九つ
月一が九歳のときです、そしてついに出会います・・・一人称は基本「俺」ですしかし私はあまり歴史とか詳しくないんで・・・そこらへんはよろしくお願いします。
神無月(10月)のころ、早朝から親父が俺に言ってきた
「月一、今から俺は妖山に出かけねぇといけん・・・じゃから今日は帰りが遅くなる」
毎月・・・とまではいかないが、妖怪どもが集まるときがある、俺も行きたかったけど、親父は「子供だから」なんて言って連れて行ってくれない・・・俺そんな子供じゃないのに・・・だってもう九つだぜ!?
「えぇ~・・・俺も行くよ!」
「ダメだ」
やっぱり・・・
「んじゃあ俺はいってくるから・・・それと・・・」
「外には出るな・・・だろ?」
わかってるさ・・・耳にタコができるくらい言われてたからな・・・
「ああ・・・じゃあな」
さてと・・・親父がいなくなったところでどうしようかな・・・親父が帰ってくるまでここにいるのは嫌だ・・・親父は外に出るなー・・・なんて言ってたけど・・・行ってみたいな・・・そうだよな・・・親父が帰ってくる前に帰ればいいよな・・・
まぁもし人間に見つかったとしても人間に化ければいいし・・・妖怪どもの中では自分でも言うのはなんだけど妖力が結構ある・・・親父と比べたらまだまだだけど・・・
一応外に出てみた・・・いつもは親父がついてくるんだけどな・・・
「お? 月一やないか!」
う・・・その声・・・聞き覚えが・・・
「なんだよ・・・三六・・・」
他のくにから来たみたいで、少し変な喋り方をする・・・悪戯好きの化狐だが・・・俺の良き友・・・
「勝手に外でとるんやろ?」
「そうだけど・・・」
「じゃあ一緒に悪戯でもせぇへんか?」
・・・こいつはいつもそんなこと言ってくる・・・けどこういう性格だから気が合うのかもしれないな・・・
「いーやーだ」
「つまらんのぉ・・・」
「んじゃ、またな」
「おお・・・」
アイツはお調子ものだがちゃんとしてるし・・・そこまで人間には害を与えようとすることはないんだよな・・・
「~~~~♪」
「え?」
どこからか歌が聞こえる・・・なんか綺麗っていうか・・・ちょっと様子を見てこよう・・・
「この草は・・・で・・・これは・・・」
あの子は・・・人間だな・・・しかも女・・・俺と歳は同じくらいか・・・? しかしこの森に人間? 追い払っておいた方がいいのかな・・・中には人食いの妖怪もいるし・・・いやいや・・・そんなことじゃなくて・・・でも人間に化けてみようかな・・・ちょっと試しに・・
あんま化けたことないけど・・・
「ポンッ」
あ、耳が・・・あと牙も隠さないと・・・
よし・・・これでいいか・・・とりあえず話しかけてみようかな・・・
「なぁ―――――」
三六は愛媛の方の言葉を使います・・・私の出身もそこなので・・・
次回はその女の子とのお話です