第0話 きっかけ
「appleの意味は?」
「スマホ!」
「……これでわかっただろ? 外村蓮司。お前は高校には進学できない」
「なんでですかっ!? 俺、高校に入って彼女作りたいですっ!」
「まぁ勉強がしたいから高校に入るってのは今だと少数派だよな。それでもなぁ、必要なんだよ。多少でも、学力が。この程度の英単語もわからないお前を受け入れてくれる高校なんてないんだ」
「え……? 勉強ができないと高校に行けないんですか……?」
「義務教育は中学まで。それくらいは知ってるだろ?」
「ぎ……なんて……?」
「はぁ……。俺もな、お前が嫌いだからこんなことを言っているわけじゃないんだ。確かに授業中に急に抜け出したり、遅刻しかしなかったりで散々頭を抱えさせられたが、それ以上にお前はいい奴だからな」
「ふっ。親から教えられてるんですよ。勉強よりも大事なものがあるって」
「ご両親の職業は?」
「大学のきょうじゅ……? とかいうやつです。まぁたいしたことないですよ!」
「あーもう色々言いたいが……まぁいい。今日はそんなお前でも入れる高校を伝えるために呼んだんだ」
「なんだあるんじゃないですか! もう無駄にビビらせてー!」
「私立桂来学園。少し遠いが、全寮制で学費もタダ。そして何より、たとえ名前を書けなくても合格できる。確実にな」
「へー! 俺にもってこいじゃないですか!」
「だが実験学校ってやつでな。ここでは頭の出来が全て。頭脳によって人間の価値が計られる。当然お前には不向きだ」
「なに言ってんですか先生。頭の出来が大事なんてどこでも同じじゃないですか!」
「……お前のそういう、無駄に核心を突いてくるところがどうにもむかつくんだよなぁ……」
「じゃあその高校に入ります! 決定!」
「まぁ待て。パンフレット渡しとくからよく読んで考えろ。この学校は……あ!? おい待て! まだ話は――!」