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【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@お飾り側妃は糸を引く7/5発売
高等部二年

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196/289

196.高等部二年がはじまります!


 高等部二年の春である。


 以前からの恐怖を払拭するため、春休み中に私は健康診断をした。


 朝ごはんが食べられないため、おなかが空いてしかたがなく、すれ違った彰仁の耳たぶを見て、「ミミガーって耳たぶよね」と言いながらジュルリとしたら、彰仁に耳を押さえて逃げられた。さすがに弟を生で食べたりしないのに! たぶん。少なくともミミガーは生で食べたりしない!


 身長体重などの基本健診はもちろん、心電図や糖負荷試験もした。心臓関係と糖尿病はチェックしておきたい。胸部CTで肺の機能を検査して、MRIとMRAで脳卒中や動脈硬化も確認だ。

 内視鏡検査は本気で泣いた。看護師さんがずっと背中をさすりながら、優しく声をかけてくれたので、何とか乗り切れたがもう二度と無理な気がする。こんなに優しくされたのは人生で初めてで、本気で看護師さんにプロポーズしそうになった。こんなの平気で受けられる人、それだけで元気な証拠だと思う!!


 結果は自分で聞きに行った。両親に任せて悪い結果を隠されたら嫌だからだ。もし、カウントダウンが始まるなら覚悟を決めたい。そう思って臨んだ問診だったが、びっくりするほど健康で拍子抜けした。あまりにも信じられなさ過ぎて、「心臓が悪いはずなんです」としつこく食い下がったら、心気症を疑われたので慌てて撤回した。ピロリ菌もいなかった。


 とりあえず、やめなかったバレエの成果が出ていたのだと一安心する。運動はこれからも大事。健康大切!

 もしかしたら、最近彰仁が作っているヨーグルトのおかげもあるのかもしれない。


 彰仁は味噌作りをしてから発酵にハマり、今はいくつかのヨーグルトを彼曰く『育てている』のだそうだ。なにしろ研究用培養器インキュベーターを誕生日プレゼントの前倒しとして買ってもらい、キッチンに設置するありさまである。勝手に開けようとしたら「雑菌が入る!」と怒られた。別に私汚くないし!!

 それにしても、そんな風に大事に育てたヨーグルトちゃん、私に食べさせるのは良いんだろうか? まあいい。私のお腹を育ててね。彰仁のヨーグルトちゃん。


 彰仁ばっかりズルいから、私にも誕生日に石窯を買ってとねだったら、関連のお店に修行の手配を取ってやると言われ、実際今は通っている。確かにそちらのほうが嬉しい。

 けれど、彰仁ばっかりキッチン用品を買ってもらうのにムニムニ言っていたら、「オートクレーブにしろよ!」とか彰仁が言い出した。そもそも、オートクレーブって何よって話で、聞けば圧力鍋だという。絶対嘘だ。

 彰仁はうちのキッチンを実験室にでもするつもりなのか。


 そんなおかしな彰仁は中等部の副会長になった。綱と同じ役に就けて浮かれている。しかも綱のおさがりネクタイをこれ見よがしに結んで登校だ。家ではベタベタベタベタとアドバイスを受けていて、正直うっとうしい。私が綱と話す時間が減るじゃないか!



 新年度の学院で驚いたのは桝さんだった。長く重かった髪をバッサリ切って、サッパリとしてしまった。何の心理変化なのだろうか。前髪が短くなった分、表情も明るくなった気がして、割といい感じだ。

 ……なんだ、割といい感じって! ムカつく。なんでだろう。見なければいいものを、なぜか見てしまいやっぱりムカつく。嫌よ嫌よも好きのうちというけれど、まさか恋ではないわよね? 心理的リアクタンス?



 新しいクラスはまたもや八坂くんと、何と氷川くんまで一緒だ。高校二年のクラス替えで三年まで同じクラスになる。それなのに、八坂くん対応のはずの一条くんは今回なぜか別のクラスだ。あと私と同じクラスなのは、二階堂くん。


 一条くん、桝さんが同じクラスで一組。

 私と詩歌ちゃん、氷川くんと八坂くんと二階堂くんは二組。

 紫ちゃんと明香ちゃん、綱と三峯くんは三組だ。


 一条くんのいないクラスで、氷川くんと八坂くんと一緒のクラス運営、どう考えてもカオスである。どうしてこうなってしまったのか。学院大丈夫か。


 クラス委員を決めるホームルームがはじまる。私は大きく溜息をついた。仕方がない……。


「委員長には二階堂くんを推薦します!!」


 ビシッと手をあげて先制攻撃だ。二階堂くんは来年芙蓉会に入るためにも、周りにリーダーシップを認めてもらわなくてはならないのだ。八坂くんのいるクラスをまとめあげたらそれは大きなポイントになると思う。


 二階堂くんは驚いた顔で私を見た。私はニヤリと視線を送る。


 ゆかちゃんと幸せになりたいのなら、それ相応の働きを見せてもらおうじゃないの!


 二階堂くんは不敵に笑った。意味が通じたらしい。


「副委員長には白山さんを推薦します!!」


 二階堂くんが張り合うように推薦してきた。


「なによそれ! そこは普通うーちゃんでしょ!?」

「いや、ここはバナナ姫で」

「姫奈ちゃんが副委員長になるなら、私もお手伝いするわ」


 詩歌ちゃんがいう。


「僕もね」

「俺も手伝う」


 八坂くんと氷川くんに言われ、グヌヌと黙る。


「他に立候補、推薦はありませんか」


 クラス担任が問えば、「ありませーん」と声をそろえるクラスメイト達。


「では、委員長は二階堂くん、副委員長は白山さん、書記は浅間さんに決定しました」


 あっさりとクラス委員は決められた。まあいい。文化祭実行委員は楽しいから、クラス委員は良いのだけれど。


「なんだか二階堂くんにはめられた感じが悔しいわ……」


 呟けば詩歌ちゃんが笑った。


 

 委員会は無事に美化委員になることができ、多分淡島先輩の根回しもあったのだろう、副委員長に選出された。

 綱は今年もクラス委員長を任され、放送委員で副委員長だ。

 紫ちゃんは保健委員で副委員長になり、クラスの副委員長になった。今年もみんなで文化祭の準備ができる。

 氷川くんと三峯くんと明香ちゃん(と特例の八坂くん)は生徒会だから、きっと忙しくなるに違いない。





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