わたしはそんな教育をした記憶がございません
結局テネシーは帰ってきた。
人族的には、新リーダーのミカミがちょっと色々危ないので、お目付役として残るのは歓迎だったらしい。
仲良くやっているようだ。
龍族もネイが大分慣れてきた。
龍族同士の殺し合いは止めようがないが、大きなトラブルとはならないまま日が過ぎる。
そして、また、特大のトラブルが来た。
「はあ!?ミカミが龍族!???」
真っ青な顔でテネシーとカリミアが部屋に来たのだ。
「ほ、本人がなりたいと言ってるの?」
「は、はい。ねえ、カリミア?」
「そ、そうなんです。最初は冗談だと思ったんですが」
「この前ネイがなったばかりよ…もう…」
「で、でも、龍姫様が断ることは…」
「ミカミは龍姫様気に入るわよ…なかなか良いって話しているもの」
本人が乗り気。龍姫様もお気に入り。
そして最後の懸案、サバイバルレースだが
「ミカミならネイより特性ありそー」
あー。面倒。
「問題はないと」
「ええ。もうそうなるもんだと思いましょう。そうしたら人族リーダー交代よ。カリミアがやるの?」
「私はそう思ってます」
「え?で、でも」
「カリミアは16と幼いですが、問題ありません。私も16でやりました。」
「龍姫様にそう報告するわ」
しかし、ミカミかぁ。面倒くさいなぁ
本当に面倒だった
「ふふふ…よりによってミカミ…ミカミ…あいつが後輩…ふふふ」ネイが怖い。
なにか、ミカミとは人族時代になにかあったらしい。カリスナダと、テルネイトを呼び出したら、ネイがこうなった。
「ああ、そう言えば、ネイはミカミの後輩に当たるのか」
「…正確には同期なんですが、あいつは年齢をかさにたてて…」薄暗い笑顔を浮かべる。
「なにをしようかな。まずはあの生意気な○を抉ろうかな。○が自慢とか言ってたし、あと鼻よね。鼻はそぎ落とそうっと」
…
「カリス、なんかもうネイがやる気満々なんだけど」
「譲りますよ」
翌日、私とテネシーでミカミと面談
「龍族になる気あるの?」
単刀直入。
「は、はい!可能であれば!」
「あなたなら良い龍族になれるかもね。龍姫様に推薦してもいいわ」
「ほ、本当ですか!?」
まあ、もう存知なのでしょうけれども。
「ただし、入る前に、龍族のメリット、デメリット説明するから。それで決断できれば来なさい」
そして、龍族のメリット。実質不老。
不死とは言わないが、殆どの傷はすぐ癒えること。
切り刻まれても死なない。
圧倒的な体力。腕力。そして知性も人族と比較すると向上する傾向がある。
人族の時の私はもっとグズだった。
龍族になったとたんに、様々な事柄の理解が出来るようになったのだ。
ここまでは良い。
次にデメリット。
「性格は変貌するわよ」
「…ど、どの程度でしょう?」
自分が自分で無くなる恐怖。
これはきちんと説明しないといけない。
「根幹は変わらない。変わるのは人族に対する扱い。本当に自分とは別物、愛玩動物扱いになるわ」
「愛玩動物…」
「可愛い犬に接する気分ね。自分の親にもそんな感情抱くから、まず上手くいかなくなるわね」
これが一つ。
「次に闘争本能。これが大きい。龍族になるとね、争いに対する感情が大きくなるのよ。なまじ強いだけに、人族や魔物を殺しても全然物足りない。単なる虐殺にしかならないからね。向ける先は一つ。同じ龍族」
「つまり」
「聞いたことあるでしょう?龍族同士で殺し合いしているのはそう言うこと。イジメとか、イビリと呼んではいるけれども、実際は闘争本能を満たす殺し合いよ」
「な、なるほど」
「この2つ。まああと、淫らさとかはあるけど、これは別に全ての龍族に当てはまる事ではないし」
「…纏めると、人族を馬鹿にするようになる。争い事が大好きになる。ということ」
「…それだけですか?」
「そうね」
「じゃあ!問題ないです!」
でしょうね。ミカミは元々周りをバカにしてるし、争い事が大好きだ。
「で、次のデメリット。男とのセックスは、ここでるまで出来ません。」
「あ、まあそれは。出たいと言えば良いんですか?」
「貴族の妾としては引く手あまたよ」
「うん、大丈夫です」
「次、既に説明したように、龍族には闘争本能があります。殺し合いは日常です。なので、新参者には、ウエルカムリンチが」
「…嫌な風習ですね」
「それに耐えれば次はあなたが後輩にやる側よ」
「みんなにやられるんですか?」
「いいえ。ちゃんと一人選んでやるわ。ネイは例外だったけれど。大抵は一人が3日間やるぐらいね」
「…先輩というと…ネイか」
ニヤリと笑う。
多分あの気弱なネイならそこまでではないと思っているのだろう。
「大体大丈夫です!」
「そう。じゃあ決めたのなら龍姫様に…」
「素晴らしいわ。ミカミ。さあ、おいで」
背後に龍姫様がいた。
「テルネイト。準備に必要な道具があれば言いなさい」
「はい!とりあえずノコギリと、○○を引っ張り出す拷問具ありますか!?」
「突き刺すの?えぐり出すの?」
「出来れば○○は綺麗に取り出したいです」
「ふむ。じゃあ『銀のスプーン』がいいわ」
銀のスプーンというが、本当のスプーンじゃない。
そういう拷問具である。
「あと、鼻を削ぎたいです」
「まあそれはいくらでも。キレ味を考えると良いわ」
「ふむ。そうですね。悪いキレ味の方がいいか」
「一応言うとね、龍族の治癒力なんだけど、基本は頭から癒えるの。だから、首を斬られると、クビの下から接着していく。なので、○○をえぐり出すと、その奥から徐々に○○が復活するわ。ただし、時間はかかるけど」
「首と身体が離れていたらどうなるんでしょうか?」
「いずれは身体ごと復活しそうだけれども、凄い時間がかかるわ。たいていはその前に身体を組み合わせて接着させるわね」
「なるほど」
ああ、この話すると思い出すなー。
ソレイユ様のウエルカムリンチ。
五体バラバラにして、○虫の湧いた便所に生首
をほおりこむ。
接着しようとする首の部分に○虫がまとわり付いてきて…
ああ、もうあの発想力はなんなんだ。
「3日間で復活させてね。儀式やるから」
「はい!わかりました!」
「ネイのウエルカムリンチ、気にならないの?」
ウルが私の部屋で寛いでいる。
「問題ないわ。ネイはちゃんとやる」
「手を抜かれても困るんだけど。新人にはビシッとね」ケタケタ笑うウル。
「そう、心配なら見に行く?」
「行く行く♪」ニコニコしながらウルが付き添う。
すると
「あ、ウルとフェル」
マディアがいた。
「ちゃお、マディア」
「こんばんわ」
「マディアも心配できたの?」
「ええ。まあ、大丈夫そうよ。いや、悪い意味で強烈だわ。フェルにウエルカムリンチされると、みんなこうなるのかね?」
そこには
「アハハハハハ!どうですか?自分が豚声しかあげられなくなる気分は!??」
「ご!ごろじでやるぅ!!!」
片○を抉られ、鼻を削がれ、誇りにしていた美貌と美声が台無しにされたミカミと
「そうですよ!龍族は殺し合うんです!先輩としてキチンと教えてあげますよ!龍族のなんたるかを!まずは言葉使い!」
見たことがないほどウキウキして顔が上気しているテルネイト。
「ぐ、グギャアアアアアア!!!!」
「アハハハハハ!豚なんですから、ぐぎゃあじゃなくて、ぶひぃでしょう!丁寧語で喋るまで続けますよ!!!」
抉った○○に熱した石を捻りこむ。
これは苦しいでしょうねー。
なにしろ、○○が復活しようとしている繊細な部分に直線攻撃ですもの。
「まだまだありますよ?なにしろ3日間ですからねぇ♪こんな刃物や石とかじゃないですよ♪いくらでも道具はありますから♪」
そう言って樽を取り出す。そこには
「あ、ああああああ!!!!!!」
「ミカミは蛇嫌いでしたもんねぇ♪さあ、蛇嫌いを治しましょうねぇ♪とりあえず、○○に入れれば好きになるかなぁ♪」
おもむろに○を切り裂く
「ぐ、グアアアア!!!」
「○○に♪いっぱい、入れましょう♪」
まだ生きている蛇を切り開いた○○に突っ込む。
すると当然
「あ!アアアアアアア!!!!!」
暴れるし、噛みますねー。ああ、失禁して、○○まで。
「…フェル直伝だ。弟子が出来たね」
ウル。
「あんなの教えてない」
「まあ、安心したわ。言葉使いから教えるなんて、ネイちゃんと出来てるじゃない」
マディア
「ギャアとか、グギャアしか言ってないけどね」
まあ、ウルも納得したようだ。戻ろう。
しかし、その瞬間
「本当にフェルは素晴らしいわ。まあ、ソレイユの系譜な気がするけど」
「りゅ、龍姫様」
戻ろうとした先に唐突に現れる龍姫様。
「興奮したわ。テルネイトが多少落ち着いたら抱いてあげようと思うの。その間頼める?」
「は、はい!わたしが…」
「ああ、フェルはいいのよ。他の娘にやらせて」
「そうですか。では…」
ウルにするか。と思った矢先
「か、カリスナダはどうでしょうか?まだカリスナダは教育を行っていません」
マディア
「そうね。マディア、面倒見てあげなさい。」
「分かりました!」
なんとなく分かる。
ウルにやらせたくないんだろうなぁ。
「フェルはこちらに来なさいな」
「かしこまりました」
部屋に呼ばれるが
「重大な任務を命じます」
「はい」
なんだろうか。少し不安になる。
こんな前置きで命じられた事なんて殆どない。
「聖女は知っているわね」
「はい。隣の大陸に降臨する邪教の豚です」
「大正解よ。さすがフェルライン」
正直、その名前が龍姫様の口から出たことが驚きだ。
なにしろ、その名を聞くだけで不機嫌になるのだ。
「姫様にその名を呼ばせる事が罪ですわ」
「ああ、その通りよ。フェルライン。愛してるわ」
口付け
「ひ、ひめさまぁ♪」
嬉しい。快楽が身体中に響く。
「その豚がね、この前代替わりしたのだけれども」
「…転生、ですか」
「最悪の生き方よ。忠実な娘を集めて、その身体を乗っ取り、不死を気取る」
嫌悪を隠さない龍姫様。
「なにより気に入らないのが!代替わりしたら、囲いを全員殺す事よ!!!名目上は確かに転生体だから、代替わりしたら入れ替わるんでしょうよ!それにしても、飽きたから全員殺すの!?最悪すぎでしょう!?私も大概だけれど、あいつは最悪すぎるわ!!!」
龍姫様の激高する姿は貴重だ
本気で嫌いらしい。
多少似たもの同士だから、同族嫌悪もあるんだろーなー。と思うが。
「その豚の代替わりへの挨拶ですか」
「ええ。フェルラインは話が早くて助かるわ。私が行けば、速攻で転生体ぶち殺しそうだし。でも、そんなことしても無意味なのよ。あいつの転生体候補は腐るほどいるからね。その転生するエネルギーの余波で吹き飛ばされるし」
溜め息。
「同じ理由でアリスウルとかもダメですね」
「前、嫌がらせでソレイユ送り込んだら大騒ぎになったわ。大変愉快だったわよ」
聞いたことがある。
特に問題起こさないように見せかけて、庭に咲いている花に魔術をかけ全て毒草に変えたのだ。
結果、帰国後パニックになったらしく、ソレイユ様はその様を転送装置で見ながらゲラゲラ笑っていた。
「まあ、あの時は仕返しもされてね。今回は転生の挨拶だし、無難にいくわ…で、無難に出来るのはあなただけよ、フェルライン」
「分かりました。今後、人族の理性が残っているカリスナダや、今回のテルネイトにもふれるように教育しますわ」
「テルネイトは面白いわね。カリスナダは少し心配よ。マディアに命じて少し教育してあげて」
「かしこまりました」
「まあ、まずは出発して頂戴。転移使うから明日ね。」
「かしこまりました」
「わたしは…」
「カリスナダ、龍姫様の御命令よ」
マディアと、カリスを集めて話し合い。
「マディアの指示に従ってやりなさい。正直、あなたに合わせて色々考えてもらえるとしたら、マディアが一番良いわ」
マディアもまともではないが、一応はそれなりの配慮はできる。
なにより、マディアとカリスは仲が良い。
「わ、分かりました」
「マディアお願いね」
「りょーかい。で、フェルは?」
「豚に会ってくるわ」
「豚?」
「ええ、邪教の豚」




