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ゴブリンノート  作者: アルト
第一章 始まり
2/17

埋葬と改造

 あ、こんにちは。はい、あの小鬼ゴブリンです。


 あの後死んでる仲間の小鬼ゴブリン達を埋めてやりました。


 大変でしたよ、50匹もの死体を埋めるのって、しかも人間もなかなか入ってこないような樹海の奥地なんで地面も大きな木の根がウネウネとしていて足場も悪いし穴を掘れる場所も少ないしそもそも道具がないし。


 仕方がないんで近くに転がってる黒色狼ブラックウルフの死体を半分喰いながら解体して、穴を掘る道具を自分で作って、それを使ってなんとか全員埋めることが出来ました。


 いやー黒色狼ブラックウルフの牙ってかなり硬いんですね、木の根も牙の並んだ上顎を押し付けながら前後させると思いの外楽に根が切れるんですよ。


 黒色狼ブラックウルフの群れと不幸にも出会い、共倒れになるまで、半日くらいやり合ってたみたいで、俺が仲間の死体を埋め終わったら、もう日が暮れていたようで、気がついた時には辺りが真っ暗になってました。


 この樹海には夜に狩りをするモンスターも大小様々居るので、俺は未だ死にたくないので近くに木の根が持ち上がって出来た俺が五匹くらい入れる穴に黒色狼ブラックウルフのボス個体の死体と、仲間を埋めるときに回収しておいた棍棒、それと、俺が穴を掘る道具を作る為に喰ったボス個体より少し小さな黒色狼ブラックウルフを引きずって来ました。


 え?棍棒ですか?いや同族ゴブリン達と一緒に埋めるのは勿体無かったんで貰っておきました。だって未だ使えますからね。


 俺は黒色狼ブラックウルフのボス個体と少し小さいのを穴に放り込んでから、仲間の遺品の棍棒を穴の口を塞ぐように地面に刺して少し開けておいた隙間から中に入ります。入ったら残っている棍棒を俺が入った隙間を塞ぐように積み重ねます。


 一応安全が確保できたので一息ついてから、食いかけの個体を喰い直します。


 俺が食事をしている間、外の黒色狼ブラックウルフの死体には俺でも握り潰せるような小さな掃除屋鼠スイープラットが群で貪りついてましたね、流石にあの数になると生きた黒色狼ブラックウルフでも一匹だと、鼠を一匹喰い殺してる間に体中に食らいつかれて生きたまま喰われます。


 あいつらの群にびびって他のモンスター達はおこぼれにもありつけずに、遠巻きに見てるしかないみたいです。


 俺は黒色狼ブラックウルフを一匹喰い尽くした後、死体の鉤爪をボス個体の鉤爪を使って切り離して、その鉤爪を使ってボス個体の死体の解体を始めました。


 同族の小鬼ゴブリン達の死体の中には喉を鋭い刃物でザックリと斬られているのも有ったのでかなり切れ味が有るんじゃないかと思ったんです。


 思った通りでしたよ。試しにと俺のじゃない棍棒に滑らせてみたら力もほとんど入れてないのに深い爪の跡が残りました。指に滑らせないで本当に良かった。


 下手をすると指が落ちていたかもしれません。


 その切れ味鋭い鉤爪を、ボス個体の死体を仰向けにひっくり返して顎の下から尻尾の付け根までスーッと走らせて裂いてから四肢の内側を同じように裂いていきます。黒色狼ブラックウルフの毛皮、というより毛は鉤爪でも切れないようで毛並みに沿って毛に逆らわないようにしかきれませんでした。


 毛皮の下の皮膚を裂いただけでは中身からは剥がれないので鉤爪で慎重に剥がして行きます。疲れたり集中力が切れてきた時は目の前のボス個体の内臓を摘まんで喝を入れ作業を続けます。


 積み重ねた棍棒の隙間から明かりが射す頃になりようやく毛皮から肉と内臓と骨(砕けた頭蓋骨も)を剥ぎ取るのが終わりました。そういえば暗い夜中でも細かいとこまで見えてましたね…何故でしょうかね?


 毛皮が刃物を殆ど通さなくても骨はそこまで打撃に強くはないようで頭蓋骨は粉々に近いくらい砕けていました。(案外仲間達ももう少し強かったら俺を残して全滅なんかしなかったかもしれませんね)勿論中身は美味しく頂きました。少しザラザラチクチクしましたけど。


 毛皮だけ(下顎は無事だったのでそのまま取らずに残しました)になった黒色狼ブラックウルフのボス個体の毛皮は俺がすっぽり入るくらい大きく、剥ぎ取り終えた俺は集中力が切れて、意識も一緒に落ちたようで目覚めた時にはボス個体の毛皮の上で寝ていました。大分ゴワゴワしてましたけど快眠ですよ、泥の様に熟睡してました。


 目が覚めて腹が減っていたので、残っていたボス個体の中身を全て平らげて腹を満たし、今度は武器を作ることにした。


 鉤爪と牙が使えるのでボス個体じゃない方から鉤爪七個(一つは先にとってボス個体を解体するのに使っていた)を鉤爪を使って骨から切り離して、俺の棍棒に鉤爪をねじ込むための溝を一個一個少しずつ彫っていきます。


 太陽が真上に来る頃に8つ全てを棍棒にねじ込み上から細く長ーく裂いた毛皮(小さい方の黒色狼ブラックウルフの)を鉤爪に被さるようにグルグルと巻いていきます。


 最後に毛皮の終わりを引っ張りながら鉤爪に通して固定して完成です。


 そうですね見た目は大鬼オーガの奴らが持ってるトゲ付きの金棒を小さくし毛がモサモサと生えているかのような感じです。


 アッチは重くて固くて何でも叩き潰すぞって感じですが、俺の棍棒は軽いけど新しく付けた鉤爪で直撃しなくても掠るだけでザックリと斬れそうです。


 武器が完成したので、次は防具ですね。はい、ボス個体の毛皮を着るだけです。口から頭を出して下顎はネックレスみたいに首から下がっています。ボス個体の方が俺よりも大きいので後ろ脚を引きずる形になってしまいます。


 仕方ないので腰に回して腹の前で縛り付けます。前脚の方は腕を通せるように手首から肘まで毛皮の縁に小さな穴をいくつか開けて、蔓を編んだものでかるく縫う感じで締め付けすぎないようにします。


 手首から先はちょうどいい感じに肉球の部分に手が収まりました。


 多分、離れて見たら小さな人狼ワーウルフみたいになってるはずです。


 指にも鉤爪のついた肉球がちょうど人間のしているグローブと同じように指にフィットします。しかも指を伸ばすと鉤爪が引っ掻くのにちょうどいい感じに飛び出します。中々良い仕事しましたね、俺。

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