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高等部三年

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244/289

244.高等部三年 遠泳大会が終わる


 表彰式と閉会式が終わって、花火大会の時間である。

 

 芙蓉会の三年生と執行部は、テントで花火を配ったり、放送を担当したり、周りを巡回したりと様々な仕事がある。

 最終学年の夏のイベントなのに、恋愛イベントなど起こりそうもない。まぁ、ご縁のない私は仕事があった方が気が楽だともいえる。


 私たちのクラスは、水鉄砲合戦のスイカとメロンで打ち上げだが、参加できない私たちに切り分けてテントまで持ってきてくれた。

 ちなみに私のクラスは筏レースでは、「イカス筏で賞」と三位に入賞した。

 ビーチバレーの優勝チームは、シレっと三峯くんと紫ちゃんのチームだった。


 一年生たちが花火をもらいにやってくる。

 ロウソクを扱えるか尋ね、使えないようならバケツの中に灯のついたロウソクを立ててあげる。

 桝さんのように火をつけられない子もいるのではないかと思ったのだ。

 智ちゃんもやってきた。


「ロウソクはつけられる?」


 聞けば智ちゃんがニッコリ笑う。


「彰仁くんにつけてもらいます」


 そうか、それも好きな男の子に話しかける口実になるのだ!

 自分で火をつけちゃうとか、可愛くなかったかもしれないが、今更気が付いてももう遅い。


 とりあえずは微笑ましい恋の駆け引きをする智ちゃんを応援しよう。


「ふふ、頑張って!」

「ありがとうございます!」


 キャッキャとはしゃいで戻っていく。


「私、余計なことしてたかしら?」


 隣で花火を配っていた明香ちゃんに聞けば、そんなことないと笑う。


「ちゃんと計算している子は断るわよ」

「そっか、そうよね」

「ところで、二階堂さんは彰仁くん狙いなの?」

「たぶんね?」

「そうしたら、二階堂くんが姫奈ちゃんの兄になるの?」

「げ」


 ハッとして、思わず二階堂くんを見る。二階堂くんと隣にいた紫ちゃんが不思議そうに私を見た。


「あ、でも、そうするとゆかちゃんが姉じゃない? それで葵先輩もお姉さまじゃない!!」


 ひゃぁぁと喜べば、明香ちゃんが笑う。


「沼田先輩がお姉さまなんて羨ましいけど、そうしたら淡島先輩もお兄さま?」

「……」


 思わず目を逸らす。

 淡島先輩は尊敬している。頼りになる。でも、怖さと面倒くささも同じくらいにある。

 明香ちゃんはおかしそうにクスクス笑っている。


「想像しただけできらびやかな姻戚関係ね」


 明香ちゃんの言葉にキョトンとすれば、明香ちゃんが計算高い顔で笑った。


「だって、淡島先輩のお父様は大学病院の病院長で、おじい様は元副総裁。ゆかちゃんのお父様は現職議員で大臣候補にも挙がってるわ」

「なにそれ恐ろしい……」


 思わず顔が引きつってしまう。


「まぁ、芙蓉会はそういうところあるわよね。六親等ぐらい遡ればどこかどうか繋がっているものよ」

「そうなの?」

「私とうーちゃんだって、千年たどれば一条家だもの」

「遡る年数がえげつないわ、さやちゃん」


 教科書にご先祖様が載る人たちは話題の規模が違う。


「淡島先輩と氷川くんもいとこ同士だし、多分氷川くんと桝さんもはとこだったはずね」

「……知らなかったわ」

「はとこなんて知らない方が普通よ。でも、姫奈ちゃんが桝さんを上手く躱してくれて淡島先輩は安心してるんじゃないかしら。遠くても親戚には問題は起こしてほしくないもの」

「氷川くんじゃなくて、なんで淡島先輩が?」


 明香ちゃんがニッコリ笑って、声を潜め耳元で囁く。


「将来的には、表の氷川くん、裏の淡島先輩になるでしょうからね。氷川くんの邪魔者は淡島先輩の愁いでもあるのよ」

「なんておそろしい世界……関わりたくないわ」

 

 ゴクリと唾を飲み込む。 

 一対一の関係以上に親戚関係のしがらみ、未来の損得勘定まであるのだ。そんな計算、私にはとても無理だ。


「でも、逆にお互いに軽率な真似ができないから安全なのよ」


 明香ちゃんは笑う。

 こうやって芙蓉会の中で姻戚関係が自然と結ばれ、互いに互いの行いを律するようになるのだろう。


「とはいっても、そろそろ新しい血が欲しいところでもあるのよね。そうすると、彰仁くんは優良候補なのよ」

「彰仁が?」

「ええ。芙蓉会で中等部のベストの経験があって、島津くんにも信用されていて、カッコイイじゃない?」

「ええー!? カッコイイ?」

「私たちから見ればカワイイかもしれないけど」


 花火を配るテントの中から、花火を振り回す彰仁を見る。

 確かに、周りには女の子たちがたくさんいるが、それは修吾くん効果ではないのだろうか。

 だって、修吾くんたちと男女混合グループではしゃぐ姿はまだまだ子供っぽい。

 二人きりで顔を寄せ合っている男女たちとは対照的過ぎて、今後は智ちゃんの頑張り次第だとは思うが、いつまでも好意を持ってくれるとは限らない。


「まぁ、彰仁には結婚どころか、恋愛だってまだまだ早い話だわ」


 偉そうにコホンと一つ咳払いすれば、明香ちゃんが笑った。


 結局、私には夏らしい恋愛イベントもなく最後の遠泳大会は幕を閉じた。

 帰りはリムジンで打ち上げだ。

 それが結構楽しくて、執行部も悪くないなんて少しだけ思った。






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