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パペットな魔女 その2

ケン王子とミナはまだサラとミナの部屋にいた。


『ミナ、また魔法を使ってサラの居場所を確かめられるか?』


『サラは...宮廷にいます!』


なんで宮廷に?まさか!?馬車を呼んでも着く頃にはきっと手遅れだ。こうなったら...。


『ミナ、君は気の属性だ。馬車で行くと時間がかかってしまう。サラがなぜそんなとこにいるのか間違いなく兄上が関わってる。お願いだ、僕をテレポートしてくれ。』




『わかりました、準備はいいですか?私はもしもの時のために学校に残ります。』


ミナが呪文を唱える。


『トランスポート』




ケン王子が目を開くとそこは宮廷内の庭だった。早くサラと兄上を見つけなければ。


ケン王子は宮廷があまり好きではない、むしろ嫌いである。家族仲は最悪だ、父上と兄上は悪魔と条約を結びたいと昔から考えている、しかしケン王子はこれを行動に移すことに大反対なのである。なぜなら彼には...前世の記憶があるからだ。これはケン王子が5歳頃の出来事である。ケン王子は魔法が使えるようになったのは人より遅くちょうどこの頃に使えるようになった。この日はとても穏やかな日であった。まだこの頃は兄であるカイ王子と仲が良かった。でも一緒に遊んでいるとカイ王子がケン王子のお気に入りの玩具を壊してしまっただ。怒って感情を爆発させたその時だった、カイなんて消えちゃえとケン王子は願ってしまった。すると突然目の前に水の渦が発生しカイ王子は水に飲み込まれてしまった。幼かったケン王子は焦った。一生懸命手を伸ばしなんとかカイ王子を助け出した。疲れ果てたケン王子はそのまま意識を失ってしまった。ケン王子が目を覚ますとそこはどうやら夢の中のようだった。目の前にきれいな白色のユニコーンが急に現れて彼に触れた。その瞬間彼は思い出した、前世の記憶を。ユニコーンは言う。


『我アークなり、お前の役目を果たせ、彼女との約束を。』


辺りが急に眩い光に包まれ、目を再び開くとそこは自分の部屋だった。


まさか、こうして今前世の記憶を取り戻してしまうとは...。幼いながら前世の記憶を急に思い出してしまったケン王子は涙を一筋流し、心に決めた。絶対あの人との約束をなんとしても果たすと、それにはあの子を探さなくては。


この件以来悪魔のことなんてどうでもいいと思っていたケン王子だが父上と兄上と対立するようになった。なぜなら過去を繰り返したくない、前に進みたかったからだ。


それから何年か経った今現在、"あの子"を見つけることができた。そうそれがサラなのだ。初めてあったあの日から目がサラに釘付けになってしまった、まるであの人のような美しい子に。そう、カイ王子はサラに恋心を抱いてしまった。サラを守るつもりで学校に無理やり連れて来たがまさかこんな風になってしまうなんて申し訳ないなと考えていると目の前に人影が見えた。でも何かがおかしい。3人立っているのに影は2人分しか見えない。間違いなく一人はサラだ、そしてサラの右に立っているのは兄上だろう。ではあの影のない人物は一体?前世の記憶を探ってみても記憶にない。とりあえず彼らに近づこうとしたその時だった。




『あれあれ招きざる客がいるみたいだね。』


気づくと影のない人物が目の前に立っていた。この一瞬でどうやってここまで、まさかこの人も魔法を使えるのか?近くで顔を見るとケン王子はゾッとした。間違えない、この人は...。兄上であるカイ王子や父上はあまりこの人物について知らないだろう、二人のアンダーワールドとの出来事についての知識は所詮ファル・ハサンの日記から得たものだ。僕みたいに前世の記憶があるわけではない。こいつは間違いない、スベンだ。もし自分に過去の記憶があると知られたらまずいだろう、なんだって僕達は敵対していたから。




『君がケン王子だね?いいかい、僕達の邪魔はしないほうがいい。でないと君の大切なお友達がどうなるかな?』


そういうとスベンはサラを手招きで呼んだ。サラがゆっくり二人の方へ向かってくる。ケン王子はサラの顔をじっと見る。サラの目からが光が失われているように見えた。


『なんでしょう、マスター?』


『ちょっとお腹が空いたんだ、いいかな?』


スベンがそうサラにいうとサラは頷いた。その次の瞬間、スベンがサラの首にかぶりついた。一瞬の出来事でケン王子には止める事ができなかった。


『邪魔をするならサラの血を全部飲んじゃうから。』


何かがおかしい、僕の知っているスベンはただの悪魔だ、人を傷つけるのは楽しんでいたが人の血を飲む趣味なんてあったか?それになぜサラは彼の言いなりなんだ?


ケン王子が考え込んでいるとスベンが言う。


『おっと、自己紹介をしなきゃね。僕はスベン。ヴァンパイアだ。サラはね僕の言うことは何でも聞くからね、ここで今死ねって命じたら死んじゃうから。』




『サラに何をした!?』


『何って僕のパペットにしただけ。計画に彼女が必要だから、反抗されるよりは従順のほうがいいでしょ?』


そういってスベンは隣りに立ってるサラのことを撫でる。サラの首からはまだ少し血が出ていて痛々しかった。でも本人はあまり気にしていないようだった。


『サラ!』


ケン王子がサラの名を叫んでもサラは見向きもしない。スベンの計画は間違いない、アンダーワールドの扉を再び開くことだろう、それには間違いなくサラの存在が必要になってくる。でも僕に記憶が確かなら...。




ケン王子は少し離れていたところで立っているカイ王子を見つめる。きっと兄上はこのことを知らない、知るはずがない。仮に兄上が危険な目にあってもここは宮廷内、王族だけを守る結界がそこら中に張られているから大丈夫だろう。サラもこの計画には欠かせない、だからスベンが彼女を殺すわけがない。なら...。ケン王子は急に走り出した。


『なんで急に走り出したんだ?まあいい。計画の邪魔をされない限り。』


カイ王子はケン王子の後ろ姿をしばらく眺めていた。



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