ロリババアは元気?で通じるのもどうかと思います
頭を抱える。
とりあえずテネシーを椅子に座らせ、蜜水を用意した。
「誰にも言ってないの?」
「口に開いたのは、これが初めてです」
「なぜスパイだと」
「遠距離会話装置と、メモが見つかりました」
「…迂闊すぎでしょ…」
天を仰ぐ
「普段は魔法で隠していたようです」
「誰かに嵌められた可能性は?」
「それは真っ先に疑いました。しかし、そのメモはその娘しか書けない内容です。言語もその娘しか難しい。字体も一緒ですので…」
「名前は」
「レイラです」
脳裏に浮かばない
「全然印象にないわ」
「龍族には関わらない人族でしたから」
テネシーはため息をつく
「こちらに来てどれぐらい?」
「半年です」
「半年か…遠距離会話装置使えばわかるもんだと思うけれど」
あれは空間の歪みを感知する。私だってこの屋敷内で使われれば気付く。
「まだ使っていない。と考えています」
「…ある程度成果が上がってからか」
「手紙の方が安全ですから。既に、彼女は3通送っています」
「内容は?」
「毎回私が確認していますが、二通までは全く気づきませんでした。3通目の内容に目を通した時に違和感を感じて調べたのです」
「その3通目の内容はわかる?」
「書き写しています」
ざっと目を通すが
「…ああ、アナグラム…」
分かりにくい。これはよくテネシーが気付いたな。
「なにを伝えているかは分かりません。しかし、最初の手紙に書いてあった妹への対応が変だったのです。好きなものが変わっていました。それでおかしいと思いました」
「…なるほど、そっちで気づいたのね」
「フェル様はなにが書いてあるか読めますか?」
「ええ。『監視が厳しい。遠距離通話は察知される。まとめて報告する』だそうよ」
「…なるほど。では、まだ」
「ええ。幸いまだ漏らしていないわね」
さてどうするか。龍姫様はこの館のことを知らないわけはない。
知っていて泳がせているのだ。
そのうえでどうするか。できればこれ以上地下牢送りは避けたいのだが
「…テネシー、あなたもうじき18よね」
「…え?は、はい」
「あなたは優秀だけれども、年齢制限に例外はないわ。そしてあなたは龍族の血を拒否している。賢明な判断だと思うけれども、ここからはもう出ていくわ」
「は、はい」
テネシーはなんの話だろうと怯えている。
「街に戻れば金はあった方がいいでしょう?」
黄金をテーブルに置く。
「…な、なにを…」
「退職金奮発するから、レイラを追い出してくれない?」
「お、追い出す…?」
「いい?この館の事で、龍姫様が知りえないことなんてないのよ。知っていて泳がせている。つまり、存知だということ。スパイなので首にします。と言っても多分頷かないわ」
「で、では、どうしたら」
「本人がこんなところにいたくない。と思うぐらいにイジメてくれない?」
テネシーの顔が引きつる
「まだ長くいる娘には頼めないけれども、あなたはもう辞めるし、幸いあなたの故郷の周りに人族のお手伝いいないでしょう?ここで評判落としても問題ないわ」
「い、イジメると言っても」
「私たち龍族はね、思考が男性的になるの。いじめだ、いびりだと言っても、直接的な攻撃になりやすい。でも、本来の人のいじめってそういうものじゃないでしょう?もっと陰湿で、心を抉るようなものになるのよ。私やソレイユ様のような」
そうだ、言っていて気付いた。ソレイユ様は女性的だったんだ。
龍族の血を飲んでも、女性性を失わなかった。だからこそああだったのか。悪い方に出たのだが。
「やり方に困ったら相談しなさい。その為の道具ならいくらでも用意するわ。…本当は龍族でやりたいのだけれども。多分殺してしまうから」ため息
「強制ではないわ。選んで」
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テネシーは悩んでいた。
「…そんなこと言われても~」
ジタバタ
フェルラインの言いたいことはわかる。分かるが、という感じで苦悩していた。
「いじめなんて…出来ないでしょ」
頭を抱える。
テネシーはそう言うタイプではない。
どちらかと言えばいじめられるタイプである。
本人的には、なんでリーダーになれたか不思議なぐらい。
部屋でじたばたしていると
「テネシー、ちょっといい?」
同僚のグレイが来る。
「どうしたのグレイ」
「目にクマが」
「ちょっと悩んでいまして」
「いつも悩んでるね、テネシーは」
まったくだという感じで、ため息をつくテネシー。
「それでなんの用?」
「献立の相談」
「ああ、そうね」龍族含めた食事の相談だ。
紙に書きながら相談する。
ふと気になって、テネシーが話しかける。
「…あのさ、レイラいるでしょ?」
「…ああ、レイラ?あいつがどうしたの?」
少し不機嫌になるグレイ。
おや?と思い聞き返すテネシー。
「…もしかして、グレイも、レイラに思うところあるの?」
テネシーから見ても印象が薄い子だったのだ。
「あるよ!あいつ、なんかあるとさぼるし…、こっちを見下してるの丸わかりだし…」
彼女はスパイの命を受けている以上、それなりの身分で教育も受けている。
どうしても、他人を見下す雰囲気みたいなものが身についてしまっているのだろう。
さぼっているのは、情報収集のため、離れることが多いから。
「…テネシーにだれかがチクったの?どうせテネシーは止めるんだろうけど…」
「止めないわ」
「…は?」
グレイが呆然としてテネシーを見る。
「止めない。責任は私がとる」
「……」
じっとテネシーを見るグレイ。
「レイラに思うところある娘は何人ほどいるの?」
「愚痴なら6人ぐらいかな…」
「私が責任とるし、絶対に処罰しない、させないって伝えて」
少し黙ったあと
「龍姫様とフェルライン様もお認めになられるわ」
テネシーはフェルラインに向かい報告をするが
「素晴らしいわ、テネシー、フェルライン」
背後に、突然龍姫が現れる。
「テネシー、あなたの有能さは惜しいわ。龍族になれ。とは言わないから、その去就は色々考えてあげる」
「あ、ありがとうございます」
緊張のあまり震えるテネシー。
「フェルライン、夜来なさい」
あでやかに笑って龍姫はいなくなった。
「…まあ、そういうことだから」
「は、はい。他の娘たちになるべく影響が出ないように配慮します」
「…どんなに慎重にしていたって敵はいるのよ。テネシー」
フェルラインは遠い目をしながらつぶやいた。
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ネイと共にヘイルカリ様の元を訪れる。
「まあ、久しいわ、フェル。それと初めまして」
「は、初めまして。テルネイトと申します」
「まだ龍族なりたてですって?」
「は、はい。私は、貴族目指していて」
「貴族目指して龍族というのもすごいけれど、まあ野心はあったほうがうまくいくわよ」
「は、はい」
「…まあソレイユみたいにはならない方がいいと思うけれど」
死んだ目をするヘイルカリ様。
「ネイ、具体的なお話はあとでゆっくりやりましょう」
「ええ。宴なら用意はできているわよ」
「…酒、よわっ」
龍族で酒弱いの初めて見た。
ネイは既にぐーぐー寝てる。
「…まあ、貴族の話は明日すればいいでしょう、しばらくいるんでしょう?」
「ご迷惑でなければ」
「もちろんいいわよ。暇だし」
ぱたぱたと手を振る。
「息子は正妻のところにいるし、ボディーガードなんてめったにないし」
「ルカ様、闘争本能持て余しませんか?」
「持て余す、持て余す」
身を乗り出して言う。
「魔物狩りとオ○ニーで発散しているけれど」
「ああ、やっぱり性的衝動でなんとかされているんですね」
「ああ、ってあなたもそういえば淫乱だったわね」
「もう少し言葉を選んでいただけると嬉しいです」
龍族にとって淫らさは美徳。
なのだが、どちらかというと闘争本能が強く出るので、リンチやら殺傷沙汰の方が多い。
そういうのを忌避している私は、性的衝動が強く出るので、結構ほかの妾としている。
「ソレイユはどっちもやばかったけれど。あいつ、向こう行って収まったの?」
「旦那さんとやりまくって殺しちゃったみたいですよ。今はどうしてるかは聞きませんでしたが」
「あいつ、バカでしょ」
遠い目
「私的には、息子さんとやっていても不思議ではありませんが」
多分私への隠さない情欲は、母とのセッ○スで慣れていたから。
だとするとしっくりくる。
「本当に自由ね、あいつ」
「ヘイルカリ様は龍族にしては規律を重んじるタイプですから、余計そう思われるのでしょうね」
「あ、規律で思い出した。あのロリババアは元気?」
「アリスウルの事でしたら、まだ館にいて元気です」
「あいつもう40近いでしょ?当時でも痛かったのに。まだあのキャラのままなの?」
「はい」
ウルとルカ様は、闘争と呼ぶぐらいの潰し合いをしていた。
思うところはいくらでもあるのだろう。
「まあ、いいや。私はこっちに来て正解。旦那からは放置されているし、面倒なことあんまりないし。暇な時は魔物狩ってれば喜ばれるからね」
「そこらへん、ネイに伝えてもらえれば」
「そうね。まあ、とりあえず今日は飲みましょうか」
「はい」
翌日、酔いつぶれたネイは申し訳なさそうだったが、ルカ様からのアドバイスは嬉しかったらしく前向きになった。
私とも少しは喋るようになったので、色々楽になる。
龍族の問題は収まったが、問題は人族。
戻ってたからテネシーと打ち合わせしたが
「やはり中々手は出せないようですね。向こうも警戒しているようで」
「テネシー。あなたがキッカケを与えれば一気に進むんじゃないかしら?」
「キッカケですか」
「ええ。みんなの前で、レイラを迫害していいんだ。と思わせるなにかをするとかね。粗探しすれば怒ることなんていくらでも見つかるでしょ?」
ヘイルカリがアリスウルに厳しかったのは
「若返りを望んだのは自分と一緒なのだが、その結果すげー痛々しいことやるからムカついた」という近親憎悪みたいな感情です。




