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【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@天才魔導師の悪妻26/2/14発売
中等部三年

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130/289

130.中等部三年 初詣 2

 

 そんなこんなで、華子様の病室へ皆で向かう。振り袖姿が四人もそろえば、それはもうお目出たい。病院の中も一気に華やいで、おじいちゃんには拝まれる始末だ。

 病室に入れば、華子様は目を輝かせた。


「思ったとおりね! よく似合っているわ」


 満足げに頷く。氷川くんは皆を華子様に紹介した。八坂くんと詩歌ちゃんと私は見知っているので省略だ。


「こちらは葛城明香さん。執行部の副会長をしてもらっている」

「葛城教授の娘さんね。優秀なのだと良くお話を聞いています」

「ありがとうございます。そう言っていただけて光栄です」


 明香ちゃんは飛び切りの笑顔で答える。


「こちらは沼田紫さん」

「沼田先生の。小さいころ抱っこしたことがあるのよ。ずいぶん大人になったのね」


 紫ちゃんは恥ずかしそうに笑った。


「彼は生駒綱守くんだ。執行部の副会長をしている」

「ええ、よくひーちゃんから自慢話を聞かされてるわ。外部生でありながら初めて執行部に入ったとか。優秀な方なのね。和親を助けてやってちょうだい」

「こちらこそよろしくお願いいたします」


 綱は丁寧にお辞儀をした。


「あら、本当に素敵な声ね。ひーちゃんが自慢するのもわかるわ」


 華子様が微笑めば、綱は私をちらりと睨んだ。私があからさまにそっぽを向いたら、華子様は愉快そうに笑った。



 一通りの挨拶をして、皆で華子様を囲んで写真を撮る。買ってきたお守りを華子様に渡せば、とても喜んでくれた。

 

 暇乞いをして病室を出たところで、綱がこっそり耳打ちをする。


「大奥様に何を話したんですか」

 

 小さい声だが、非難しているのだ。


「別に変なこと言ってないわ。綱が特待生で、芙蓉会で、ベストだって言っただけよ」

「……それだけじゃないでしょう? 声がどうとか」

「ああ! 声がね、すっごく素敵だって話をしたのよ! あと、心配性で口が悪いとか? うーんと、もっと優しければイケメンなんだけどとも言ったわ」


 綱は真っ赤な顔を手で覆った。


「あなたって人は!」

「なによ。事実だからいいじゃない」

「そう言うことではなくて……」


 八坂くんが間に入る。


「生駒が姫奈ちゃんに殺されるー」

「人聞きの悪いこと言わないでください」


 ムッとして言い返せば、八坂くんはニヤニヤ笑う。


「あ、でも、八坂くんのこともイケメンモテ男って伝えてありますよ。安心してください」

「言わなくても知ってるでしょ?」


 八坂くんは余裕である。


「でも、意地悪といたずらが大好きで子供っぽいんですよって話をしたら、華子様が意外ねって言ってましたけどね」

「ちょ! ちょ! 姫奈ちゃん? 何話してるの? 大奥様にそれはダメでしょ?」


 八坂くんは顔を赤くして慌てる。やっと反撃できた! ザマァだザマァ。

 氷川くんは話に加わらないようにしているのか、目をそらされた。


「氷川くんは――」


 そう言って口を噤めば、氷川くんが慌てて私を見た。


「言うな」

「はい?」

「知りたくない」


 氷川くんは案外ヘタレなのだ。それとも好きな子の前で暴露されたくないのかもしれない。可愛らしくて笑ってしまう。


「わかりました。氷川くんのは華子様との内緒です」


 ふふふと笑う。


「ちょっと、和親! 姫奈ちゃんは病室出禁にしてよ!」

「いや、俺もそう思った……失敗だった」

「姫奈がこれほどまで大奥様と懇意だとは……」


 男子三人が顔を見合わせ、一斉にため息をつく。それを見て私たち女子は笑い、女子会をすべく病院で別れた。



 詩歌ちゃんが予約してくれたお店は素敵なカフェだった。町屋風の細い格子のついた窓から、町行く人が良く見える。シックなこげ茶メインの内装に、あでやかな着物が映えた。椅子でも座りやすいテーブル席だ。

 窓際の席に通されて、ドリップされたコーヒーを飲む。私は砂糖とミルクをたっぷり入れた。

 コーヒーカップはアンティークで、各々のイメージで別のものを用意してくれる。私のカップはバタフライのハンドルで、着物の柄から選んでくれたのだとわかった。


「それにしても、今日は楽しかったわね」


 明香ちゃんが満足げに笑った。


「氷川くんの件はイレギュラーだったけど」


 私が笑えば。


「大奥様にお会いできて良かったです」

 

 紫ちゃんが笑う。

 

「着物で出かけるのも良いでしょう?」


 詩歌ちゃんが言う。皆で頷きあう。


「三月のひな祭りも着物にしましょう」


 明香ちゃんが提案するから、私は思わず身を引いた。


「姫奈ちゃん?」


 いぶかし気に紫ちゃんが私を見る。


「……三月はー、弟が行くから私はいいかなーって」

「なに言ってるの! 四人でそろえるのに意味があるのよ!」


 明香ちゃんの鼻息が荒い。


「橘の君……皆待ってるわ」


 紫ちゃん、それ止めて。華子様も言ってたわ。


「絶対、一緒よ?」


 詩歌ちゃんがお嬢様の恐ろしく美しい笑顔で微笑んだから、私は無言でコクコクと頷いた。



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