1/1
意味合い
古びた木製の家を前に、私は立っていた。
じっとりとした薄気味悪い森を抜け、土や泥で濁った長い川を渡り、熊と戦い、蛇を退け、民族と戯れた。
数え切れない死線を越えてここにいる私に、この家主はどう思っているのか
「現在、田中様いませーん。」
とおっさん臭い声を裏返して居留守を通している。
腰に据えた剣を引き抜く。
「田中!貴様は聖なる公務をほったらかしに、気味の悪いカラクリ人形なんぞ作りおってぇえええ!!」
思いの丈を叫ぶと、わりかし息は続かなかった。
「いいか!ここを開けなければ破壊する!」
最後の脅し文句は聞こえたらしく、ドアはゆっくりと開いた。
「...わかればよろしい」