表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンノート  作者: アルト
第一章 始まり
7/17

相談と帰還

 お疲れさまです。本日親近感が湧く仲間が出来た。小鬼ゴブリンです。


 3匹の突進猪タックルボアを仕留めた後、俺達3匹はそれぞれの獲物を延々と引き摺りながら暗くなる前に巣に辿り着く事が出来ました。


 芋は一番小さな猪(それでも成体の小鬼ゴブリン2匹分)を仕留めた奴の引き摺っている猪の腹に括り付けて一緒に運んでもらいました。


 帰り道で、明らかに変化・ ・した自分達の事について話をしながら歩いてました。


「なあ」

「何だ?」

「オレか?」

「最初に変わった方だ」

「なんだ、オレじゃないのか」

「俺の方か、何だよ」

「今のごく短い会話だけでも、今までは誰が誰に話しかけているのか、何もせずに判っていただろう?今は違う。俺達は何故かは判らないが前とは違う。長老に相談してみようかと思うんだが、構わないか?」


 この中で二番目に大きな猪を仕留めた奴が長老に俺達の変化の事を相談しようと持ちかけてきました。


 確かに前は自分、とゆう意識が薄く皆で一つの群とゆう集団的な意識の方が強かったんで、俺だけで生き残った時は自分しか居なかったのであまり気にならなかったんですが、巣に帰り大勢の同族と一緒に居ると仲間・ ・同族・ ・は近いモノだが明らかに別だと今は無意識のうちに感じています。


「そうだな…相談するなら早い方が良い」

「反対すると思っていたが…よかった」

「何で反対すると思ったんだよ?ややこしいから早く解決した方が良いだろ」

「今の俺が同族が死んでも食鬼イーターになったのを殺しても、あまり哀しまないだろうと思ったからな、お前も同じなんだろうと」


 …確かに、こいつ等と今巣で待っている奴らと比べたら躊躇うことなくこいつ等も方を選ぶと思います。それこそこのまま3匹で姿を眩まして巣に居る奴らを見捨てても残念だったかな位にしか感じないと思います、多分。


「オレはお前等も巣に居る奴らも一緒なんだなって思うんだけど」


 一番小さな猪(芋付)を引き摺っている奴は、意見が違うようです。この違いは何の差なんでしょう?身体の成熟具合では俺がこの中では一番若くて、二番目に大きな猪を仕留めた奴が俺よりも一周期(一年)年上で、芋も一緒に運んでいる奴が俺よりも四半周期(三ヶ月)年上です。


 体格の違いもあまり有りません。獲物の大きさの違いは二番目の奴が俺の獲物よりも一回り小さいくらいです。三番目よりかは大きいには大きいのですがほぼ同じ、強いて言うなら牙が傷だらけで脚も太く、強者って感じの見た目をしているし見た目よりも肉付きがいいのか重さが全然違うって事くらいです。


 相手の強さの違いが仲間意識の違いに繋がっているのかも知れませんね、何故?



 なんとか暗くなる前に巣に獲物を持ち帰ることが出来ました。あの後、俺達はそれぞれ考え込んでいたようで会話もなく巣に帰って来ました。


 巣の前には俺達と同じ装備の成体間近の雄の2匹と槍を持つ成体間近の雌の1匹がソワソワしながらも見張りをしているようで、こちらに気が付くと一斉に武器を構えて襲いかかって来るではありませんか。


 俺達は引き摺っていた猪を放して棍棒で自分に向かってくる相手を止めるために構えます。


「ウォー!」

「うおっ?危な!」

「辞めろ馬鹿!!俺達だ!」

「アダッ!?」


 叫びながら棍棒を振り回していた雄2匹は見回り番の2匹に棍棒を弾かれ、頭に拳骨を食らい撃沈。


 無言で俺目掛け突き出された槍の穂先を、右手の棍棒の持ち手に近い部分で外に逸らして処理し、左手で俺の頚を狙う鉤爪ナイフを柄を握っている拳ごと掴んで寸前の所で押しとどめることが出来ました。


 …この雌の方が雄2匹よりも強い気がします。しかも、相手が俺だと判ってて攻撃を止めなかったような……


「ツギハ、ワタシモ、ツレテイケ、ハヤク、エモノヲ、カッテミタイ」


 雌はそう言いながら槍とナイフを下げて巣に入っていきました。次置いていったら寝首を掻かれそうで怖いですね。


「お前等、呻いてないで運ぶの手伝えよ。ここまで運ぶのに苦労したんだから」

「…オウ」

「イテテ」


 雄2匹は頭をさすりながら立ち上がり二番目の大きさの猪と芋付の猪を仕留めた奴と一緒に運んで巣に引き摺って行きます。


 オイ、俺が一番重たいんだぞ、こっちを手伝えよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ