表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@天才魔導師の悪妻26/2/14発売
高等部三年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

241/289

241.高等部三年 遠泳大会 2


 お昼は水鉄砲合戦の最終確認もかねてチームで海の家に集まった。


 氷川くんを中心として水鉄砲合戦について打ち合わせる。先陣は二階堂くんと氷川くん、八坂くんは男子の集中砲火を引き付ける担当で、足の遅い子は後方支援部隊を援護する撃たれ役。


 二階堂くんは打ち合わせが終わったら、そそくさと紫ちゃんの元へ行ってしまった。食事は彼女ととるらしい。特に用事がない人は準備まで同じテーブルで食事をとる。

 折り畳みテーブルの上には、ラーメンやカレーやたこ焼きやなんやらでカオス状態だ。潮風に乗ってハイカロリー塩分高めの香りが混じり合う。


「姫奈ちゃんの活躍、楽しみだなー」


 八坂くんがニヤニヤと笑っている。


「八坂くんは今年も目に毒なもの開帳するんですか?」

「ちょっと人をワイセツブツみたいに言わないで。あれはファンサービス!」


 八坂くんが抗議すれば、周りの女子たちがウンウンと目をハートにして頷いている。男子はすでに白けていて、クラス内で暴発しないか不安である。


「でもさー、結構威力あると思うんだけど、効果ない人いるんだよ……」


 八坂くんが唇を尖らせてぼやけば、あぁぁぁという納得の声と、不憫な目で八坂くんを見る男子たち。

 なんだか意味はわからないが、クラス内暴発はなさそうだ。八坂くんはなぜかクラスで不憫な子扱いされているのだ。




 午後一番の競技は自由参加のビーチ・フラッグスだ。主に運動部の猛者たちがエントリーしている。何しろ、ここで良い成績を残せば、この後の花火大会などモテるのが必至である。彼女がいないのなら、アピールするのに最適だし、彼女がいるからこそいいところを見せたいという気持ちもわかる。

 

 修吾くんも参戦すると言っていたから、修吾くんを応援することにした。

 途中で綱に合流する。


 二階堂くんは紫ちゃんと恒例のイチャイチャで、紫のために今年こそ旗を取るなんて言っている。

 氷川くんは準備体操をしてやる気満々だ。

 修吾くんがいたから声をかける。


「応援してるわね!」

「ありがとうございます!」


 日に焼けた肌が砂浜に良く似合う。是非とも二階堂くんを完膚なきまでにやっつけて欲しい。どうせ紫ちゃんは旗なんか取ってこなくても二階堂くんが大好きなのだ。


 準決勝では、二階堂くんと氷川くん、他二名の四名での対戦で、二階堂くんは去年の雪辱を果たした。氷川くんは爪の先で二位だった。

 そして、決勝戦はなんと二階堂くんと修吾くんの一騎打ちだ。

 俄然応援に力が入る。


「頑張ってー!! 修吾くーん!!」


 大声で応援すれば、修吾くんが私を見て手を振った。私も手を振り返す。キャーっと周りの女の子たちも騒ぐ。


「修吾くんて、背も高いし一年生に思えない体つきよね」

「ベビーフェイスでも、プロだけあってちゃんとしてるし」

「年下ってそれだけで可愛いのに、カッコイイとか最高」


 三年生女子たちの熱気もすごい。確かにすべてに完全同意だ。

 なんだか自分の弟が褒められている気分になって、鼻高々である。むしろもっと修吾くんを褒めて欲しい。


 綱は無表情だ。綱だって小さいころから修吾くんを知っているくせに、この温度差は何なのだろう。


 周りの子たちと一緒になって、大はしゃぎで騒いでいれば、準決勝で敗れた氷川くんがやってきた。


「やけに島津を応援するんだな」


 珍しく不機嫌そうに言う。ちょっと怖い。チラリ、綱が横目で私を見る。


「弟みたいなものですから。下級生だから応援しやすいのもあります」

「そんなものか?」

「ええ。同級生の特定のだれかって付き合ってなければ応援しにくくないですか? 変な噂になっても気まずいし」

「確かにそうかもな」


 なんとなく釈然としない顔の氷川くんだ。


「それに! 二階堂くんを勝たせたくないんです! 一昨年負けたくせにイチャイチャしてイチャイチャだったくせに、今年勝ったらさらにイチャイチャでイチャイチャだと思うんです!! ゆるせない!」


 鼻息荒く答えれば、氷川くんが噴出した。綱は小さくため息をつく。

 隣で聞いていた紫ちゃんが顔を赤らめて頬を押さえる。


「許せないか」

「許せません! だって二階堂くんなんてニンジンくんのくせに、ゆかちゃんを射止めるとか生意気なのよ!」

「な、なまいきか」


 氷川くんがクスクスと笑う。紫ちゃんはいたたまれないように耳を真っ赤にして俯いた。

 

 丁度、スターターの音が鳴る。バッと白い砂が青空に舞い散る。

 

「修吾くん、頑張れー!」


 眩しい日差しの中、修吾くんを応援する。日に焼けた肌に汗が光る。

 ザザッと二人同時にフラッグに飛びついた。


 シンとする砂浜。


 初めに立ち上がったのは修吾くんで、その手にフラッグが握られていた。


「優勝者、島津修吾 一年!!」


 放送が響き、バンバンとペットボトルの鳴り物が鳴る。

 紫ちゃんが走り出して、二階堂くんに駆け寄った。

 反対に修吾くんはこちらに向かって駆けてくる。


 女の子たちがそれを見て歓声を上げる。


「姫奈子先輩!」

「修吾くん! おめでとう!」

「はい、これ!」


 にっこにこの笑顔でフラッグを捧げられて驚いた。

 ギャァァァと女子の雄たけびが聞こえるが、お嬢様方大丈夫か。


「あげます!」

「えっ? 私が貰っちゃっていいの?」


 一瞬戸惑う。


 修吾くんには好きな子がいたはずなのに大丈夫?

 学校は違うのか? それとも玉砕してしまったのか。


「姫奈子先輩にあげたいんです」


 ニッコリ、天使の笑顔で微笑まれ、思考がパーンと吹っ飛んだ。


「ありがとう! 嬉しいわ」


 差し出されたフラッグを受け取れば、氷川くんが隣で軽く咳払いをした。綱はジト目で私を見る。

 それを見て、修吾くんが光毅さまによく似た笑顔で頭を下げ去っていく。流石の兄弟、よく似ている。


「……姫奈子さんは、島津の旗を受け取るんだな」

「せっかくくれたのに断るなんて失礼じゃないですか?」

「いや、まぁ、そうだが」


 なんだが今日の氷川くんは歯切れが悪い。


「姫奈にとっていつまでたっても彼は弟なんですね」


 綱の言葉にニッコリ頷く。


「ええ! あんなかっこかわいい弟がいたら最高じゃない?」


 答えれば綱は苦笑いした。


「ちょっと、気の毒です」


 氷川くんも苦笑いする。


「まぁ、他人のことは言えないが」


 二人が意味深に乾いた笑いを漏らして不思議に思う。


 優勝者が気の毒ってなんだろう……。


 そう思って砂浜を見れば、二階堂くんが大袈裟にションボリとしてみせていて、紫ちゃんが背中を撫でて慰めているのが見えた。


 そうね、あの二人を見てしまうと優勝者が気の毒なのもわかるわ。


 誰がどう見ても、結果勝者は二階堂くんなのである。

 キー! く・や・し・い!!

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ