陛下暗殺、そして聖女への暗殺指令、話が出来すぎてますね
館から合計4人も抜けるので、盛大な送別会をすることになった。
ここで、本当に気付けば良かった。
「人族と龍族は分ければよかったー」
暴れはしないが
「貴族?あんな貧乏で泥すすってた下民がチャンチャラおかしいわ」
ミカミ
「ああ、仕方ありませんわ。貴女のような脳に蛆虫が詰まってる人は貴族にはなれませんものね」
ネイ
この二人も酷いが
「田舎貴族の妃ねぇ」嘲笑うマディア
「田舎じゃない」怒りで顔が紅潮するレインメル
この二人は仲が悪い。
普段は止め役のマディアがこうだと色々困るのだが。
「さけだー!さけをもってこーい!」
案の定、アリスウルが大騒ぎ。
ああ、誰かおさめてよ。
人族の方もすごかった
「アディがいなくなって、テネシーさんまでいなくなったら、わたしどうしたらいいんですか!?」
泣き上戸らしいカリミア。
めっちゃ絡んでる。
人族は人族で大変らしい。
そんな滅茶苦茶なパーティーだったが、幸い暴れることはなく。無事に終わった。
4人がそれぞれの貴族の元へ向かう準備をしていたある日のこと。
信じがたい知らせが館にもたらされた。
陛下、暗殺される
真っ先に龍姫様は聖女に連絡し
「まさか、お前か!?」と聞いた。
龍姫様は絶対に聖女はそんな事はしないと信じていたようだ。
敵だからこそ分かる事がある。
そんな汚い手段をあからさまに使えば、聖女への信仰心が薄まる。
暗殺部隊だって、基本的には聖女暗殺へのカウンター部隊という要素が強いのだ。
その知らせを受けた聖女も
「そんなことはしない。しかし、暗殺なんて、それは事実なのか?」
とかなり慌てた声で返したそうな。
暗殺。
病死ではない。
暗殺。
陛下はまだ45だ。頑健であった。
それでも年齢的には病死もありうる年齢だ。
情報が入ると、それは茫然とする内容だった。
「暗殺テロ」
聖女派の狂信者が、都を視察していた陛下の馬車に突っ込み暗殺成功。
「そんな!?馬鹿な!?親衛隊はなにやってるの!?そんな稚拙な行動が上手くいくはずないでしょう?」
龍姫様が驚愕している。
誰もが信じられない話。
聖女が力を使い、裏から手を回したかなども、龍姫様は検討されたが
「聖女の能力はそんな器用じゃない」
で終わった。
しかし、聖女の狂信者がやらかしたのは事実。
元々険悪だった帝国との仲は最悪になった。
そして
「皇太子殿下から指令が来たわ。聖女を暗殺せよと」
憂鬱な顔をする龍姫様。
「するだけ無駄よ。大陸中に散らばっている転生体候補者を一斉に殺さないと無意味なの。国を荒らしたって、一人でも転生体候補が生きていれば復興できるんだから」
ため息。
龍姫様にしては珍しい。
「いい、わたしも聖女の豚は大嫌い。でもね、無意味な事に私の大事な妾を派遣なんてしたくないの。嫌がらせならいいわよ。でも暗殺よ。転生体への継承エネルギーで、暗殺したやつは、完全に吹き飛ぶわ。龍族であろうとも下手をすると死ぬ」
「私なら復活出来るかもね。でも完全復活には時間がかかるわ」
そして
「フェルライン、どうしたらいい?」
これは相談だ。
命令ではなく、相談。
「私ならば、内密に聖女と話し合いを持ちます」
「なるほど」
「龍族が暴れるのは向こうにとっても本意では無いでしょう。演技ではありませんが、双方が納得するような結末ができるかどうか提案はいけるかと」
「そうね、フェルライン、やってもらえる?」
そして、わたしは何故か聖女の城のど真ん中にいる。
聖女に連絡をしたら
「今、転移の妨害を解いたら、転移してきてくれ」
とされたのだ。
「お久しぶりですわ、聖女様」
前来た時から一年ぐらいが流れていた。
「ええ。ご無沙汰ね。フェルライン」
周りの殺気が凄い
それはそうだろう。
龍姫様の前にガジャロブあたりが現れたら同じ殺気を出す。
「正直、龍姫との話し合いはありがたいわ。私としても困っています」
聖女は本気で困惑した顔を見せている。
「我々としては、全面戦争の引き金となる暗殺など望んでいなかったし、命じてもいない。しかし、結果として、私の信奉者が引き起こしたのは事実」
「はい」
「それに対する詫びとして、私の命を取れと龍姫が命じられたと」
「はい」
ざわめき
「静まりなさい。それに乗り気でないから、龍姫はフェルラインを派遣したのよ」
まあ無理矢理呼び出されたんですが。
「そちらにもスパイはいるけれども、情勢が複雑で困っているの。誰かの陰謀なら助かるのだけれども」
「…龍姫様も、色々疑っているようです」
「でしょうね。あんな雑な襲撃で死ぬなんてあり得ないわよ」
龍姫様は、護衛の失態はワザとだと睨んでいる。
では誰か?
睨んでいるのは、皇太子殿下だ。
しかし、いずれ継ぐのは確定の皇太子殿下が、そんな賭けをする意味がない。
まだ分からないのだ
「我々は動かざるを得ない。だが、無駄な闘いをする気はありません。」
「つまり?」
「街を巻き込まず、デカい空き地でそちらの暗殺部隊と派手な交戦という筋書きぐらいしか思い付きませんが」
「誰が来るの?」
「わたし、アリスウル、カレンバレー、ユレミツレ」
カレンバレーの名前で天を仰ぐ聖女。
聖女側の最終兵器、ジュブグランが、弓が得意なカレンバレーだと無力化されるのだ。
「一応いいますが、わたし以外の三人は手加減とか無理ですよ」
「でしょうね」
バーサーカーみたいなもんだがら
「あなたがいないなら、ガジャロブとヒルハレイズが投入出来るんだけど」
「…そこは妥協できるかと」
あの三人だけかー。大丈夫かなー?
「ジュブグラン」
聖女が呼びかける
「はい」
「できる?」
ジュブグランは困惑した顔。
しかし、
「ガジャロブとヒルハレイズが投入できるのでしたら。カレンバレーは抑えます」
「よろしい。フェルライン、龍姫に伝えて。交戦は承ったと。その上で、事の真相を探るから、その時また話し合いましょうと」
「はい」
そして
「…カレンバレーか…」
憂鬱気に言うジュブグラン
「それより、ヒルハレイズの心配したほうがいいわよ。万全な状態でもユレミツレ相手とか厳しいと思うけれど」
ガジャロブはアリスウルと良い勝負ができる。
だが、暗殺特化のヒルハレイズは色々厳しい。
「そうだな。だが私一人で部隊を率いるプレッシャーよりかはマシだ」
少し安堵したようにジュブは言った。
龍姫様に報告すると、決断は早かった。
「フェルラインは皇太子殿下に報告。アリスウル、カレンバレー、ユレミツレ、この三人はフェルラインの言った地点に移動して交戦。演技をする必要はないわ。全力でやりなさい」
『かしこまりました』
「マディアクリアは聖女からの攻撃に備えた防御部隊と命じます。何人か龍族を使っていいわよ。疑われない程度に動いて。そして、チャズビリス」
思わぬ名前を呼ばれ、振り向いてしまった。
確かにチャズもそこにいた
「はい。龍姫様」
「陛下の暗殺に手を貸した人間を探さないといけないわ。あなたの力を借ります。そいつの五体全てを破壊してでも吐かせなさい」
チャズビリスは跪き
「龍姫様、このチャズビリスの全てをかけて使命を果たします」




