第6話 ストレスブロー
此処まで一人称で書いて来ましたが・・・・無理でした。(涙)
今の私の執筆力では力不足でした。
ですので三人称・四人称を混ぜながら頑張ろうと思います。
《 校舎下駄箱付近 》
新1年生との鬼ゴッコを終えカズの所に行く。
「カズありがとな」
「別に暇だしな奏斗のお願いなんてのもそうそうある訳じゃないから問題ないぞ」
「あぁ助かったよ」
「それより一年のガキも頑張ってたな」
「特に最後、例の彼女だろ?」
「まぁな、何かの縁で同じ部活になったけど中々見込みがある1年達だよ」
カズのニヤケながらも鋭く射ぬく流し目から逃げる様に、視線を外し話を流す。
「それより奏斗、相変わらずアレ着けてんの?」
「あぁ、やっぱりこれ着けてるとキツかったな」
カズに意地悪く左手のバンドを投げる。
「おっ!お!重っ!これでなんキロだよ?」
「2キロかな?」
「は?足首合わせて8!」
「靴底にもあるから10キロかな?」
「前は半分も無かったじゃん」
「少しずつ増やしてる感じかな?」
「はぁー?あんなスピードで走ってたくせに?」
「お前は化け物に成るつもりですか?」
呆れ顔でバンドを投げてきた。
「最初は全然うまく行かなかったけど1年も経てば普通になるよ」
「まぁお前の目標を聞いたらそれぐらいはやらないとかもな。」
カズは革靴に履き替え昇降口から下校する
「いつもの所に行くの?」
「あぁ」
「じゃぁ愛ちゃんによろしくね」
カズは俺の言葉を受けて背を向けながら手を挙げ合図した。
よーしそれでは新入生達と一緒に頑張りますかー
俺はニヤニヤが止まらない。先程1年の走りにはワクワクした。まさかあんな作戦をしていたとは少し驚いた。
前回の申し出には練習方法の意見かと思っていたんだけど、小さな抵抗と言うか挑戦状だった訳だ。兎に角嬉しかった。腐って愚痴と思ってたけど前向きな反抗だったから。
今回新入生への指導方法で部長が、俺と三枝を指名した。俺は別にたいして不満なんか無く、逆に好都合だったけど、三枝は春のインターハイ枠を狙ってたからな不満全開だったな。指導内容は特に詳しい指示はなかったから自分のやりたい様に今はやらせてもらってる。だから手を抜く事は出来ないけど楽しい。
しかし1年生の経験者より未経験の1年は俺についてこれそうで楽しくなってきたぞ!
奏斗は1年の練習方法をどうするか思案しながらニヤニヤして部室に向かう。
《 女子テニス部前 》
(あー全く嫌になる!
なんで私が1年のしかもド素人の練習を教えなきゃいけないのよ!
教えるのは私じゃなくても下手くそな使えない3年生がいるじゃない!
適当にラケット振ってカッコつけだけの尻の軽そうな奴らにやらせてよ。もう!
もうすぐ春の大会があるんだから!さっさと練習させてよ。)
三枝がイライラしながら、部室の扉を勢い良く開けた。
するとタイミング悪く部室脇を歩いてきた人とぶつかりバランスを崩して飛ばされた。
「イタッ」
三枝は一瞬何が起こったのか解らず呆けていたが胸元が冷たいと感じて視線を下にする、するとコーラの匂いと茶色いシミがべったりついていた。倒した人物を見て「キッ」と睨む。
同じく半分以上こぼれて軽くなったコーラの紙コップを持ち尻餅をついている1年生の小島がいた。
三枝は顔をミルミル真っ赤にして立ちあがり、手に握っていたラケットを瞬時に小島の顔めがけ振り上げた。
「なっ!デブ!あなた何様っ、テニスも出来ないクセに私の嫌がらせばかりして何しにここに来てるのよ」
三枝は怒りに任せて小島に罵倒する。
何があったのか放心状態の小島は、三枝の言葉に返せないでいると、更にその態度にイライラした三枝が爆発した。
「自分からぶつかって於いて『すいません』の謝罪も出来ないの!」
その言葉にハッとした小島は我に帰り
「スッ、すいません、すいません。」
尻餅の体制から手を三枝の方に向けワラワラしながら謝る
その行動が油を注ぐ『悔しい!』三枝は激情に任せてラケットを振り抜こうとした!
その瞬間三枝の腕を掴む手がラケットを止める。
「やり過ぎだ」
「さっ桜井!」
ぐっ!止められた力に抑えられて握られた腕が痛い。
「離してよ・・」
桜井が見つめる。
三枝を訴えかける悲しそうな瞳に力が抜けて行く。
先程までの怒りは消えてはいないがラケットを持つ力は幾分軽くなっている。
三枝の大声で隣接してる他の部室からなんだなんだと顔を出す人が覗かせる。
桜井は腕を掴む手を緩めた。騒がしくなったのをきにしたのか、三枝の手を握り返し何処かに連れて行く。
残されたヒヨッ子一団はどうすれば良いのか解らず呆然としていた、丁度部室に入ろうと、その一部始終を見ていたテニス経験者の1年生上草柳由香がつかつかと小島の前に来た。
「あんた!よそ見してた癖にあの態度は三枝先輩が失礼でしょ、しかも謝らずに呆けてるなんて信じられない!」
項垂れる小島を庇うかの様に遠藤が言う。
「あれはお互い様だったろ、こいつだけ悪い訳じゃないぞ」
「は?ヘラヘラ笑って後ろ見ながらジュース持って歩いてきた人がぶつかって良く言うわよ!しかも先輩に当たって何様?」
「てか、あなた達三枝先輩に教えてもらってたんじゃないの?」
遠藤もその言葉で口を濁す。
「それで上手く成ろうなんて調子良すぎ!バカっかじゃないの!」
上草柳は言いたい事を言ってとっとと部室に入って行った。
《 三年四組 放課後 》
「なるほど・・・」
テニス部部長、神山先輩は三枝と一年生の小島との事件の一部始終を説明した。
「ありがとう桜井君」
今や神山先輩のクラスに俺(桜井)と三枝、男子テニス部キャプテン増田先輩と女子テニス部キャプテン川口先輩、5人が部長を囲んで話し合っている。
神山部長は三枝を見つめ口を開いた。
「三枝さん私はあなたのテニスの情熱も知っていたから一年生をお願いしたのよ。それに成瀬さんを意識しているのは解るけど、来年の戦力も実力のある貴方に底上げしてもらった方が効率良いと思ったのよ。
「でも私はもっと練習をして力を付けたいんですー」
「ーそれに6月のインターハイには個人戦でエントリーを考えていたところなの」
神山部長は三枝の話が終わるより先に被せて話す
「神山!まだ早いぞ」
「増田君今日のミーティングで話すんだからもういいでしょ?こんな事になっちゃってるんだから」
「だったら尚更お願いします。私を1年生の指導から外してください」
「困ったわね・・」
確かに今の女子テニス部2年のなかで成瀬司と三枝ミチルはツートップだ3年生を入れても5本の指に入る実力だ、更に成瀬とは中学時代にはライバル関係にあったと聞いた。そこで俺と交互とは言え1年生の面倒を見ながら練習する事で、焦る気持ちも分からないでもない。
「神山部長。それでしたら、僕だけで指導していきますよ。」
俺が進言する。すると増田キャプテンが俺の練習量が減ると指摘されたが、敢えて問題ないと答える。
「いえ、キャプテンそれには及びません。僕も1年生と一緒に練習していきますので大丈夫ですよ。」
「桜井君、あなたもインターハイで団体戦に出てもらうつもりですよ」
「神山ー!」
うーんまだ早い気もするんだけどな
「はい。それはそれで頑張ります。ですが一応新入生のレベルアップも自己流ですがしっかりとやっていきます。」
部長にニヤリと笑い安心してもらう様爽やかに・・
神山部長は少し考えた後承諾してくれた。
そして夏の全国大会の予選である春のインターハイの城川高校の選抜発表が行われる