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国の過去

「~~~…~~~!

…んせ!

この…おきろーー!!! 」

遠くから聞こえる声に重い瞼を開く

「ん~…今何時?

起きる起きる…」

「今10時です、さっき昨日の薬の予約客が来たのでお薬お願いします」

昨日から壊れている扉を踏み越えてリザが戻っていった

「すいませんね、今先生呼びましたから」

離れたところからするリザの声を聞きながらもそもそと立ち上がり布団の上においていたの羽織を着て店先に出る

「いらっしゃい、お待たせしました

朝に弱いものでご迷惑おかけしました…」


ルネは椅子に座るおばあさんに謝罪の言葉とともにリザから伝票を受け取った

「腰の痛みが強いので痛み止めが欲しいそうです」

ルネは奥の部屋へ行き棚の鍵を開けて小瓶を一つ取り出す

「んー、少し切れてきてるな…

リザ!魔法かけ直すから準備お願い!」

お客と話しているリザに向かって言うと間延びした返事が返ってきた

ルネはそのままキッチンへ行き氷と生姜を一切れを取り出し客に訊ねた

「温めたり冷やしたりしたことありますか?」

すると少し悩む素振りをして「冷やしたけどあまり良くならなかったわねぇ」と言ったのを聞き氷を机の端に置いた

「分かりました、ありがとう

温めた方がいいかもしれないから痛み止めに火の加護もつけておきますね」

リザの準備した銀杯を受け取った


銀杯の中に瓶の中の薬を入れその上から生姜をすりいれた

ルネは腰のポシェットの中から赤い魔法陣の描かれた紙を出し銀杯にかざすと紙は銀杯を通り抜け薬に到達すると中が燃え始めた机と杯の間で止まった

火が消えてから銀杯を取ると紙に書かれていた魔法陣はなくなりただの白い紙になっていた

その白い紙の上に中のものを出すとコロコロと丸い薬の形はそのままに出てきた


それらを箸で拾い集め再び瓶に戻した

「痛みがやむまじないと火の加護をかけました

毎日3回飲めばきっと良くなるでしょう」

ルネが瓶を紙袋に入れて渡しながらそう言うとおばあさんは目尻にしわを作りながら笑い「ありがとう」と残して帰って行った

リザは使い終えた銀杯を洗い終え手を拭いている

「なんだかこういうのいいですよね、昨日があんまり騒がしかったので安心します」

「そうだね、でも安心してるところ悪いんだけど今日も少し出かけるけどいいかい?」

ルネは少し意地悪そうに笑って言い

リザは「仕方ないですね」と片目をつむり返事をした


「今日はどこへ行くんですか? 」

「今日はルイのところへ用があってね」

「え、珍しいですね」

リザは見上げるように話しつづける

「何か気になることでもあるんですか?」

「今朝届いてたこの手紙について、ね」

ルネはポシェットから一枚の封筒を取り出しリザに渡した

リザは差出人の名前を見てピンときた

「あ、昨日の指輪のお客様ですね?」

「そう、おじいさんが最初誰と一緒にいたのか思い出したから手紙をくれたんだ」

「それで誰だったんですか?」

ルネが手紙を指差したのでリザは封筒から便箋を出して読み始めた


「…え?王宮の軍服?ってことは国の関係者ってことですか?」

「恐らく、ここで情報通なルイの出番ってこと

さ、そろそろだよ」

ルネの指差す先にルイの住む屋敷が見える、

「何度見ても大きなお屋敷ですね…」

鉄格子の門を開き中に入る

「え、勝手に入っていいんですか?」

「いーのいーの、どうせあいつも気づいているから」

そのまま大きな扉の前まで行くと勝手に開き中からルイと男の子が出てきた

「君をうちの者と言った覚えはないんだけどなぁ

なんでいつも勝手に入って来るんだ?」

「いいだろ、いつも開けてくれるんだし」

呆れ顔のルイにルネは面倒くさそうに答える

「まぁいい、お茶を用意させてるから入れ

リザさんもよく来てくれたね」

こうしてリザとルネはルイの自室に通された

「本当に無駄に広い家だな」

「無駄なんて言っちゃダメですよ!」

「リザさんはルネよりよっぽど出来た子だな、少しは見習ったらどうだ?」


ルネはルイの嫌味にふんっとそっぽを向いた

ガラスのカップにダージリンが淹れられた

「で?何が聞きたいの?

ルネから来るってことはそういうことだろう?」

カップを持ち香りを楽しみながらルイが訊ねた

「あぁ、昨日の事件あったろ

あの事件と国の関わりが知りたい」

「なぜ?」

「教える必要はないだろ」

お互い一歩も譲らないような雰囲気が流れた

「…じゃあこうしよう

ルネが教えたら教えよう

対価さ、私も商売の一つなんだ

タダでは教えられないさ」

ルネは大きくため息をついて「あぁ、分かった」と言い昨日からの出来事を話し始めた


「なるほどね

ルネはその老人は国に使われて君たちのところに来たって考えてるわけだ」

「あぁ」

ルイは短い髭を触りながら悩んでいる様子

「さ、知ってること教えてくれる約束だろう?」

「ルネ、君は王宮がいつから建っているか知ってるか?

魔法校では1000年前からと言われているんだ

そして今から大体800年前とある悲劇で一度この国は終わっている

そしてその時代あの城の塔の最上階に神と呼ばれる魔導師が6人住んでいたそうだ

その魔導師は国を治めていたが体に悪魔を宿しておりほとんど外に出ることは許されなかった

年に一度どの神に付くかを決める儀式があって未だにその時使われていた魔法陣があるらしい

しかしその儀式について触れることは禁忌とされていて今知る者はほとんどいないらしい

だが思わないか?

国が隠す魔法陣やかつての国の仕組み

国の回し者と思われる者がお前の魔法陣に関わるものを盗んでいった

その者はその日に亡くなり盗って行ったものは持っていなかった

もしそれを国に奪われてから始末されたとしたら?

もし塔にある魔法陣が君の家のものと同じだったとして王宮は何をしようとしてる?


そして何より引っかかるのはルネの師匠だな

もしかしたらその方は何か知っていたのではないか?」

ルイの目は輝いていた

「ルイ、君が本当に、知ることが好きなんだってことがわかったよ

あいにく僕の師匠はもうこの世にはいないんだ

形見も特にないし手がかりらしいものもない

あるとすれば師匠が残したがったあの地下室だけだ

だがあそこは何度も調べたが古い本があるばかり

唯一の手がかりになりそうだったものも全て盗られていたし

…聞きたいことはこれだけだ、そろそろ帰ろうかリザ」

ルネはそう言うと立ち上がろうとした


「あ、ルネ、君から出された薬とてもよく効いているよ

それでひとつお願いがあるんだが…弟子のタイニーの様子がおかしいのだ

診てもらえないか?」

「ん?あぁ、いいだろう」

どうやらルイの隣にいた男の子はルイの弟子だったらしい

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