表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とぼっちな彼女達  作者: 中高下零郎
小学校 みたきちゃん係(知的障害)
14/107

みたきちゃんとお医者さんごっこ


「それでは、6年生の教室でまた会いましょう」


 担任がそう言うと共に、終業式の帰りの会が終わる。今日で5年生はおしまい。4月から6年生、最上級生だ。


「みたきちゃん、みたきちゃんは今日掃除じゃないよ」


「はやくかえりたいもん」


 教室の掃除をしている僕を、みたきちゃんは手伝った。早く僕と帰りたいから、そんな理由で。

 一緒に教室の掃除をしていた生徒が掃除の手を止めて驚く。みたきちゃんが足を引っ張ることもなく、掃除をしてるからだ。


「皆みたきちゃんが手伝ってるのに、手を動かしてよ」

「あ、ああ悪い悪い。みたきちゃん、ほら、ちりとり持つからここにゴミ入れてくれ」

「うん!」


 嫌味ったらしく僕が言うと、男子の一人がそう言ってちりとりを手にホウキでゴミを掃いているみたきちゃんの元へ。





 掃除を終えて、僕とみたきちゃんは学校を出る。


「春休みが終わったら、僕達6年生だよ」

「ろくねんせい! いちばんうえ!」


 なんだかんだ言ってあの日からもうすぐ1年が経とうとしているのか。



「みたきちゃん、これから僕の家、遊びに来ない?」

「うん! あそびにいく!」




 何となく、みたきちゃんと遊びたくなったから僕は彼女を誘ってみると、満面の笑みで応えてくれた。

 父親は仕事だし、この曜日、この時間帯は母親は買い物に出かけている。

 家には誰もいない。僕は鍵を開けて家の中にみたきちゃんを招く。


「僕の部屋、こっち」

「おへや? はじめて!」


 適当にお菓子を持って、2階にある僕の部屋の中にみたきちゃんと入る。

 僕の与えたお菓子を美味しそうに食べるみたきちゃん。

 そんなみたきちゃんを微笑ましく眺めながら、何かしたいことはある? と聞くと、


「おいしゃさんごっこがしたい!」


 と答えるみたきちゃん。思わず僕は飲んでいたジュースを噴き出してしまった。


「み、みたきちゃん? 意味知ってるの?」

「くらすのこが、いってたよ! たのしそう!」

「……」


 お医者さんごっこ。僕も健全な男子、意味くらいは知っている。彼女がしたいならするべきか、いや、それはまずいんじゃないか、というか僕だってしたいけど、いやいや……色々と葛藤した挙句、マイルドな方向に誘導することにした。


「えーと、お医者さんごっこってのはね、二人で一緒に寝て、お互いの心臓がドキドキしているのを確かめて、生きてるね! って確認することなんだ」

「いっしょにおひるね! たのしそう! やりたい!」

「うん、わかった。それじゃあ一緒に寝ようか」


 部屋にある一人用のベッドに横になると、ニコニコしながらみたきちゃんが隣に潜り込む。とてもドキドキする。この心臓の高鳴りはどう考えても異常だ。病気だ。けれどそれは健全なことなんだ。


「なんだかね、こうしてると、すごくおちつくの」

「僕は落ち着かないかな」

「びょーきなの?」

「うん、そうだね。みたきちゃんが一緒に寝てくれたら治るよ」

「じゃあねる! おやすみ!」


 ドギマギしながら横になることしばらく、隣からすうすうと可愛らしい寝息が聞こえてくる。僕にはその寝息すら耐えられなくて、寝相が悪くて転げ落ちたことにしようとそっとベッドから出て床で寝る。僕達はまだ子供だから、これでいいのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ