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第11話   あなたの心が進むために①


 日光が燦燦と降り注ぐ放課後のグラウンド。

 私は高校生で、土の野球場内でショートを守っている。

 複数ある内野のポジションの中でもショートはとりわけ難しい。

 守備範囲が広く、的確な打球判断と適切な捕球、捕球後の正確な送球、そしてそれらに対応できる強靭なフィジカルが必要となる。

 また、相手打者やボールカウント、サインプレーや味方の守備位置も考慮する論理的思考も必須で、始動の際は踏み出す方向はおろか体の重心の向きすら間違えてはいけない。

 一瞬のミスがチーム全体の命取りになる。

 シビアでタイト。

 しかしそれをこなすからこそ守備の花形。それがショートというポジションだ。

 私はそのショートを守り、

 迫りくる打球をすべて捌き、

 白球を追いかけるチームメイトたちと一緒に部活に打ち込んでいる。



 しかし、この光景がもうすぐ終わることを私は知っている。



 これは私がいつも見る夢で、

 これは私のキラキラしている残酷な夢だということを。


―――――――――――――――――――――――――――――


「……」

 私はベッドの上で目を覚ます。

 都内にあるワンルーム。部屋の中は少し薄暗いが視界はきく。

 いつもの夢を見た影響か、視線は自然とラックの上に向いた。


 ラックの上には二つのグラブと写真立てが置かれていた。

 左側には未使用に近い投手用のグラブ。右側には見るからに使用感のあるファーストミット。

 写真立てには高校選手権で優勝をしたときの写真が収められている。

 

 写真に写る日焼けした私は左手にファーストミットを装着している。

 当時の監督の総合的な判断の末、私は一塁手兼投手を担うことになった。

 私がいたチームは幾度の激戦の末、高校女子野球の頂点に立った。

 だから監督の判断は間違ってはいないのだろう。


 でも、私は今、叶わなかった夢の延長線上で生きている。


 夢とは何だろう。

 私とは何だろう。

 この疑問を私はいつも無視をする。

 その疑問と向き合うと二度と戻れなくなる気がするから。



 スマホのアラームが鳴り響く。

 私はスマホを操作してスヌーズ機能を切ったとき疑問を覚える。

 いつもなら七時十五分にセットしている目覚まし機能が今日は一時間半早く起動していた。


「あ……」


 そういえば今日は面倒な打ち合わせがある日だったことを思い出す。

 その影響で他の仕事を早朝に前倒しで行うと、昨日の自分が今日の私に勝手に約束していたことを。


 軽く洗顔した後、芽衣からもらった玄米クッキーをつまみつつ、ドリップコーヒーを淹れる。

 ノートパソコンを起動させて仕事用の資料作成に着手する。

 キーボードを打鍵しながらふいに今朝見た夢のことを思い出す。


 過去の残像に虚像が混ざった脳内の蜃気楼。

 仕事で大きな山場を迎えるたびにあの夢を見ている気がする。

 それが何の暗示なのかはわからないけど、目の前のことに集中するのは仕事も守備も変わらない。

 とりあえず今は一人の漫画編集者として今日の仕事を頑張ろう。




この章、少し長くなると思います。

あと今月試験があるので更新頻度落ちます。

駄文を読んでいただき、いつもありがとうございますm(__)m



※本作品は実在の法律的根拠ならびに過去の判例を参考に執筆しているエンターテイメント作品のため、

 法律または法律的助言の提供を目的としたものではありません。

 法解釈における正確性や妥当性に関しては努めて配慮しておりますが、

 作品外における作品内容の利用に関してはご自身の判断でご利用ください。

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