エンディングまで、待っていられない
目にとめて頂き、ありがとうございます。
乙女ゲーム転生シリーズ、これにて最終話です。
楽しんでいただければ、嬉しいです。
「ルチア、私が、隣国へ旅立ったら、どうする?」
私に話しかけているのに、どこか遠くを見つめているお兄様。
ヒロイン様が退場してから、数日後、学園のお休みを利用して、幼少の頃から一緒に行っていた
湖畔にお兄様と二人で訪れていた。
今日も湖は穏やかで、キラキラと輝いていた。
「…行かないで。と、止めますわ。それでも無理なら、着いていきます。」
どこか、ぼんやりとしながら、そう答えた。
今日の、お兄様は、酷く脆い。
正確には、ヒロイン様が退場した日から…だ。
「ルチア、私は、独占欲がどうやら強いらしい。そして、酷く心が弱いようだ。」
「…知ってますわ。」
私が、大事、なんでしょ?
それでも、復讐を、忘れられないんでしょ?
心のどこかで、感じてた。
お兄様が、私を妹として、見ていないんじゃないかと。
それでも、あえて、妹としてふるまっていた。
何故なら、お兄様には、ヒロイン様が居るから。
後に、自分とは違う女性をみる人とわかっていて、好きになるのは辛い。
なら、最初から、妹でいるしか、ないじゃないか。
そして、妹としての、その一線を引いている限り、お兄様を完全に癒してあげられて
いないことも。
でも、ヒロイン様ではなく、私を選んでくれるというなら。
私を傍に置いてくれるというのなら。
「私が、大切なら、ここにいて。ここにいるのが、辛いのなら、一緒に連れて行って。_____ジェード。」
お兄様は、自分の心が脆いというけど、それは私も一緒。
自分が傷つきたくないから、一線を引いてた。
癒したいとか、言ってるくせに…だ。
愛を注ぐにしても、同等の量をかえして欲しがる私こそ、独占欲が強い。
そんな私で、いいなら。
一緒に、いさせて。
いつもみたいに、飛びつかない。
横に居る、居てくれるお兄様…ジェードの顔を両手でつかみ、そっと自分の胸に押しやる。
そして、そっと耳元で囁いた。
「…大好きです。」
私はヒロイン様じゃないけど、好きでいさせて、下さい。
そう、精一杯の告白をした。
………。
ジェードの反応が無い。
私の胸のところに顔を埋めたまま、動かない。
告白失敗?
そう思い、顔を覗き込もうとしたら、顔を赤くしたジェードと目が合った。
「…ルチア、大きくなったね。胸…成長した。今後が楽しみだよ。」
「~~~~~!!!!!」
忘れてた!18禁スレスレエロエロ攻略対象者だった!!
返せ、私のシリアス先生返せ!!!
酷いと言いながら、ジェードをバシバシ殴った。
本当に私の覚悟を返せーーーーー!
笑いながら、私の攻撃を軽く受けとめた後、両手をギュッと握られ、
そのまま抱きしめられた。
今度は、私が、ジェードの胸の中だ。
「ルチア、ありがとう。」
まだ、私は弱いままだから…
そう、震えながら言葉を紡ぐジェード。
「君の傍にいさせて。ルチア、君と未来を歩きたい。」
また、心が曇って、雨の音が止まない日がくるかもしれないけど
君がいれば、きっとまた、前を向いて歩ける。
そう呟いて…
そのまま、いつものように、髪に、頬にキスを落としてくれた。
でも、今日は_____________。
ジェード、唇に、キスを、下さい。
ゲームとは、違う未来。
エンディングスチルとは、ほど遠くて。
それでも、私は、幸せで。
私を抱きしめてくれる、ジェードも幸せそうだから。
このまま、二人で、ハッピーエンドを目指してもいいですか。
お読みいただき、ありがとうございました。




