準備不足なデスゲーム
気が付くと知らない部屋にいた。
周囲には見知らぬ顔が数名。
皆一様に戸惑いを浮かべて、お互いを見合っている。
顔面レベルは総じて低い。
そして部屋の真ん中には巨大なスクリーンがあり、プロジェクターによって台形補正が不十分な映像が映し出されている。
その映像に、突如としてお面の男が映った。
仮面ではない。
お面だ。
お祭りで見かけるあれだ。
意外と1000円ぐらいして、驚くあれだ。
しかも、お面のキャラクターはなんだか分からない。
ちいかわにも見えるし。
うさまるにも見える。
その不明瞭さがいっそう不気味さに拍車をかける中、お面の男は頭を小刻みに動かした。
誰かが叫ぶ。
「ミュートになってるぞ!」
誰かの言うとおり、画面左下のマイクマークに斜線が出ている。
しばしあって斜線マークが姿を消すと、はじめてお面の男の声が明らかになった。
「か…に…た…」
スピーカーの性能不良なのか、はたまたWi-Fiの調子が悪いのか、お面の男の声は途切れ途切れにしか聞こえない。
「べ…ほ…」
「なんだなんだ、何を言っているのか分からないぞ!」
若いのかおじさんなのか分からない男性が悪態をつく。
お面の男が構わず続ける。
「う…だ………い」
「『カニ食べ放題』だとっ?!!」
無職と言われても何も驚かない風貌の男性が、激しく興奮する。
俺たちはいったいどうなってしまうのか?
そしてお面の男は何者なのか?
答えはカニのみぞ知る。
「カニ」好きですか?私は苦手です。
ときどき町中がカニだらけという悪夢を見ます。




