表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話 

しつこいほど、苺です。

これで最後だと思うけどぉ!


全部架空のものです。

苺の頭ん中で都合のいいようにストーリーが進んでいます。

「お別れだね・・・達弥さん。さようなら・・・」

「舞輝?」

「楽しかった、今までありがと。」


 どうなってるんだ?


舞輝マキ舞弥(マヤがどんどん遠くなっていく。


「待ってよ!どこ行くんだよー!」


叫んでも二人には届いていないようだ。



「待ってっ!」


バァッと飛び起きた。


 なんだ、夢か・・・


ものすごい汗をかいていた。


「大丈夫?」


目をこすりながら舞輝が起きた。


「あぁ。大丈夫。」

「なんか叫んでたけど。」

「夢見てたんだ。恐ろしい夢。」

「お漏らししてない?」

「するか。」

「正夢じゃないといいね。」


人事だと思って言いたい放題。

正夢だったらシャレにならない。


「シャワー浴びてくるよ。」

「うん。」


舞輝はパタンと横になって瞬時に眠りについた。

シャワーを浴びて戻ると、舞弥が目をこすって寝室の前で枕持って立っていた。


「舞弥、どうした?」

「おきちゃったから一緒に寝てもいい?」


あの時3歳だった舞弥は今6歳。

舞弥にひとつ部屋を用意して、来年の小学校入学の準備。

一人で寝る習慣をつけていた。


「よしおいで。」


重たくなった舞弥を抱き上げ、寝室に行った。


「ねぇパパ。」

「ん?」

「なんで舞弥には妹とか弟がいないの?」

「う〜ん・・・」

「幼稚園ではね、お友達みんないるんだよ。あとね、奈美ちゃんのママお腹大きいんだよ。」

「舞弥にも欲しいのか?」

「うん。」

「そっかぁ。ママはダンスが好きだからなぁ。」

「舞弥もダンス好き。あとね、ママのダンスも好き。」

「ママと神様にお話しとくよ。もう、寝なさい。」

「うん。おやすみなさい。」


達弥はトントンしながら、もう夢のことなど忘れて眠りにつくのだった。


舞輝とは何度も話し合った。

でも、舞輝は今一番いいときであるのも間違いなかった。

それを辞めさせようとも思ってもいない。

今舞輝はトップダンサーに上り詰めていた。



舞弥に兄弟を作ってあげたい。

舞輝も達弥も願っていることだ。

でも、二人育てながら、舞台に出ることは難しい・・・

周りの協力にも限界があったからだ。

地方にいけば1ヶ月帰れない。

舞弥にも辛い思いをさせてきた。

それぞれの両親にも。

もうひとりとなったらもう、若くない両親にはキツイ。


まだ若い二人の夜は減ってはいない。

けど、月からの使者が毎月重いうえ、舞台人。

大事な舞台で妊娠発覚や生理痛で動けなくなるのを防ぐためピルを飲んで体の調整をしている。


何度話し合っても結果は同じだった。




朝、舞輝が作る味噌汁のにおいで起きた。


「おはよ」

「おはよ。もう起きて平気なの?」

「うん。」

「じゃぁ、舞弥も起こしてきて。」

「わかった。」


27歳になった舞輝は、達弥が買ったマンションのシステムキッチンで朝ご飯を作っていた。

知っての通り、舞輝は”痩せの大食い”

朝からご飯1キロ、卵10個分の巨大卵焼き、ウィンナー10本はたべる。

しかも・・・うまそうかつ幸せそうに・・・


達弥が惚れたとこはそこだった。

おいしものを幸せそうに食べる。


「ママおはよ。」

「おはよー舞弥。ご飯だから顔洗っておいで。」


すっかりママである。

15のときに、前の彼の子供を流産してしまっているため、舞弥はかけがえのない宝。


「次の作品決まったの。」


舞輝は達弥と舞弥のよそったご飯をテーブルに持ってきた。


「ホント!また翔くんたちと?」

「そう。またお姫様。やんなっちゃう。」

「俺は好きだけど。」

「あたしのキャラじゃない。」

「名コンビから名トリオだもんな。3人のアドリブには毎回笑わされるよ。」


舞輝が所属する東京ミュージカルカンパニー(TMC)に、カケル聡太ソウタという仲間がいる。

同期で同い年の3人は研究生時代からつるんでいた。

舞輝にとって、素でいられる大事な存在。

達弥と喧嘩したりなんかあると、必ず二人といる。

二人は舞輝が言い出すまで、何があったか聞くことはない。

達弥も、二人といるのがわかっているから心配もしてない。

達弥が迎えに行けば仲直り。


「ホント?役に入りつつも、やってることは結構素だったり。」


舞輝は自分の巨大朝ご飯をトレーに乗せて持ってきた。


「ママすごーい!」

「では、いただきます!」

「いつから稽古に入る?」

「2週間後!」

「そっか、スタジオのタイムスケジュール組みなおさないとな。」

「そだね。」


二人は、舞弥が生まれてからダンススクールを開設した。

キッズを中心に始めたが、今は大人のバレエや、ヨガなどもやっている。

達弥は、元s-wingのダンサー。

HIP-HOPやハウスなどを教えている。

メンバーだったタクも、ブレイクダンスを教えにきてくれている。


ちなみにヨガのインストラクターは、舞輝の親友、愛海アミ

人妻女子大生で、舞踊専攻を出たのち、ヨガのインストラクターの資格を取って今に至る。

子育てしながらできる!と言って。

愛海は2児のママ。子供たちが幼稚園に行ってる間の時間にここで教えている。

同じ子供を持つママさんたちがダイエットのためにきている。


「おはようございまーす!!」


愛海が元気にスタジオに来た。


「おはよう、今日もよろしくね!」

「こちらこそ!今日舞弥ちゃんは?」

「達弥さんが遊びに連れてってる。」

「そっか。誰かがここ見てないといけないもんね。」

「うん。でも、3人ででかける日はきちんと作っているから。」

「うちも、今日は廉くんがみてくれてるの。」

「そう!意外に子煩悩だもんね。」

「助かってる。」

「今日はアタシの受けようかと思うの、お手柔らかに。」

「手加減いたしません。」


愛海は中学のときからの親友。

自分のことより舞輝のことばっか心配して舞輝を励ましてきた。


「はい、はじめまーす!今日は受付嬢の方が参加してくれました。この方は体柔らかいですよー!皆さんも頑張りましょう!」


1時間愛海のヨガを受け、次の時間は舞輝のOLのためのバレエ入門。そしてOLのためのJAZZ入門クラス。

土日しか休みのない働く人のも踊ってもらいたくて開設した。

夕方から、達弥とバトンタッチしてHIP-HOPとHIP-HOPJAZZのクラス。

ほぼ若い子で満員になる。



達弥は、舞弥を連れて映画館に来ていた。

6歳のくせにイケメン好き。

イケメン俳優が出てる映画を見たい!と舞弥が言って来たのである。


 まったく先が思いやられる・・・


舞弥はしっかりポップコーンとジュースを持って席に着く。


「そんなに食べてお昼ご飯たべれるのか?」

「大丈夫。」

「ホント、ママにそっくりだな。」


イケメンを堪能して映画館を出ると、


「パパトイレ!」


達弥は館内にあるトイレに連れてった。


「ここで待ってるからな。」

「うん。」


舞弥は走ってトイレに行った。


混んでいるのか、なかなか戻ってこない。

ちょっと心配になってきたとき、


「達弥?」


女の声で自分の名前を呼ばれ振り返った。


「・・・陽子?」


達弥が以前付き合っていた陽子が立っていた。


「久しぶり。元気してた?」

「あぁ、そっちこそ。」

「変わらないわね、デビューしたときの達弥のまんま。」

「そうか?随分おっさんになったよ。」

「パパ?」


気づいたら舞弥がトイレから戻ってきた。


「おぉ、混んでたのか?」

「うん。」

「達弥の子?」

「そうだよ。」

「随分大きい子いるのね。」

「25のときの子だ。」

「そう・・・羨ましいわ。」

「結婚は?」


陽子は首を振った。


「そっか。」

「奥さんは?」

「スタジオ見てる。休日は交代で子供見てるんだ。俺もそろそろ帰らないと、教えあるから。」

「相変わらず、踊ってるのね。」

「もちろん。じゃぁな。」

「ねぇ、今度・・・聞いてもらいたいことあるの。誰に相談したらいいかわからなくて。ここで13年ぶりに会えたのもなんかの縁かなって。」

「いいよ。これ連絡先。」


達弥は名刺を渡した。


「ありがとう。」

「じゃぁな。」



 なにやってんだ・・・・俺。

 舞輝が知ったらなんていうかな。


「パパ、誰?お友達?」

「そうだよ、パパが高校生のときのお友達。」

「ふーん」

「ご飯たべるか!」

「うん!」



「はい、今日はここまでにします。あぁ、新作の出演がきまりまして、2週間後からお稽古に入ります。スケジュールの変更があると思うのでチェックこまめにしてくださいね!」

「ありがとうございました。」

「ママァ〜!!」


舞弥が手にいっぱいの袋をぶら下げて舞輝に駆け寄ってきた。


「おかえりぃ〜!何買ってもらったの?」

「内緒!」

「えぇ〜。すぐバレるんだからさぁ。」

「お家帰ったらねぇ。」

「お疲れ!」

「達弥さん、舞弥ありがとね。」

「舞弥姫にはかなわないよ。」

「甘いんだから。」

「そうだ、夜話しあるんだ、起きて待っててくれないか?」

「?わかった。」

「きっと舞弥の妹か弟のお話だよ!」

「は?」


舞輝は達弥を見た。


「まぁ、ともかく夜に、シャワー浴びてこいよ。」

「うん。」


 なんだろ?

 急に欲しくなっちゃったのかな?


シャワーを浴びて、着替えて戻ると、舞弥が達弥と踊っていた。

舞弥はJAZZよりHIP-HOPのほうがずば抜けて飲み込みが早かった。


 やっぱ達弥さんの子だ。


「おまたせ。」

「ママきたぞ。今日も早く寝るんだぞ!」

「うん。パパ今日はありがとう!」

「おやすみ。」

「じゃぁ、先帰るね。ご飯食べないで待ってる。」

「わかった。じゃぁ、いつもより倍踊って腹減らして帰るよ。」

「うん。」



舞輝は、いつの間にか取った免許で舞弥を車に乗せ、近くのスーパーに買い物に寄った。


「何たべよっかぁ。」

「う〜ん。白いスパゲティ」


カルボナーラのことである。


「カルボナーラかぁ。」

「うん、カルおなーら」

「それ臭そうなスパゲティだねぇ。」

「おいしいよ!」

「じゃ、そうしよっか!パパも好きだし。」


食材を買って帰宅。

舞弥をお風呂に入れて、部屋の掃除、洗濯。

舞弥の分の夕飯だけ作って食べさせて、寝かす。

回し終わった洗濯物を干して修了。


 あとは達弥さんの帰りを待つだけ。


本を読んで待つことにした。



戸締りを確認して、スタジオの出入り口の鍵を閉めた。

車に乗り込むと、ケータイが鳴っているのに気づいた。


 舞輝かな?


見ると、知らない番号。


「もしもし?」

「もしもし・・達弥?」

「陽子か?」

「えぇ。早速かけちゃった。家?」

「いや、今から帰るところ。」

「そう。今から会うなんて無理よね?」

「ごめん、舞輝が待ってるから。」

「奥さん?」

「そう。明日もスタジオ開けなくちゃいけないからさ。」

「わかったわ。ごめんなさい・・・こんな時間に。」

「いや。レッスンない日にしよう。連絡するよ。」

「わかった。おやすみ。」

「おやすみ。」


陽子とは舞輝と出会う前に付き合っていた。

高校1年から付き合いだして、3年の卒業式の日にふられた。

達弥がマジに惚れていた女だった。

s-wingとしてデビューが決まっていたから、なかなか会えなくなっていたのも事実で、ほったらかされたことが彼女には耐えられなかった。

達弥が忙しくしている間に好きな男ができてしまってそっちに乗り換えたかったのがホントのところ。

達弥は何も知らないまま、未練を残し別れることにOKした。

舞輝に出会う3年間、人を好きになることができなかった。

嫌いで別れたわけじゃない、憎んでもいない。

だから、陽子をほっとけなかった。


舞輝が待っている、早く帰らなければ。

達弥は車を発進させた。



「ただいま。」


舞輝の返事はなく、家は静かだった。


「舞輝?」


ダイニングに行くと、舞輝はテーブルにふせっていた。

達弥は寝室から毛布を持ってきてかけると、舞輝が目を開けた。


「達弥さん?」

「起こした?ごめん遅くなって。」

「ううん。」

「舞弥は?」

「ちゃんと寝た。すぐ作るね。」

「あぁ。」

「洗濯物、ちゃんと洗濯機に入れておいてね。」

「わかったよ。」


達弥はレッスン着と下着を洗濯機に入れに風呂場に行った。

寝室に行って部屋着に着替えダイニングに行くと、舞輝が慣れた手つきで料理している。


「いい匂い。何作ってんの?」

「舞弥のリクエスト、カルおなーら。」

「カルおなーら?カルボナーラか?」

「そう!笑えるでしょ?」


楽しそうにフライパンを振る。


「お皿出すよ。」

「うん。お願い。」


達弥は家庭的で家事に協力的。こうして二人でキッチンに立つこともしばしば。


「そんで、話しって?」

「あぁ、実はさ・・・」


今日あった出来事を話した。


「じゃぁ、13年ぶりに再会した縁で相談に乗ってもらいたいと。」

「あぁ。言わないでまた騒ぎになる前に、話しときたくて。」


過去に2度ほど、達弥の優しさが裏目に出て、熱愛報道されたことがあった。


「達弥さん、ほっとけないんでしょ?」

「え、あぁ。舞輝に出会うまでずっと後悔してたんだ。かまってやれなかったこと。なんかほっとくわけにはいかなくて。」

「そか。」

「舞輝・・・変なこと言ってごめん。それっきりだと思うから。」

「信じてるから平気。達弥さんが優しいのも知ってるし。力になってあげたら?」

「ありがと。」

「食べよ!」


二人は盛られた”カルおなーら”をテーブルに運んで食べ始めた。


「うまい!」

「ほんと?よかった。」

「明日、レッスン行く日だよな?」

「うん、そうだよ。」

「じゃぁ、幼稚園には俺が送ってく。」

「あろがと。」

「きつくないか?昼間は自分のレッスン、夜は教えじゃ。」

「大丈夫。好きだから教えるのも。」

「そっか。あっ、翔くんたちに教えのこと頼んでみてくれ。」

「OK。」

「あとさ・・・そろそろ・・・」

「ん?」

「そろそろ・・・」


 まさか・・・舞弥が言ってた、二人目?????


「な、何がそろそろ?」

「うん、発表会やらないか?だいぶ生徒も増えたし、乗ってきてると思うんだ。」

「あぁ!発表会!なんだ。」

「え?」

「ほら、舞弥が弟だ妹だ言ってたから。」

「あぁ。明け方に一回起きた時、舞弥も起きてさ。一緒に寝ようっていうからベッドに入れてやったらなんで舞弥には弟とか妹がいないの?って。」

「そうだったの。」

「だれだれちゃんのママはお腹大きいんだよって。」

「そっか・・・」


 わかっちゃいるんだけどなぁ・・・・二人目。


「焦る必要はないよ。」

「達弥さん。」

「舞弥だってママのダンス好きだって言ってたよ。」

「欲しくないわけじゃないんだよ?」

「わかってる。さぁ、寝よう!ご馳走様!片付けとくから先布団に入ってろよ。」

「うん、じゃぁお言葉に甘えて。」



突然再会した元カノの陽子。


 なんかの縁だから相談に乗ってもらいたいなんて・・・多分嘘。

 達弥さんに再会して、また恋の火種が発火したんだ。

 なんで力になってあげなよなんて言ったんだろ。

 凄い好きだった人って聞いてる。

 余裕こいてる場合じゃないような・・・・なんかあるような気がする。

 この胸騒ぎ・・・やな予感。















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ