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【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@お飾り側妃は糸を引く7/5発売
中等部二年

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86.選挙が終わる


 こうして、立会演説会が無事というのかなんというのか、とりあえず終わった。投開票を終え、無事に芙蓉会派は全員当選した。三峯くんはそれでも三分の一ほど票を得ていたので、結構危なかったのではないだろうか。


 それって、私のせい? でも私が応援してたのって明香ちゃんだし……。やっぱり私のせい?


 そして、開票後、私たちは、問題の芙蓉館のカフェに来ていた。選挙後の打ち上げである。

 淡島先輩はご機嫌である。それが逆に怖い。


「いや、白山さんの応援演説、意外だったね」

「申し訳ございませんでした」


 私は深々と頭を下げた。あの失態の責任を問われるのだろうか。


「いやいや、葵も教えてくれなかったから。うん、白山さんが意外というか、これを許した葵が意外というか」


 葵先輩の指導の下、私が書いた応援演説は、実のところ浮いていた。


「葛城さんの演説なのに、小麦粉の有用性を語りだした時には、なんの時間かわからなくなったからね」


 八坂くんも笑った。


「インパクトあったでしょう?」


 葵先輩が自慢げに答えれば、氷川くんも頷く。


「俺は芙蓉館の件が意外だったな」


 ぎくりと体をこわばらせた。やっぱり私のせいで得票率が悪かったのだろうか?


「ああ、僕らが言いにくいことをサラッと言ってのけたからね」

「言いにくい?」


 思わず問えば、淡島先輩が意地悪く笑った


芙蓉会ぼくらのブランドで一般生に箔をつけてるんだ、なんて口が裂けても言えないよね。外部生の白山さんが言ってくれて助かったよ」

「そんなつもりで言ってませんし、そんなふうに言ってません!!」


 慌てて否定をする。解釈違いだから!! 絶対そんな意味で言ってないから!!


「『お金には困ってないの!』のくだりにはウケたよね。あの大黒商事にそれを言えるのはさすがの白山フードサービス」


 八坂晏司、思い出し笑いは勝手だけど、セリフの復唱はやめてください。


「姫奈ちゃんて思ったより、色々考えてるのね」


 褒めているのか馬鹿にしているのか、明香ちゃんクスクス笑うな。


「でもあのおかげで、三峯票になりそうだった票をこちらに引き寄せてもらった。あの時あの流れのままだったら、実現不可の公約でも票の流れは大きかったと思う。有権者が冷静になれた」


 氷川くんがそう言って安心した。怒られるんじゃないかと思っていたからだ。


「で、和。新執行部はどういう人事にするつもり?」


 淡島先輩が言うから、私はそそくさと席を立とうとした。


「白山さん、どうしたの?」


 葵先輩に問われる。


「あの、外部生の私が聞くのは良くないと思うので……」

「今更じゃない」


 明香ちゃんが言った。


「俺は、書記に浅間さん、会計に桝さん、庶務に五木を入れようと思う」


 氷川くんが勝手に話し始めた。さすが俺様だな?


 五木くんとは一つ下の学年の芙蓉会リーダー的存在の子だ。


「まぁ、順当だね」


 淡島先輩が答える。


「桝さん……執行部なんて引き受けてくれるかしら?」


 私は思わず不安を口にした。


 大人しくてクラス委員も苦手そうなのに、生徒会なんて嫌がる気がしたのだ。


「了解は得ていますよ」


 綱が答えた。


「え? いつの間に?」


 思わず聞き返す。


「選挙期間中にお願いしました。私が当選したら会計を引き受けてくれるとのことでした」


 綱の答えに、胸がなぜかチクリとした。


「……そう、それは良かったわね」


 口に出して、なんだか唇が冷たくなった気がした。


「生駒意外に口説き上手だね」


 八坂くんが冷やかすように言う。


「選挙中、生駒はそういう地味なことも良く働いてくれたよね。ちょっと意外で助かったよ。盲目的な所があるから、営業活動は嫌がると思ってたからね」


 淡島先輩が満足げに笑った。


「目的のためにやらなければならないことはやります」


 無表情に綱は答える。

 淡島先輩は肩をすくめて笑った。


「あと、白山さんが言っていた、図書館の飲食スペースのメニューの充実と、チュートリアルルームへの飲食物の持ち込みの許可を求めることにしようと思う」


 氷川くんが言えば、皆賛成してくれた。氷川くんは笑顔で私を見た。


「どうだ?」

「良いと思います」


 答えながらも、心はここになかった。なんだか、モヤモヤと胸の中が詰まってくる気がした。






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