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転移指定場所が兵士のど真ん中とか本当に腐った大陸だな、と思ったら原因は先輩でした

転送と言っても万能ではない。

万能だと暗殺されほうだいなので、大抵は転送拒否の魔術がかかってるし、マナーとして転送する場所は決められている。


その場所がこちら

「本当に腐った大陸ね」

兵士の駐屯地。

この大陸は全て聖女の庇護の下にいる。

国は分かれていても、聖女に逆らう者などいない。


ここにいる軍隊は連合軍であり、転移者が異常な事をしないように見張り、ヤバい連中は即座に殺す。

さて、声をかけられる前に名乗るか。


「お見知り置きを。ティルディア神聖帝国に仕える、アルネシア公国の公女。ドラグネイシア・メイ・ルテルスが使者、フェルライン・ルテネスです。聖都へのご挨拶で参りました」


「これは、これは。ようこそいらっしゃいました。公国の使者ですか」

にこにこしながらひとりの兵士が来る。


「どうぞこちらへ。聖都までは馬車で行かれますか?」

「ええ。そうします」

「転移ですからお一人でしょうが、お連れの方は?お待ち合わせされますか?」

「いえ、わたくし一人です」

すこしざわつく


「この大陸は確かに平和です。しかし、夜盗がいないわけではありません。馬車を頼むにしても護衛は必要かと」

「不要です。馬がいればそれで構いませんし」

ニコリと笑う。


「わたしは人ではありませんから」

「…え?」

すると


「あ!あああ!そうだ!アルネシア公国!龍姫!龍族だ!」

後ろにいた兵士が叫ぶ。明らかに怯えている。


「龍族…?」

「なんだ、それは?」

「…ま、まさか、あれか!?15年前の悪夢の…」


15年前?

「ソレイユ様がなんかしでかしたんですか?」

この大陸に来た15年前の龍族で該当するのはソレイユ様しかいない。


「そいつだ!そいつが!当時の転移所のあった街を、毒虫まみれにしたんだ!人が大勢死んだ!」

なにやってたのソレイユ様。


帰り道、気が向いてやらかしたんだろーな。

しかし毒とか虫が好きな人だな。あの人。


「ご安心下さい。わたしはあの人ほど、頭おかしくありませんし、あの人はもう公国にはおりません」


「し、信じられるか!?」

「ふふふ、ではどうされます?闘いますか?わたしは使者として来たのであなた方を殺したくはありません。しかし、襲われれば反撃しますし」

言葉をきると


「一度拳を上げれば、目の前から呼吸する音が消えるまで闘い続けるのが龍族です」

にこやかに笑う。


「まあ、という訳です。馬車を借りますので通して下さい」

「せ、聖女様に、お会いになるのか」

「少しは信じてあげたらどうですか?あなた方が信奉する人でしょう?わたし如きじゃ殺せませんよ」




馬車に乗るが異常に豪華だ

金払いが良いのと、あの兵士駐屯所から、問答無用で付いて来た兵士が大勢いるのだ。

なにもしないと言っているのに。


旅の道中。

ある兵士から因縁を付けられた。


「お前!聖女様に本当にご迷惑おかけしないんだろうな!」

若い兵士だ。まだ十代かもしれない。


「迷惑?さあ?」

わざとふざけて返してみる。

「殺さないだろうな?と言われれば、殺さないと答えるけど」

クスクスと笑う。

たまにはこういう意地悪する側にもなりたいものだ。

いつも、溜め息ついて、トラブル解消に動き続けるのも疲れるのだ。

たまにはハメを外さないとね。


龍姫様も「無難にやれ」と命令している。

あれは「迷惑をかけるな」ではない。


「ソレイユはやりすぎだが、ほどほどにやらかせ」である。


聖女のこと本当に嫌いだしな。龍姫様


「こっちは真剣に聞いているんだ!」

顔真っ赤。まあ真剣ね。

しかしこれだけ騒いでも他の兵士は騒がない。同じ思いなんだろうな。きっと。


「ふふふ、真剣よ」

そういうと、その兵士を抱き寄せる。


「な!?な!?」

「龍族を知らないから仕方無いけれどね。いい。私がやろうと思えば」

そう言うと剣を取り上げる。


「な!返せ!」

そして


ぐにゃ


「…え?」曲がった剣を呆然と見る兵士。


片手で力を込めれば、剣ぐらいは折れる。

そして、その曲げた剣の鞘を破壊し


「くすっ」

刃先を思いっきり首に刺す

「な!な!」しかし

「どう?傷もう無いでしょう?」

血を拭けばもう傷なんてない。


「素手でも、この数の兵士なんて数分で全滅よ。そして、そんな刃物の傷なんてすぐ癒えるわ」

ニコリと笑って


「いい?本気になればいくらでも迷惑なんてかけられるのよ?ソレイユ様がどんな酷いことをしても龍姫様はまだ平然と生きている。つまりね、聖女は、私がどんな酷いことをしても、龍姫様を殺せない」


そして目を細め、耳元で甘い声で囁く。


「分かった?私が寛容であり続けるようにもてなしなさいな。少しでも苛つかせたら、挨拶代わりにこの部隊を全滅させるわよ」



脅しは効いたようである。

あれから明らかに私に対する態度が変わった。

怯えられるのは慣れているし、居心地はいい。


さて、その間にどんな嫌がらせするかと思うが、取りあえずソレイユ様のように、聖女に会うまでは止めるべきだろう。

帰り道だ。

そんなことを考えていると


「貴様等!我々をなんだと心得る!」

兵士が叫ぶ。

なんだろうと思って覗くと


「おお」ザ・盗賊という人たち

治安は良いと聞いたが、やっぱりいるんだね

「金目のものだけ置いていけ。それ以外には手を出さん」


「フザケるな!我々は軍の精鋭!盗賊などに屈するわけが無かろう!」

「へー。凄い。100人ぐらいいるし」

わたしが呑気に言う。


こちらは20人。あちらは100人。


「な、なんだと!?」

「完全に囲まれてるね。いや凄い」

「く、くそ。だが我々は」

「弓構えてるよ。取りあえず盾を構えなよ」

「な!?本当か?」

「はいはい。疑う前に構えなさい」


すると

「ほう。すごいな。夜目が効くのがいるのか」

「金目の物はあるのだけれど、聖女に渡さないといけないの」

「…そうか、だが関係ない」


「お、聖女なんてくそ食らえって?感心感心」

私の中で好感度アップ


「兵士の皆さん、私を守ろうとしなくて結構ですよ。逃げても仕方ない戦力差ですし。もし闘うにしても、わたしは加勢できません。私が闘う時には、目の前の全てが死に絶えるまで終わりませんので」


「…取りあえず、馬車に戻れ」

「ええ。そうします」


「まて、そこの女。お前は気に入った。乱戦で死なすのは惜しい。こちらに来い」

「貢ぎ物と一緒で良ければ」


「どうだ、兵士諸君、この女と貢ぎ物を受け取れるならば、君達と闘う意味は無くなる。引き上げるならば弓を下ろそう」

「フザケるな!」

「やつらの口車に乗ってはいけません!」

「あら?心配してくださるの?大丈夫よ」

にこにこ笑って

「たかが百人、10分かからないわ」



「大将!すげえいい女っすね!」

「お、おれ、こんな女見たこと無いっす!」

「落ち着け。勝手に手を出すな」

結局、兵士達には


「100人相手に勝てる気があるなら良いけれど」と言ってこちらにきた。


「お前は何者だ」

「ティルディア神聖帝国に仕える、アルネシア公国の公女。ドラグネイシア・メイ・ルテルスが使者、フェルライン・ルテネス」

「…は?」

「…え、え?」

混乱している。


「隣の大陸にある公国の使者」

「なるほど」

「んで、御要求は?」

「その貢ぎ物を寄越せば見逃してやる」


「ええ!?大将!そんな!」

「貢ぎ物は勿論、一発ぐらい、やらしてくださいよ!」


「襲うな。交渉にならん」

「ええ。交渉の必要はありません。何故ならば、私は主人である龍姫様の御命令には逆らえませんで。貢ぎ物も渡せなければ、この身を汚すことも許されません」


「こ、こいつ」

「立場分かってるのか?」

しかし、大将と呼ばれた人はなにか悩んでいるようだ


「まて、おかしすぎる。なんだこいつは。なぜ欠片も怯えない」

「怯える?私が人族に怯える?」

にこにこ笑う。


「あなた方はあの聖女に逆らうのでしょう?なかなか愉快だから顔を見に来たんですよ。聖女に逆らう人間を減らす真似はしたくありませんわ」

そして、傍らにある木に手を置くと

「改めて自己紹介」

そう言って木を片手で握りしめ、そのまま引っこ抜く。


「龍姫様にお仕えする龍族がリーダー、フェルラインです」

片手で巨木を引っこ抜き、片手で支えながらにこやかに笑う私を見て、盗賊一堂は腰を抜かす。


「人族如きが100人いても、私には全滅させるのに10分かかりませんわ」

「や、やめろ」


「もちろん止めますわ。これからも聖女に対する嫌がらせを続けて欲しいですもの」

そして


「貢ぎ物には手を出せませんが、私が自由にできるお金はありますわ」

そう言って金貨の袋を出す。


「ざっと500金。これぐらいあれば盗賊稼業も捗るでしょう」

そして、袋を投げる。


その袋は木にめり込んでなぎ倒す。

「それと、これは毒です。川に流せば下流は全滅します。しかも、のたうち回って血反吐吐く愉快な光景が」

にこにこ笑う。


「まあ、聖女が癒やすから死にはしませんよ。ただしばらく戦闘不能にはなりますから。盗賊したいほうだい」

「まあ、そういうことで、これからも頑張ってくださいね」



「だ、大丈夫だったのか!?」

「あら、逃げずに留まっていたのですか?」

ちょっと驚き。


「なにもされていないのか?」

「手持ちで自由になるお金があったので、それで見逃してもらえましたわ」


「そ、そうか」

「無事なのはなによりだ」


「じゃあ、また旅続けます?」

「ああ…その、弁償はするよ。いくら取られたんだ?」

「500金です」

「大金だな。全額とはいかないが、報告はする」


500金なんてゴミみたいな金額だけれども

わたし、20000金ぐらいあるし。

「まあ、いいですわ。取りあえず出発しましょう」


それよりも、盗賊に金と毒を渡したのは不可抗力みたいな流れを、兵士の口から言わせるのは大きいな。と思いながら次のアイデアを考えていた。

=====================



「フェルはいつ帰ってくるんだ?」

カレンバレーはサウザントの疲れ果てた顔を見ながらため息をつく。

「知らない」


「こんな事務仕事、龍族向きじゃない。カリスナダにふれ」

「だから、あいつはマディアと付きっ切りで訓練してるって言ってるじゃん。記憶力パーかよ」


サウザントは口が悪い。最悪だが他に事務仕事できるのがいないので、カレンバレーは仕方なく呼んでいた。

マディアとカリスならできるが、今は無理。


「カレン、もうここらへんでいいじゃん。後は人族にやらせよう」

「仕方ない。テネシーにお願いするか」


「ったっく。確かに私達じゃ聖女を殺しかねないにしてもなぁ。私も行きたかったなぁ」

「サウ、あんなとこ行きたいのか?」


あんな連中にペコペコする役目なんて無理だ。というように、カレンバレーは首を振る。


「えー。だってソレイユの話とか聞くと楽しそうだったよ。衝動で人殺さなきゃ、なにやっても良いんでしょ?ソレイユ、毒花と毒虫と毒水バラまきまくったらしいよ。ゲラゲラ笑いながら言ってたし」

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