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牢獄

(身体が重い…)

家に帰ってきてから背中はなんともなかった

けれど時間が経つにつれて違和感というかダルさというか

ふわふわと浮かんでいるような心地になってきた

先生の声が遠くに聞こえる

(眠い…)

私はそのまま意識を失うように眠りについた

(何か聞こえる)

その声はだんだんと近づいてくるように大きくなる

「ん…」

目が覚めた時私は暗い部屋の中にいた

光一つ差し込まないそこには扉があるのかも何もわからない

本当の暗闇に体がこわばった

「だれか…」

小さく声を出してみるが返事はない

「あ、魔法で明かりは」

腰から杖を抜こうと触れるが抜けない

確かにそこに杖があり、手に当たる

なのに抜けない

試しにポシェットも開けようと試みるが開かない

まるで人形のようだ

作り物に触れていて本物ではない感じ

「あ、」

閃いた

(私もしかして影になってる?)

影は実態ではない

だから身についているはずのものを開くことができない

(困った…

先生は慣れてるから杖なしでも精霊が呼べても私はまだ杖がないと…)

先生ならこんなときどうするだろう

(まず部屋の作りを確認してみようかな)

ひざ立ちで床を確認しながら壁を探しに動いた

(ん?ここの床…下に繋がってる?)

手をついた時の音の響きが違っていた

下に空洞のある音だ

ドンッ

試しに強めに叩いてみたが開かない

「あ、私が上に乗っかってるのか」

少し移動してその床下に耳をすませてみた

(…何か話し声がする)

リザは話し声に耳をすませる

話し声とともに足音がする

どうやら近ずいてきているようだ

「ど、どうしよう…」

リザは慌ててその場から離れて元いた場所のあたりに寝転んだ

ガンッ

やはりあの下はどこかに繋がっているようだった

リザは息を殺して寝ていた

そんな時聞き慣れた声が聞こえた

「ルイ、このドア開かないぞ

行き止まりなんてことないだろうな」

「!?先生!!!」

思わず飛び起きて扉のあった場所へと戻る

「リザ!?そこにいるのかい?」

「はい、リザです

真っ暗で何も見えないんです」

「今ここ開けるから離れてて」

「分かりました」

リザがその場から少し後ずさりすると大きな音とともに眩しい光が差し込んだ

「んぇ、あれ!?」

光が差し込んできた瞬間その場に尻餅をついた

リザは座っていたはずなのに体勢を崩したことに驚いた

「リザ落ち着いて

今リザは影だから光が当たると壁に写っちゃうんだ

ウリエル、リザを直接照らさないでね」

「先生…助けに来てくれたんですね…」

「約束したでしょ」

「ありがとうございます…」

壁に映る黒い影は腕で涙を拭っているように見えた


「さ、誰か来る前に早く帰ろう」

ルイは鉄格子の奥を覗き見ながら言った

「あぁ、でもこのまま外に出ると影のリザが月に照らされて地面から離れられないから魔法で帰ろう」

ルネが腰から杖を引き抜き床につく

「ウリエル、家まで飛ぶよ

光は出さないようにできるね」

「え?私もか?私もルネの家まで行くのか?」

ルイの声に返事はなくリザたち三人はフッと消えた


ドサドサッと音を立てて店先に三人が着くと王宮の男は驚いた顔で声を上げた

「うわぁぁっ、てなんだ…」

「ほら、リザの影を元に戻せ」

男は頷いてリザに近ずいき腰のポシェットから黒いハサミを取り出した

「あ、リザさん来てもらっていいですか…」

「あ、はい」

リザが自分の体に近づき指示されるように足を体の足にくっつけた

男がリザと影の境目をハサミではさみながら手前に引くとどんどんくっついていった

全て繋ぎ戻すと影はだんだんと薄くなりリザが目を覚ました


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