Epilogue
「あー……死ぬかと思ったわ…………」
「ごめんね?蓮、私のせいで……」
「いやいやいや!美優のせいやないで!?死ぬほど美味かったって意味や!」
「ほんとに?それなら良かった!」
「さーてと……あの子たちはどうしてるかねぇ……って、どうしたんだい?水を打ったように静まり返って」
家庭科室の扉が開いて、最終的に生き残った俺たちは肩を震わせた。
「あれ?人少なくなってない?」
「……あぁ、みんなちょっと外で休みに行ってるぜ。食い過ぎて風に当たりたいんだと」
梓が平然と嘘をつきながらデザートの杏仁豆腐を口に入れる。おそらく今日の調理実習を見越して予め用意してきたのだろう。
そうだ、実はみんな外にはいない。死体安置所と化した保健室に投げ込まれていて、ベッドに留まらず床にも転がっている有様なのだ。(一応まだ救える奴もいるので西園先生には報告は済ませている)
「あ!私の班の料理がなくなってる!」
「「なんやて(なんだって)!?」」
蓮と緑川先生の声が綺麗にハモる。そりゃそうだ……戻って来たら5人分の料理が平らげられてるもんな。
「……みんな美味い美味いってすげぇ勢いで食べてたぜ」
「なぁ梓、オレにもくれないか杏仁豆腐……」
「……ん?あぁ別にいいぜ、人数分あるはずだし」
冷蔵庫で冷やしてると梓に言われ、俺たちは足を引きずらせながら杏仁豆腐を取りに向かった。
「ちょいと梓、あんたまさか」
「……さぁ何のことだか」
俺らが席を外している間に梓と緑川先生がこそこそ話しているようだったが、正直どうでもよくなってきていた。とりあえずこの杏仁豆腐を…………
「「「美味い……!!」」」
俺たちは目にも止まらぬ速さでガラスの小皿を空にしていた。口直しには最適だったぜ……おまけに今までの精神的ダメージやら胃の損傷やらが一瞬でなくなっていた。凄いぜ梓……!
「ねぇねぇ梓、今度2人で何か作ってみんなに食べてもらおうよ!」
「「「いやそれはやめてくれ」」」
そう言って数少ないクラスメートが一斉に立ち上がる。
「えっ!?どうして!?」
美優は目をぱちくりさせていた。首をかしげる姿が可愛い……可愛いんだが…………それだけはどうしても阻止しなければならない。
「「「寿命が縮まる(ほど美味い)からな」」」
初めての短編ということでここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!
OAL本編のサイドストーリーとして今回は家庭科の調理実習を題材に書いてみました。
作者も調理実習大好き人間でしたね…そもそも食べる方が好きなので自分が作ってる記憶が定かではないんですが((殴
いやきっと手際が良かったんだと思います。そういうことにしておきましょう。
今後Twitterのフォロワーさんが増えるごとに短編はあげていこうかなと考えております。
もちろん本編の方もきちんと進めていくので…今後もOALをよろしくお願いします!(本編まだお読みでない方はぜひ読んでいって下さいね)




