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瞬きもせずに ・・  作者: 脱兎のシン
ー1年生飛躍編ー
9/31

第8話 Sな桜井先輩 (2)

桜井先輩によるヒヨッ子一団の練習は日に日に濃密な練習へと変化しながら、桜井先輩のドS度の熱が帯び始める。


新しい練習をした後、最初の頃から意表突く内容ではあったけれど、私達にボールの速さを慣れさせる『隙間打ち』も、当初の四人から八人に増え、より狭くなった隙間に打ち込んで来る。

立たせられた私達は最初の恐怖は無いものの、耳を掠める弾丸の音に体が恐怖して、固まる。

そして極めつけはアーレーエリア縦一列に並ばされ桜井先輩のサービスを左右に撃ち抜くボールを体感する事。鼻先を掠める風圧のそれはヒヨッ子一団を案山子にする。


そして基本の構えフォアハンド、バックハンドから、先輩式『速攻上達スイング方』でスマッシュ、サービス、リターンを覚え慣れた頃、先輩対の打ち合いが始まる。未経験者に返すストロークは流石に緩い球だと思いきや!桜井先輩は全力で返してくる。更に先輩はいきなり打ち返せと指示を出す。


無理ですよー!


リターンするまで終わらないよ!

桜井先輩の笑顔で話す言葉が怖い。


それでも心身ボロボロになりながらでもヒヨッ子一団は帰宅前には近くのコンビニに寄り、各々のフォームを指摘したり、S(桜井)先輩のボールはアーダ・コーダ!と言いながらヒヨッ子会議をして帰宅する日々が過ぎた。


その辺りから桜井先輩のボールにも目が慣れ、カラダも徐々に反応が速くなり、打ち返せなくとも食らいつく事が出来る。


そしてなんと!初めて桜井先輩のスマッシュをリターン出来た!若干スピードが遅く感じたが、ラケットを振り抜く。

しっかりとコート内に打ち込みラリーが出来てる。

クーーー!気持ちいいよ!

なんと言うか、カラダ全体の筋肉が喜ぶと言うか『ぶあ』っとキターって感じ!

疲れが飛んでいく。するとどうだろう。次々と打ち返せる。

今まで疲れていたカラダが嘘の様に動く!

踏み出す一歩が伸びる!

それはまるでバスケの試合でリカバーのボールを受けとり、ガードを交わしつつシュートとした時の突き抜ける感覚に似ていた。



・・!

・・・・?


そう思ったのは束の間・・・頭に?が浮かぶ・・・


なんか走らせれてる?

コートギリギリにボールが飛んでくる!

右に、左に、先輩のスマッシュは的確に大きく左右シングラインギリギリに放たれる!

それでも何とか打ち返かえす!

何ターンした後凄まじいスマッシュが帰ってきた!

あっ!今までと違う強烈なスマッシュ!

ラケットが空を切る

・・・空かした腕がバランスを崩しカラダごとよろめく。


おっと・・・なんとか持ちこたえて、ふと先輩を見た!

・・・・先輩はニヤリと私を見ていた

・・・・悪魔な笑みで・・・・




ーーーーー




(そろそろ頃合いかな?)



1週間たった辺りから新人の1年生達は、荒削りだけど顔つきが明らかに変わって来ている。

今までキョロキョロとしていた気持ちの姿勢が、腰を落としたボールを鋭く見つめる眼差しに変わっている。

どういう理由で入部したか分からないが、俺の練習方法にもついて来てくれている。

テニス愛があれば別だが、ここまで無茶苦茶なやり方だったら退部しても仕方ないのだが、みんな頑張っている。


今日は昨日までと違い、サービスのリターンを1ヶ所に打ち優しく()()()()()


すると何球目かなは遠藤、幡野辺りは打ち返してこれる、特に幡野はあれだけ体に負担をかける練習をさせた後であるのに良く動き、無駄の無い体の使い方をしている。男子の体力に良くついて来る。中々テニスの動きだ

おっ!

ラリーが続くぞ!

良い感じた!ウンウン


・・・少しやらかそうかな・・・


スマッシュを左右に()()()打ち返えす。

幡野はコートギリギリでもリターンしてくる。

いっぱいに振られながら球を追い必死に食らいつく。


ウンウン今日も幡野絶好調!

それ!

よし!

次も!

あっいまの球は強すぎたか!


ついうれしくなり力が入り、調子に乗ったスマッシュが強すぎて幡野のラケットに当たらず後ろに流れる

すると幡野が今にも泣きそうな顔をこっちに向ける。


あっヤバイ!うれしくてつい顔がニヤケしまっていた。


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