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僕とぼっちな彼女達  作者: 中高下零郎
小学校 みたきちゃん係(知的障害)
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みたきちゃん(12)

 僕の誕生日は11月13日で、

 みたきちゃんの誕生日は11月14日。

 本来なら学校で誕生日が祝われるはずだけど

 みたきちゃんは何故か祝われないし、

 そもそも13日14日は土日で休みです。





 そんなわけで11月12日の放課後。


「みたきちゃん、今日誕生日会しない?」


 僕は隣を歩くみたきちゃんに誕生日会のお誘いをします。


「わたしのたんじょうびはあさってだよ?」


 みたきちゃんが僕を心配そうな目で見てきます。みたきちゃんだって今日が誕生日会やるなんておかしいと知っています。


「うん、知ってるよ。でも明日は僕は家族と誕生日会で忙しいし、明後日もみたきちゃんが親に祝われるから忙しいだろうし」

「なるほどー」


 ポン、と手を叩くみたきちゃん。


「それじゃ、ケーキでも食べにいこうか」

「うん!」


 僕はみたきちゃんを、商店街にあるケーキ屋さんへ連れて行きます。




「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディアみたきちゃん、ハッピーバースデートゥーユー」


 事前に予約しておいた誕生日用ケーキ。

 僕がみたきちゃんをお祝いすると、みたきちゃんは思いきり息を吸って、ろうそくの火を消します。


「はっひーばーすでーつーゆー、はっひばーすでーとーゆー、はっぴーばーすでーでぃあ……?」


 お返しとばかりにみたきちゃんは僕をお祝いしようとしますが、僕の名前が出てきません。

 そういえば、みたきちゃんは一度たりとも僕の名前を呼んだことがありません。

 誰かが僕の名前を呼ぶこともあまり少ないので、みたきちゃんは覚えてないのでしょう。

 そうでなくても、名前を呼ばなくても今まで僕とみたきちゃんはやってこれたのです。

 いつも僕がみたきちゃんの名前を呼んで、みたきちゃんがそれに従って。

 もう1年半以上も付き合っているというのに。


「僕の名前は、中。高下中だよ」


 まず最初に、これを言っておくべきだったのだろう。


「あたる! あたるくん、たんじょうびおめでとう!」


 みたきちゃんは嬉しそうに僕の名前を連呼する。覚えて貰えただろうか。



「ねえねえあたるくん、まいにちたんじょうびだったらいいよね!」

「そうだね、みたきちゃん」


 口元にケーキのクリームをつけて、みたきちゃんはえへへと笑います。

 みたきちゃんに自分の名前を呼ばれると、僕はものすごくドキドキする。

 他人の名前を呼ぶようになった事で、みたきちゃんがかなり成長したと思うのは僕だけかな?




「あそこの雑貨屋さんに行こう。ぬいぐるみ買ってあげるよ」

「ありがとう!わたしも、あたるくんにぶらじゃーかってあげるね!」

「気持ちだけ受け取っておくよ」


 僕に女装趣味はない。ブラジャー貰っても本当に困る。

 僕は雑貨屋さんにみたきちゃんを連れて行き、そこでテディベアをみたきちゃんにプレゼント。


「えへへ、あたるくんにくまさんもらったよ」

「……? そ、そう、おめでとう?」


 余程嬉しかったのか、店から出た後みたきちゃんはそこら辺の人にそれを自慢し始めました。

 恥ずかしいからやめなさい。



「ところで、みたきちゃんはいくつになったかわかるかな?」

「えーとね、じゅーに」

「正解」


 商店街をぶらつきながら、みたきちゃんにクイズ。

 実際には誕生日は明後日なのだからまだみたきちゃんは11歳なのだけどね。

 さて、まだお金も余裕があるし、時間も余裕がある。どうしようかなとみたきちゃんと適当にぶらついていると、


「あ! ここすごくきれいだね! ねえねえあたるくん、ここはいろ?」


 みたきちゃんはとある建物の前でぴょんぴょんとはねます。


「……いや、ここは、その」


 僕は適当にぶらついていたことを後悔します。

 気が付いたら僕とみたきちゃんはネオン街に来ていて、みたきちゃんはラブホテルの前ではしゃいでいるのです。


「きっとゆうえんちだよ! たのしいとこだよ!」


 そりゃあ大抵の人は愉しむために入るかもしれないが……


「いや、みたきちゃん、ここはまだ入っちゃだめなんだ」

「じゃあなんさいになったらはいっていいの?」

「えーと、18歳かな」

「じゃあじゅーはちになったらいっしょにはいろ?」


 大人になったら、例え彼女相手でも、堂々と、胸張って、愛し合っていますと言えるのだろうか。僕にはよくわからなかったし、そもそも大人になっても彼女と一緒にいるビジョンも見えなかった。だから僕は彼女の質問をはぐらかすしかなかった。

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