メッタ刺しはイジメって呼ばないから
この話は三人称ですが、基本はフェルラインの一人称で進みます。
ティルディア神聖帝国という、広大な領土を誇る国がある。
その帝国の辺境に存在する、小さな国アルネシア公国。
帝国を構成する一公国であるこの国は、世間から特別視されていた。
一つは領土内に潤沢な鉱山を複数有している事。
もう一つが「龍族」と呼ばれるもの。
この公国の主は、オリジナル・ドラゴンと呼ばれる存在。
見た目は麗しい人間の女性だが、その血を他者に与えると「龍族」とする事が出来る。
「龍族」は不老であり、不死に近く、身体能力も異常に高い。
そんな龍族は、公国内の一つの屋敷に集められ、めったに外に出ない。
これは、そんな龍族の娘達が巻き起こす騒動のお話。
「フェルラインのー。人生相談室ー。ぱふぱふー」
部屋で騒いでるマディアクリアを面倒くさそうに睨む、部屋の主、フェルライン。
「うるさい。寝かせて」
「フェルがつめたーい」
マディアはフェルに、べたべたとくっついてくる。
「龍姫様は今日はウルと寝てるんだから、一番くつろげるの。早く寝かして」
「ウルがいないから相談しにきたんじゃん」
フェルがため息をつく。
「大体龍族なら睡眠そこまで必要じゃないでしょ」
マディアが呆れながら言う。
「思考を整理するのに睡眠は必要なのよ」
「フェルは本当に人間っぽいなぁ」
マディアが笑う。
フェルは、本当にそれだよ。という感じで首を振り
「で、ウルの話?」
アリスウル。
この館の龍族のうち、もっとも暴虐を振るう。
「そうそう。あいつの嫌がらせなんとかならない?」
「…寝てる間に、ナイフで顔面滅多刺しは嫌がらせの範囲内なの…?」
「まあ、治るし。苦痛も一瞬だしね」
アリスウルは見た目十代前半の少女だが、中身は40過ぎ。
十代の無邪気さのまま、四十代の狡猾さを身に付けている龍族だ。
「ウル止められるの、フェルしかいないし」
溜め息。
「やめなさい。といって止めるなら、もうやめさせてる」
「まあねえ」
龍族は不老長寿。傷も一瞬で治る。
身体能力も人間だったときとは比べものにならないぐらい高い。
その代価が闘争本能。
常に誰かと闘わないと落ち着かない。
そして、そのターゲットは同じ龍族になる。
理由は他の種族に向けると、すぐ死んでしまうから。
その本能と
「同じ妾として、他の妾に負けたくない」
という嫉妬心が合わさると
「龍姫様とキスしたから」
という理由で、そいつの顔を滅多刺しとかになる。
「というか、私もよく後輩虐めるけど、フェルは本当にそういうの無いねぇ」
「…あのねぇ…後輩の腕モぐのは、虐めとかいう範囲じゃないわよ」
マディアはマディアで危ない。
姫様の寵愛を受けた直後の後輩の腕をもいで、その腕でオ○ニーしていたのだ。
曰わく
「姫様のエキスが染みてるから」
と言う理由で。
龍姫は、このようなサバイバルを望んで推奨しているが、フェルラインは龍族の争いを避けている。
仲介役と言えば聞こえはいいが、日和主義。
龍族特有の闘争本能が余りない。
ある意味欠陥品。
しかし、龍姫には気に入られており、よく寵愛を受ける。
龍族は、寵愛を受ければ受けるほど、血としては濃くなるのだが、フェルラインの内面はそんなに変わっておらず、どこまでも人としての意識が引っ張っている。
一方で、フェルラインは龍族としての誇りは誰よりも高いと自負している。
「フェルの寵愛は羨ましいけど、あなたみたいな生き方は無理だなぁ」
フェルの内心を読んだようなマディア。
「少しは悩まず生きたいわ」
「じゃあセッ○スしよう」
「はいはい。ひとりで寝てね」
妾同士のセッ○スは禁止されていない。
むしろ、積極的に推奨すらされている。
龍族にとって淫らさは善なのだ。
もっとも、許可なき男性との性行は許されないが。
フェルも何人も寝たことはある。
特にフェルラインは闘争本能があまり無い代わりに、性的欲求が大きく、このマディアとも何度もしている。
今日はそんな気分でないだけ。
「はいはい。んで、もう一個相談が」
「…まだ、あるの?」
寝かせろという顔でフェルが見る。
「ネイが龍族になりたいって」
「…本気?」
呆れるフェルライン。
館には二種類の種族がいる。
人族と龍族。
人族は実質お手伝いさん。
驚く程の高給のため、希望者はひっきりなし。
ただし、年齢制限があり、18には外に戻る。
一方龍族。
まず龍姫の寵愛を受けないといけない。
これが第一段階。
次に血を受け入れること。
自分が人でなくなる恐怖。
これを乗り越えるのが第二段階。
最後、このリンチ地獄のサバイバルレース
龍族は人族にはとても優しい。
しかし、龍族になれば一気にそれは潰し合いになる。
顔を滅多刺し、腕をもぐとかは日常である。
このサバイバルレースに負けたりすると、龍族のまま外に出る事になる。
もっとも、龍族は希少価値が高い。
貴族の妾兼ボディーガードとして、引く手あまたなのだ。出た先に困ることはない。
さて、ネイだが
「無理だと思うよ」
「だよねー」
内気で弱気で引き籠もり。
龍族に向くのは、マリスのような
「まあ、いいっか」と受け流すタイプと
負けず嫌いで執念深いタイプだ。
でないと、自分の顔を滅多刺しする相手とどう顔を合わせればいいのか。
「ウエルカムリンチで、初日でダウンするんじゃないかな」
「うんうん」
間近の龍族だとカリスナダやユレミツレが該当する。
二人の初日は、カリスナダはアリスウルとその取り巻きに五体バラバラにされた。
ユレミツレに至っては、カレンバレーに生首にされてハンマーで顔潰されたのだ。
その二人は、カリスナダはアリスウルを闇討ちして切り刻んだし、ユレミツレも、カレンバレーを火達磨にしたりしている。
生き残るのはこういうタイプだ。
「待望の後輩誕生で、ユレミツレが張り切ると思うな」
「あー。確かに確かに。なにとかするのかね。」
「○虫を強制的に××せて、時間たったら、身体バラして、体内に○○いるの確かめさせたりとか?」
「あー。ネイ、虫嫌いだしねぇ」
フェルラインは龍族というのもあるが、自身がひどい目にあっていたので、そういうグロテスクなものに対する抵抗がない。
「というわけで、ネイを止めよう」
「まあ良いけど。明日にしましょう」
「そうね、おやすみなさい」
「ええ。良い夜を」
やっと寝れると、フェルラインは豪華な布団にくるまり、寝ようとするが
「…なんで布団にいるの?」マディアが潜り込む。
「え?セッ○スをね」
「…あんたねぇ」
マディアはニコニコしている。
言い合いするだけ時間の無駄だと思ったのか
「仕方ないわね…しましょう?」
「うん♪」
「娼婦が嫌なので色々努力をしていたら、なぜかドラゴンになっていた」
で、メイルが、オルグナとリグルドに最後の挨拶を済ませたあたりの時代です。




