パペットな魔女 その1
ケン王子は急いで学校に戻った。とりあえず何事もなくサラを連れ戻せたけど、なにかおかしい、こんなにも簡単にサラを取り返すことに成功したなんて。とりあえずサラが目覚め次第彼女から話を聞かないと。
学校に戻るとケン王子はミナと合流し一緒にサラの寮までついて行った。
『ケン王子、サラの首元にアザなんてありましたっけ?』
ミナはベッドに横たわるサラの首元に2つの小さなアザのようなものに気付いた。
『すまないけど、あんまり覚えていないかな。』
ケン王子もじっとそのアザのようなものを見る。これはアザというよりもどちらかと言うとなにかに噛まれたような跡?一体屋敷で何があったんだ?
するとベッドの上のサラが目を開けたではないか。
サラは辺りを見渡した。その様子は心此処にあらずだった。一体どんな目に屋敷であったんだ?
『サラ!もう心配したんだよう、すごく。』
そういうとミナはサラに抱きついた。
『特に何も心配することはありません、ただ私が散歩に出て道に迷い道中で屋敷を見つけたので休んでいただけです。とりあえず一人にしてもらってもよろしいですか?』
ミナとケン王子は部屋を後にした。
ケン王子はミナにいう。
『さっきの、サラの話、なんか怪しくないか?部屋には薬品が染み込んだハンカチまで落ちていたのに。』
ミナは深刻そうな顔でいう。
『あれはサラではないとおもいます、多分。』
『一体どういうことだ?』
『あの部屋にいるサラは敬語で私に話しかけていました、でも私達敬語は使わないって決めたんです。だからあのサラは偽物かもしれません。』
その瞬間サラの居る部屋の方で物音がして虹色の光が溢れ出していた。
二人は急いで元いた場所に戻る。ドアを開けるとそこには誰もおらずただ、床に制御ブレスレットが落ちていた。
『この魔法は間違いなくサラの仕業だ!』
ケン王子とミナは状況を整理することにした。
『僕もサラの様子がおかしいと思った、でもミナが言うように偽物ではないはず。』
『偽物だと思ったんですけどあれは間違いなくサラの魔法ですよね?一体何がサラにあったんでしょうか?』
『状況から見てサラは自分から部屋を出てはないはず。何者かがサラを連れ去った。サラがいた屋敷には誰もいなかったけど。何かがおかしい。なぜサラは自分で外に出て道に迷ったなんて言ったんだ?何かきっと目的があるはず。』
カイ王子は自分の寮の部屋で休んでいた。もう日も暮れ辺りはすっかり暗くなっていた。王族ということもあって彼は一人部屋でいい部屋を与えられていた。するとドアをノックする音が聞こえた。カイ王子の部屋に基本誰もやって来ない、なぜなら皆彼のことを恐れているからだ。ケン王子とは違い彼は話しかけるなオーラが滲み出てる。カイ王子はソファーから腰を上げドアの方に向かい扉を開けた。するとサラが立っていた。
『こんなところまで来てなんのようかなお嬢さん?』
『私をお城まで連れて行ってくださいな。』
なんか雰囲気が違う、教室であった時と。まるで別人のようだ。
『それはどうかな、基本宮廷には王族と王族関係者しか入れないからね。』
『なら仕方ありませんね、マスター。』
サラがマスターというのと同時に二人の目の前に男が現れた。そう、サラを拐ったあの人だ。
『お前は誰だ?どうやってこの学校に侵入した?』
この学校の警備は高水準だ、簡単には侵入などできない。
『僕のパペットちゃんに入れてもらったよ、この子は僕の言いなり。なんでも僕の言う事を聞いてくれるんだ。それに僕にはこの子が必要、アンダーワールドの扉を開くために。』
『なぜ、アンダーワールドの存在を!?』
『人間界との扉が閉じる前にアイツが呪いを残った悪魔にかけたんだ、そのお陰で今じゃ昼間には出歩けない、いいこともあるけど、人間の血を吸ったり操れる。そう僕はヴァンパイアになった。でも僕はアンダーワールドに戻ってアイツに復讐をしたい、そして王族も悪魔の力が欲しい、昔みたいに。君にとってメリットしかないと思うけど?』
『君は、もしかして悪魔の頂点に立つイーライの子の一人か?』
『さすがは王族、鋭いね。僕はイーライに養子として引き取られた、長い間イーライとその妻カロラインは子に恵まれなかったからね。だから血縁関係はない。僕の名前はスベン。そして僕はイーライの実の子であるアイツ、マックスウェルに復讐をしたい。』
カイ王子と現在の王であるキーランド・スコットは確かに悪魔を人間界に再び呼び寄せたかった。最近王族に対する評価が下がっているからだ。だから昔ケニー・ハサンみたいに自作自演をしようと試みていた。そんなときにサラの存在を知った。そして二人はサラが予言の者の可能性があるのではと考えていた。ならぜひともサラを王族側になんとしてでも引き込もうと考えていた。だからサラの制御ブレスレットに細工をしてどんな力があるのか実際に見てみようと試みたのだ。サラの力はとても強かった、おそらくこの国で一番最強だろう、間違いなく予言の者だと確信した。実はアークの予言には続きがある、この部分は時代とともに多く忘れ去られたが。『我、アークなり。お主の願いを叶えてやろう。人間に力を与えてやろう。来たり時に備えるのだ。秀でた力を持つものがこの国を救うだろう。』とレナに言ったあとアークはもう一言実はレナに言ったらしい。
『ただし、その者は力は強大だ。正しいものの導きがなければ破滅し世界を破壊するだろうと。』
ケニー・ハサン王の弟であったファル・ハサンの日記にそう示されているのだ。だから王族はこの予言の続きを知っている。
カイ王子の考えでもまるで読み取れるのか、スベンは話を続ける。
『アンダーワールドにも予言があるんだよ実は。いつか善にも悪にもなる力を持つ少女が現れる、そして悪の導きによってアンダーワールドの最強なリーダーとなると。どうやらその少女が重要人物みたいなんだ、アンダーワールドにとって。おそらくその少女はここに居るサラだね、だってこの子の力はアークの力とアンダーワールドの力で成り立っている、いわゆる善の力と悪の力を持ち合わせている。まあ、とにかく協力してくれるよね?』
カイ王子は考えた、父上ならどうするかと。うん、間違いなく協力する。
『わかった、ついてきてくれ。』
そうって三人は部屋を後にし、お城へと向かった。




