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翠方の旅路  作者: 遠久ノ御方
第一章 森の少年編
1/11

プロローグ 「ハジマリハオワリカラ」


 1人の魔女が豪雨の中、森を人外の護衛と共に駆ける。

 彼女は自らの子を抱えながら、泥だらけになっても走り続ける。


 目的地の楽園が見えた。


「やった……!」


 彼女がそう喜びの言葉を放った。


 ——刹那、彼女の肩に矢が刺さり、鮮血が飛び散った。


「ッ……くそっ!」


 ——守れなかった……!


 護衛は前に進むのをやめ、自分の失態を悔いる。


 彼女は倒れ込んだ。

 そして、息子へ向けた言葉を紡ぐ。


「ごめんなさい……一緒にいられなくて」


 ポロポロと涙を流しながら彼女は覚悟する。

 ——自分が息子ともう会えないことを。

 ——自分がここで死ぬということを。


「——最後の命令よ、ドゥーべ……この子を送り届けなさい!」


 ドゥーべと呼ばれた護衛に、最後の命令を課す。


「はい…!」


 ドゥーべもここで主人が死ぬことを理解し、泣きながら応え、彼女の残した宝物を預かり走りだした。


 追手が彼女に追いついた。


「さようなら…イオ…体に気をつけて…」


 彼女は、もう見えなくなった息子の健康を祈り——


「そして、ごめんなさい...」


 ——自分の犯してしまったことを謝罪した。


 1人の魔女——いや、息子思いの母親は、最後まで自らの子のことを祈り続けた、想いを残した。


 ——彼女は命を落とした。


 彼女の流した血はさらに強まる雨に流されていった。






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