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槍と氷で頑張ります!  作者: 鹿鹿
プロローグ
5/29

5話 不安

王がオレの事を睨みつける。


やっヤバイよこれ、完全にダメな奴だよ。めっちゃ睨んでるし、これからどうなるの?追い出されるだけならまだいいけど、クラスメイトに退治されるとか絶対いやだし。そもそもどんな力なのこれ?色々とヤバそうな状況の中で必死に頭を使って考える。


ふと紫ローブの言葉を思い出す。

あっ、力の内容は自分では分かるんだった!自分自身に語りかけてみる。

語りかけてみると目の前に画面が表示され、詳細が書いてある。


(魔獣の刻印)『刻印を解放し、3分間だけ魔獣の力を得る。解放終了後に激しい疲労感。』

この刻印の魔獣は氷に特化しており、その他の魔術は扱えない。解放中は身体能力、魔力が魔獣基準になり、その魔獣の固有の技も扱える。


(氷特化) 『扱える魔術は氷のみ。』

扱える魔術は氷のみ。



……何これ?3分間ってどこの星の人だよ!それに激しい疲労感って。しかも能力が魔獣基準かぁー、試練のボスっぽい相手だしそこそこ強力なんだろうけど、イマイチ分からんな。

もう一つの方はそのまんまんだな。説明と補足が一緒だし、刻印の方も氷しか扱えないし、オレって別に冷たい男じゃないんだけどな。


能力の事に夢中になり過ぎて今の現状を忘れていると、王から声がかかる。


ヒムロよ。


ビクっとなり今の現状を思いだす。


なっ、なんでしょうか?


服を脱げ。王が真面目な声で言う。


はっ?アホみたいな声が出る。


だから服を脱げ。とても真剣な声で言う。目を見開きながら。


王の圧力に負けて服を脱ぎ始める。男のストリップなんて一部の人しか喜ばないのに。

上着を脱ぎおえ、次は下を脱ごうとした所で声がかかる。


下はよい。ふむ、右肩か。


右肩が何か?と思いつつも自分でも右肩をみる。すると肩には立派な角の生えた獣のエンブレムのような物が刻まれていた。


それを見た天原が声をかけてくる。

氷室……お前がクラスで浮いている理由が分かったよ。まかさヤクザだったとは。残念だ。


肩の物をタトゥーだと思ったらしく、悲哀に満ちた声でオレに言ってくる。


違うわ!力強く反論する。

どう考えたって、これが刻印だろ!!

勝手にタトゥーにすんなよ。あらぬ誤解を与えるのも嫌なので、少し強く言い返す。


天原が言った通りオレはクラスで浮いてる。理由は爺ちゃんの道場を馬鹿にした奴を片っ端から成敗したからだ。小さい道場に加えて槍だし、馬鹿にされる事は多かった。それが許せなかった。


俺にとって爺ちゃんは唯一の家族だ。両親は小さい頃から俺に興味が無かった。父は仕事一筋で家にほとんど帰らず、そんな父に嫌気がさした母は浮気を繰り返した。

そんな状態の家庭が長く続くはずもなく、離婚となり、親権はどっちが取るかと言う話し合いになるが、お互いに取る気はなし。もちろん俺の意見なんて聞かない。

そんな時に救ってくれたのが爺ちゃんだった。

「この馬鹿者どもが、お前ら親がこの子を必要とせんでどうする!自分の事を譲りあってる親を見てどう思うか想像もできんのか!」


俺にとっては凄く嬉しい言葉だった。誰からも必要とされてなくて、ずっと味方はいなかった。でも爺ちゃんだけは味方になってくれた。

その場で爺ちゃんがオレを引っ張って行き、その後は2人で暮らしてきた。


そんな爺ちゃんが大事にしている道場を馬鹿にされるのだけは許せなかった。毎日毎日見てきてるから、どんなに一生懸命道場をやっているか。

そんなこんなで喧嘩ばっかしてたら、いつの間にか危ない人認定され、話しかけてくる奴もいなくなった。まぁ、道場馬鹿にする奴もいなくなったから良いんだけどさ。


学校で浮いてる分には全然いいんだけど、こっちの世界で浮くのは辛い。下手したら死ぬかもしれんし!ヤクザ認定だけは取り消してもらいたい。


すまない。天原が謝る。


まぁ、分かってもらえればいいよ!ってか素直に謝るのもレアだな。内心で呟く。


そんなやり取りをしながら王を見ると、兵士の人と何やら話していた。いつまでも裸は嫌なので、王に尋ねてみる。


この魔獣の刻印って、良くない物なんですか?試練のボスも魔獣でしたし、オレって退治されるんですか?自分で聞いた物のなんて馬鹿な質問なんだと思う。


いや、珍しい事ではあるが、案ずる事はない。皆と一緒に訓練に励むがよい。


絶対嘘だよ!だって目怖いもん。訓練中に殺されるオチとか嫌だよオレは。だからもう一度聞き返す。


本当ですか?何も心配しなくていいんですよね?少し強めに言う。


あぁ、心配する事はない。では日もくれた頃合いだ、今日はゆっくり休んで明日からの訓練に励んでくれ。勇者アマハラよ、後で儂の部屋に来てくれ。


そう言って王が去っていく。その後に王宮の使いの人が来て、部屋に案内してくれる。しかも1人一部屋だ。どんだけデカイんだよ。


その後夕食を振舞ってもらい、食べ終わった物達はそれぞれに行動していた。オレはたいして友達もいないので、部屋に戻って今後の考えている。

王が最後に天原を呼んだのが気になっていた。今日の所は何もなく終わったけど、王の態度を見る限りオレの力はNGなのだろう。天原を抱きかかえクラスの連中と協力してオレを追い出すつもりなんだろうか?


最初は召喚されてワクワクしてたけど、もう不安しかないな。最悪1人で生きて行くしかないのかなぁー。はぁー、いくら考えても情報がないし、意味ないか。とりあえず今日は寝よう!


こうしてオレの王城での最初で最後の夜がふけていく。


朝の目覚めは最悪だった。兵士が部屋に押し込み訳も分からぬ内に抑え込まれ、そのまま王の間まで連れて行かれる。


まさか1日で問題を起こすとはな。さすがは魔王に魅入られし刻印の持ち主よ。王はそう言いながらまたオレを睨みつける。


もちろん身に覚えなどない。



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