表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

カイルくんの三角関係(1)

「あーあ、どうすりゃ女にモテるのかなあ」

 入鹿いるかは、いつも下らないことばかり言っている。


 おれはこいつの親友だと思うが、こいつの下品で短絡的で即物的なところにはうんざりだ。

 おれの住み家までやってきて、またこれだ。おまえはそのことしか考えていないのか。


「口説き文句を洗練させればいいんじゃないか」

 おれは呆れながらも、こうアドバイスした。


「そうなんだけど、ぼくって口下手じゃん。そんなにうまいこと言えないし」

「じゃあ、あきらめろよ」


「ぼく、考えたんだけどさ」

「ああ?」

「やっぱり、経験値が少ないのが問題だと思うんだよな。だから緊張しちゃうし」

「それはそうだな」


「だから、カイル、ぼくの練習相手になってくれ!」

「ま、待て待て! 男と女じゃちがうだろうが。わけのわからないことを言うな!」

「ぼくのことが嫌いなのか?」

「そうじゃないが……」


「だったらいいだろ。ぼくたち、親友じゃないか」

「親友だけど、そんな……」

「だって! このままじゃ、ぼく、一生童貞じゃないか。カイルはこんなぼくをかわいそうに思わないのかよ」

「それはおれだって同じだ」


 おれにはまだ正式なパートナーがいない。そろそろ良い人を見つけたいと思っていたけれど。


「なあ、だからさ。お互い、なぐさめ合おうぜ。いいだろ」

 入鹿はおれに体をすりつけ、熱い欲望をぶつけてきた。おれを相手に、女にしてやりたいことを全部してくる。

 おれはそんな入鹿に触れられているうち、なんだかおかしな気分になってきた。

 そして、おれたちは熱い一夜を過ごした……。

 

「なあ、どうだ。なかなか良かっただろ」

 入鹿は得意げにいう。


「もう、こんなことはしないからな」

「どうして? おまえも良かったんだろ」

「練習はもうすんだだろ! 今度は女を相手にしろよ!」


「へっへー、ありがとな」

 入鹿は軽くいい、さっさとおれの家を出ていった。


 どうせ女の尻でも追いかけにいったのだろう。

 はっ、バカバカしい。腹が減っただけだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ