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流行りの異世界転生が出来ると思ったのにチートするにはポイントが高すぎる  作者: はぎわら 歓
本編

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4/12

 二か月頑張って働いていそいそと銀月様のいる神社に向かう。夕焼けの空が朱色からだんだんと紫色になり暗い闇になっていく瞬間に賽銭箱が置いてある本殿の前に立ち柏手を打った。祈るときってなんで目をつむるんだろうと素朴な疑問を考えていると、閉じた瞼からでもわかる光を感じ、そっと目を開ける。


「あ、こ、こんばんは」


 優美で尊大でクールな銀月様がふわりと宙に浮いた状態で目の前にたたずむ。三角の狐の耳がぴくぴく動き、ふさふさの大きくて長いきらめく尻尾が揺れる。これがシルバーフォックスってやつかなあ。


「願いはなんだ」

「え、と、いつもと――ほとんど同じなんですが、あの、ピロトークあるといいなあーって……。使うポイント増えてもいいので。ダメですか?」

「構わぬ。ポイントもいつもと同じ1000だ」

「あ、ありがとうございます!」


 今回でポイント交換も4回目だ。二ヶ月間頑張るとだいたい1000から1200ポイントたまっている。そしてストレスもたまっている。銀月様と会うことでストレスも吹き飛び頑張って毎日過ごせるのだ。


 さて、いつものように極上のエステを受けるようなコースが始まる。


「あ、甘い香り……」


 湯煙で湯船が見えないが花の香りが漂ってくる。


「今は金木犀の時期だな」


 お姫様抱っこされて湯船を覗くと小さなオレンジの花弁がたくさん浮いている。


「はあーいい香りー」


 いつも違う香りの花風呂だ。最初は薔薇で、二回目は沈丁花、前回はクチナシと薫り高い季節の花を散らしてくれる。

 甘い花のする湯を爪先からゆっくりかけてくれ、だんだんと身体が温まると濃密なクリームのような泡で全身を包み込まれる。

 抱きかかえられ大きな手で身体をまんべんなく撫でられた後、泡で出来た雲が身体をふわりと浮かせる。


「髪が伸びたな」

「ええ、伸びましたね」


 私の変化に気づいてくれていることがとても嬉しい。相変わらずクールな眼差しで落ち着いた彼だけど少しは私の事好きになってくれているかなあ。身体中泡まみれのままの私の横に銀月様は寝そべり、髪の中に両手を差し入れる。優しく地肌を洗われながら口づけされると頭なのに気持ち良すぎて喘ぎながら身体をにじらせてしまう。


「動くと洗えないではないか」

「あんっ、だ、だってぇっ」

 身体をくねらせていると銀月様は笑って尻尾で身体を撫でまわし始めた。ふさふさの尻尾が泡でもこもこになっている。

「やっ、し、しっぽ、くすぐったっ、い」


 まるで高級な車になったように、優しく、やっぱり最高級の手触りの毛皮で洗われる。器用な尻尾は手と同じように足の指の間をするするすり抜け膝を丸くこすり太腿を撫で上げる。


 横たわっていた彼は私の身体の上に覆いかぶさって頬を撫で口づけを与えてくれる。ああ、なんて綺麗なお顔……。よかった。顔は人間で。狐じゃキスできないよね。


 入浴のあと、柔らかい極上のベッドでゆったりと過ごす。

 優しく髪を撫でられ頬に口づけされ、指先を口に含まれる。うっとりと彼の姿とその彼の動作に見惚れていると銀月様はまた髪を撫で始める。


 銀月様と愛し合って子供が産んで育てられたらどんなにいいんだろう。彼と私の子供だと人外のクオーター?綺麗な子供だろうなあー。耳と尻尾どうなるんだろう?狐耳ってどうやって掃除する?綿棒?綺麗な宝石ような瞳はそのままなのだろうか。銀月様は私の事どう思ってくれているんだろう。私の気持ちは会えば会うほど募っている。彼と会うためだけに(らぶえっち的な意味でも)毎日善い事をして頑張ってポイントを貯めている。


「あの、ポイントって恋愛成就にも使われたりします? 女子ならよく好きな人と両想いになりますようにってお願いしに来たりしませんか?」

「ポイントはもちろんその願いに変換されるが、相手の気持ちを変えるわけではない。どんなにポイントを貯めてもまやかしの術のように人の心を変えることは出来ない」

「そうなんだ……」


 恋が叶うということを要約すると、願いを叶えるためのポイントは、好きな人と偶然会えたり、話す機会が増えたりとか物理的な状況が増えるらしく、あとは高ポイントほど『徳』が高くなっているので愛され度も上がっているという。つまりポイントを貯めるということは本人の魅力が高まっていることなのだそうだ。


「今のお前は私の元へ来る必要などないだろう。お前を愛する男は多いはずだ」

「あ、はあ、まあ……」


 そう。ここ一年近くで人生初のモテ期がやってきている。合コンにも良く誘われて遊びではなくちゃんと付き合いたいと毎回言われる。嬉しくてふらっと『はい!』と返事をしそうになるがその都度銀月様の顔が頭をよぎる。浮気でも何でもないに。

 後ろから抱きかかえられ、ふさふさの尻尾で身体を撫でられ、銀月様と睦ごとのような会話を交わしていると、以前と違う願いが湧き上がってきた。


『本当に銀月様に愛されたい』


 無理か……。気持ちは変えられないし、きっと変わらない。こうして会うのは4回目だけど彼に何も変化はない。はっ! まさか。最初にえっちしたから本命になれないとか!? まずったなあー! プラトニックで始めて気持ちが伴ってから身体の関係を持つんだった! いや。無理か……。こういう時に自然に湧いてくる気持ち、心をもらえないなら、何か形が欲しい。

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