他は帝国に降った。


聖女の大陸も、ドラゴンが暴れた土地は大きな被害を受けた。もっとも人の被害は殆ど無かったが。


帝国は領土は広がったが、不協和音が大きくなった。

和平路線の大皇后派と、拡大派の皇帝。

元は後者が優勢だったが、この大戦で、大皇后派が伸びた。

それほど、あの人外の戦いは悲惨だったのだ。


また、ディマンド公国は被害が大き過ぎて、公国の維持が不可能となり、帝国は大量の資金援助と、移民政策をせざるを得なくなった。


これにより、帝国は強制的に拡大路線が不可能となっている。

しばらくは動けない。



オーディルビス王国は、聖女に信仰を変え、祝福によって国の維持を図っていた。


まだ、混乱は続いていたが、少しずつ収まりつつあった。


そして、龍族。

フェルラインはしばらく皇帝の元で働いていたが、ようやく戻ることを許され龍姫の元にいた。

=====================



「長らくお側を離れまして申し訳ありませんでした」

「陛下の要望だもの仕方ないわ」

龍姫様はヒラヒラと手を振った。


「大分気に入られてしまったようで」

「ええ、そのようね。私のところに連絡来たわよ。フェルラインを妾に入れたいと」

陛下からもお話されたのか


「はい。私にもされました。それでですが」

長く勤めさせて頂いたし、後輩も育った。これからの後輩の為にも、皇族、皇帝の妾に入るのは良いことだと思うので受けようかと思う。とお伝えしようとしたら


「断っておいたから」

………

「は?」

「断ったから。あのね、今回の騒ぎはね。豚がメルーシャ殺した事から始まってるの。分かる?」

唐突に聖女の話をされる龍姫様。


「世代交代を理由にね、メルーシャを殺した。その結果が、精神の幼いガジャロブの暴走、そしてザディア狂乱に繋がるのよ。メルーシャがいれば、間違ってもあの時にあなたにちょっかいなんてしてないわ」

龍姫様はため息をつき


「もしも、あの豚がジュブグランまで処分していたら、完全に詰んでいたわね。ジュブグランを残したからなんとか凌げた。いい、人材の流出はね、深刻な事態に繋がるのよ。今回は特に思い知ったわ」

つまり


「フェルライン、私にとって、あなたがまだまだ必要なの。まだ側にいてくれる?」

龍姫様の笑顔に


「はい!!!いつまでもお側にいます!!!」

私は心の底から喜び、龍姫様に抱きついた。

============================



今日も館はやかましかった。


「ふぇるーーー、ウルとめてー」マディアが泣きついてくる。

「この前の戦場みたいに暴れれば良いじゃない」

「わーすーれーてー」


マディアにとって、あの狂乱は黒歴史らしい。

いや、本当に忘れたいのはディマンド公国とアディグル王国だと思うけど。



館のトラブルは相変わらず。

いつもどこかで殺し合いが起こり、そのたびに私が走り回る。


それでも戦争に比べればまだ気が楽だ。

あれは本当に苦しかった。

そう思っていると、人族リーダーのカリミアが私の部屋に来て言った。


「大変です!龍族になりたいという娘が!」


まだまだ私の苦労は終わらない。


龍姫様と、愉快な龍族の仲間たちに囲まれて。


今日も私はここで生きる。


次回作は、聖女側の話となります。

こちらは昔書いていたものも無くなってしまったので、一から書き直します。

少し書きためてから公開する予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 世の中は今日も事も……いつものように有り。 まぁ黒龍のアホとこりてない坊っちゃんは大物かアホか。 ともあれ、苦労番のフェルラインと龍姫の一家に幸あらんことを。 一気読みに一気感想つけてす…
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