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スーパーチャットは突然に

ただの思いつきです。

 ある日俺に妹ができた。妹といっても同級生だが。そして俺の幼馴染でもある。俺の父さんの再婚相手の娘だった。


「これからよろしく...ってのもなんだかおかしいけどよろしくな、くるみ!」

「久しぶりに名前で呼ばれた気がする...へへ、これからよろしくね!」


 くるみは輝く笑顔で答えた。こんな笑顔をされたら理性が抑えられなくなっちまうぜ...

 俺は昔からくるみのことが好きだった。明るくて賢いし、何より一緒に居て楽しい。しかも、自慢じゃないがモデル並、いやそれ以上に可愛い。

 でも、こんなに全てが揃っているからこそ相手がいるなんて噂に信憑性が生まれる。

最近は話してなかったから事実確認もできていない。 そもそも聞く勇気など持ち合わせていない。

 ...はあ、でもくるみが幸せなら、オッケーです。

 


「ごめんな、父さんに合わせられなくって」

「こっちこそ母さんとまだあってないよね」

「まあ仕方ないか...あの2人すぐ新婚旅行出かけちゃったからなぁ...」


 俺の父さんとくるみの母さんは元々同じクラスだったから面識があったし、小さい頃から会っていたから仲も良かった。だからって結婚してすぐに旅行なんてするかな...。

 まあ俺の母さんもくるみの母さんに父さんのことを頼んでたし良いのかな?


「ふふ、郡とお父さんってそっくりだよね」

「俺と、父さんが似てる?鼻くらいしか思いつかないぞ」


 俺と父さんが似てるところと言えば鼻が似てるってよく親戚の集まりでいわれることくらいだ。


「見た目じゃないよー。なんていうか、決めたらすぐ行動しちゃうところとかそっくり」

「そうかな...?あんまりそういうこと気にしたことなかったな」


 こんな感じの会話をしたのは久しぶりだ。最近は色々と忙しかったからな...


「そういえばくるみと郡ってもう家族、なんだよね」

「お、おう...。そうだな」

「郡の名字が雨宮だから、くるみは雨宮くるみになるのか...」


 くるみがちょっと真面目な顔になった。


「いきなりどうしたんだ...?」

「...なんか、変な感じだなーって」

「...それは、俺と家族になるのが嫌ってことか?

それとも名前が合わないってことか?」


 久しぶりにガーンときた気がする。こ、こいつは俺の心を弄んでいるのか...?なんてやつだ...

 だが、すぐさまくるみが割って入る。


「両方とも違うよ!...もう、なんでそうなるのさ!...私は、嬉しかったんだよ?」

「え?嬉しかった...?」

「そうだよ!郡と家族になれるなんてこんなに嬉しいことなんかないよ!」


 俺は一瞬理解が追いつかなかった。くるみが、俺と家族になれて嬉しいって?そ、それってつまり...

 俺は自分の顔が段々と紅潮していくのを感じていた。


「...郡?どうしたの?いきなりそっぽ向いちゃって」

「い、いや...何でもない」

「何でもない...?そんなわけないじゃーん」


 くるみが近寄ってくる。くっ!俺の好みは小さい体型の娘だ。

 俺よりも身長の低いくるみは見事に俺の心にクリーンヒットする。...これはまずい。俺のマグナムまで発動しちまう!

 俺は寄ってくる、くるみから逃げるように顔を背ける。


「ねえ、郡ってばー。なんでそっぽ向くの?...あー!わかった!」

「さては私と家族になったから恥ずかしいんでしょ」

「ち、違うよ!」

「そんなこと言ったってー、ほら顔真っ赤だよ?」


 くるみがニヤけながら近づいてきた。くっ...こんなときどうすれば...

 そうだ!


「あっ、くるみ!危ない!ハチがいる!」

「えっ!?ハチ?どこ?に、逃げなきゃ!」


 足をバタつかせながらくるみは一目散に奥の方へと逃げていった。

 ...ふう、危なかったぜ...。

 対くるみ用戦術、名付けて「ハチいましたよ砲」は見事に成功に終わった。

 これが長年くるみといた経験から編み出した究極奥義である。

 こうなればくるみは5時間ほどは部屋から出てこない。危なかったぜ...。

 とりあえず、風呂にでも入って頭を休めるか...。

今は17時だし、ちょうどいいタイミングだ。


 風呂からでたあと、一度体を拭き、もう一度風呂場に入る。そして涼しいドライヤーで体全体を乾かす。この瞬間が1番気持ちいい。


「おお...」


 いつもならこうなるはずだった。だが、今日は違った。俺がいつものようにドライヤーをあそこに向け、感じていると、風呂場のドアが開いた。...あ。

 みなの予想通りそこにいたのは何も身につけていないくるみだった。

 そしてそのまま互いに目が合った。

 だが、俺はこの一瞬で失っていた我を取り戻し、すぐさま目を背けることに成功。

 くるみの裸体処女は守られたのであった。

 ...もしかしたらもう失っているのかもしれないとちょっとだけ思ったが、知らないふりをした。


 案の定くるみは顔を真っ赤にし、すぐさま扉を閉めた。...俺のあれ見られたのかな...。

 もしかしたらくるみは勘違いをしているのかもしれない。俺は決してそんな不埒なことはしてないぞ!と声を高らかにして言うべく風呂場のドアを開けた。

 するとまだ服を着れていなかったくるみを見てしまった。...俺は処女を奪ってしまったのである。

 これのせいで元々真っ赤だったくるみの顔はさらに赤くなり今にも溶岩が溢れ出しそうだった。

 ああ、そうか。好きなやつの裸はこんなにも背徳感があるんだなぁ。良い色だし、やわらかそうだし...

 ハッ!見惚れている場合じゃない!どうにか弁解しなければ...


「あ、あの...くるみ、さん?ちょっと話を」

「え、えっち!変態、ドスケベ!死刑死刑!」


 くるみは横に置いてあったタオルで体を隠し俺に罵声を浴びせてきた。...なるほど、これがMってやつか...。いやいや、今はそんな話をしてる場合じゃない。弁解しないと...

 そう思っていると、くるみが更に顔を赤らめ、顔を伏せる。


「...け、けだもの!そ、そんなもの見せないでよ!私だって、学校の授業で習ったんだから!」

「そんな、もの?...あっ!」


 ...やってしまった。ついに。俺のマグナムがいつの間にか起動している...。

 まあ、えっちだったもんね、仕方ないよ、これは。


「だ、誰のがえっちなのよ!見ないで!早く出ていって!」


 そう言われ、くるみに押されて風呂場から出された。...今のふにっとした感触は。


「あの、くるみさん?俺の着替えとって欲しいんだけど...わふっ!」


 ドアから着替えが投げ込まれた。...乱暴だなぁ。

 とりあえず部屋に戻るか...

 くるみのブツやわらかかったなぁ...。いや、俺は何を考えているんだ!あいつは妹だぞ。設定上だけど。そんな、妹に欲情するやつがいるか!いたんだけど。

 よし、気持ちを切り替えよう!これからは楽しい楽しいお一人タイムだぞ!

 それに、これから推しの超おたのしみ配信が始まるしね!!


 俺はウッキウキで部屋に戻った。

 そう、今日は俺の推しVtuber「胡桃餅(くるみもち)クルミ」の1周年記念ライブがあるのだ。

 自慢じゃないが俺はこの日のために数少ないクルミグッズを友達に頼んで準備してきたのだ。


 クルミは他の配信者と比べると、視聴者数はとても少ない。なにしろ会社経由じゃなくて個人で活動しているからだ。

 だから、多くても同時接続者数3000人が限界だ。

 つまり、グッズ展開も少ない。BOOZUなどの通販サイトで非公式に売られているものの方が多いくらいだ。だが、それでも種類が少ない。

 だから、現役イラストレーターの友達に頼んでタオルやぬいぐるみなどを作ってもらったのだ。意外に器用なやつだった。おかげで今月のお小遣い4分の3くらい使っちゃったよ...。

 でもそれほどの、いやそれ以上の価値がある。それほどまでに繊細なできだった。


「そろそろ配信の時間か...。エナドリを持ってこないと...」


 俺は配信のときは常にエナドリを用意している。配信の途中で寝落ちしてしまわないように。朝までかかることもあるからな!

 1周年ライブは20時から始まるからまだ余裕あるな...

 1階のキッチンにつき冷蔵庫に向かっていると、風呂から出たばかりのくるみとあった。

 風呂上がりで火照った体にシャンプーや石鹸の良い匂い。これはたまりませんな。

 でもこのタイミングは気まずいっすよ...。

 まあ無視するわけにもいかず。


「ふ、風呂の湯加減はどう、だった?」

「...ふん」


 くるみはこっちを見ることすらしてくれない。...これは完全に終わったな...。謝って許して貰うしかない。


「ごめん!さっきのは見ようと思ってみたわけじゃないし、見せようとも思ってなかったんだ!不可抗力ってやつだよ!」

「...はあ、そんなことわかってるよ。郡はそんなこと...するけど、でもそういうのはちゃんとしてるってのは私が1番わかってる。」

「じゃあ何に対して、そんなに言ってらっしゃるのですか?」

「...小ちゃいのが、昔からコンプレックスなの」

「胸がか?」

「全体的に!もう、思想がアブナイ...」

「なんだそんなことか」


 俺はははっと笑って言ってやる。さっさと言ってくれればよかったのに。


「そ、そんなことって、なに?...結構問題視してるんだけど」

「もっと早くに言ってくれれば良かったのに」

「...だって恥ずかしいじゃん」

「俺は小さいくるみの方が好きだよ」


 くるみの方を見つつ、顔が紅潮しないように必死に耐える。いつの拷問だよこれ...


「...えっち。どこみて言ってんのよ...」

「バレてましたか」

「はあ、当たり前。何年一緒にいると思ってんの?見る場所くらいわかってるっての。でも、ありがと。おかげでちょっと自信持てた。」

「それはよかった。じゃそろそろ予定あるから行くね」

「予定って?」

「言ってなかったっけ?今日俺の推しの配信があるんだよ。」

「推し、の配信...」

「そう、推しの配信。くるみも一緒に見る?一昨年とか一緒にテレビ見てたじゃん。あんな感じ」

「...あ、え?い、いや今日はちょっと遠慮しとこうかな...」


 くるみはいかにも動揺しているような悲しんでるようなそんな感じがした。


「...そっか。じゃあ今度一緒に見ような。是非とも彼女の魅力を知ってもらいたい。」

「か、かの...!?」

「ん?どうした?」

「い、いや何でもないよ。配信楽しんできて」

「...よくわからないけど、まいいか。じゃあまた明日な」

「うん、おやすみ」


 おお...まさかくるみに「おやすみ」なんて言われる日が来るなんて...。おじさんは嬉しいぞ。

 俺がエナドリを持って階段を登ろうとしたとき、声が聞こえた。


「あ、ちょっと待って」

「くるみ?どうしたの」

「ちゅっ」

「...え?」


 俺は何が起きたか理解できなかった。

 俺はく、くるみに...キスされた...?


「へへ...。一回やってみたかったんだ。...もうくるみたちは家族でしょ?なら...大丈夫、だよね?」

「...お、おう。」


 俺はその場に立ち尽くしていた。多分顔も真っ赤だっただろう。...こんな、こんな夢のようなことがあっていいのか?い、いやでもくるみには相手がいるって噂だし...。


「ほら、そろそろ配信始まるんでしょ?早く行きなよ!」

「あ、ああそうだ。そうだった!...よし!今度こそ、おやすみ。くるみ。」

「おやすみ」


 俺は急いで自分の部屋へと戻る。

 ...くるみが俺とき、きす...。

 もっと意識向けておけばよかった...


「はああああ...。無念。」

「いや、もう悔いてる時間はない。配信に遅れてしまう。」


 俺は急いで配信枠を開く。よかった。まだ始まってないみたいだ。今日は...同接2700人!よしよし。最近順調に増えてきてるな。我が子のように嬉しいぜ。

 そんな感慨にふけっていると配信が始まった。


『あ、あー、あ!...聞こえてるかな? こんくるみー!今日もクルミの楽しい一時始まるよー!』


 ああっ!始まった!いつも通りの挨拶可愛すぎる...。早速スーパーチャットだ。


『あ!こおりんさん!早速スーパーチャットありがとうございます!えー、「1周年おめでとうございます!配信活動初期から見ているのでとても感慨深いものがあり、我が子のように感じます。グッズ展開広げてほしいなー」と。』


 お、早速読んでくれたぞ。1番初めに送るスパチャは俺っていうテンプレートがすでにできあがっていたッ!モールス信号打つみてえにな...。


『こおりんさんはねーほんとに初期からいてくれてる方で配信にも毎回きてくれてるんですよね。こおりんさんがいなければここまで続けることができなかったと思いますよ。改めて私の方からも今後ともよろしくお願いします。』


 に、認知してくれていた...だとッ!?なんて、なんて嬉しいんだ...。俺、生きてて良かった!これこそ俺へのスーパーチャットじゃあないか...


『でね、グッズ展開なんですけど。なんと明日から、次に来るVtuber大賞っていうものが開催されまして。これで1位を取るとですね。あのラヴ&クラフトさんと共同で!グッズを作ることができる権利を得ることができるんです!』


 おお、コメント欄も盛り上がってるな。

 ラヴクラといえばフィギュアだよね。やっぱり。レベルの高い合格点を越えたグッズをオールウェイズ出してくれる。ラヴクラ最高!

 

『よし!それじゃあ告知も終わったことだし、余興もいい頃合いでしょう!みなさん、グラス、缶、コップはお持ちですか?いきますよ、せーの...1周年おめでとーーー!!かんぱーーい!!』


 おめでとおおおおおおおおおおお!!

 愛してるぞ!!


『ふふ、こおりんさん「愛してるぞ!」って。喜んでいいのか悪いのやら...。トマトさん「この日のために断水してた」。ふっ...っくっくっく...断、水...ふふあ。す、水分補給は...こ、こまめにするんだよ...っふ』


 断水する猛者まで現れるとは...。まだまだ侮れん...。


『はー面白い...ふっ、断水て...。ふう、よし。落ち着いてきた頃だし、新企画始めちゃおうかな。みんなー、何だと思う?』


 新企画...ギネス記録取ってみたとかRTAで世界1位とってみた...とかか?


『こおりんさん「ギネス記録、RTA」って...ふふっ、TAFさんのRTAじゃないんだから...くっ...。ふ、「ホロプロダクション爆破」やめなさい、ふっ...く、ほ、本社爆破はダメでしょ、はははっ』


 本社爆破は思いつかなかったなー。楽しそうでなによりだ。


『はーい時間切れー。新企画はねえ、ジャン!胡桃餅クルミが歌ってみたー!ってことでね。はいこれ、歌ってみたとか前からやってみたかったんだよねー。こう見えてもクルミってまだ10代だから歌うこととか好きなんだよね』


 歌ってみたかあ。クルミの声かわいいから歌下手でも萌えそう。...そういえばくるみの声も結構可愛かったな。今度カラオケにでも誘ってみるかな。


『しかもー、今回のために結構お高いマイクも買ったんだよー。いつもより音質いいでしょ?これで歌ったら気持ちいだろうなー。早く歌いたい!』


 たしかに普段よりさらに可愛く聞こえる気がする。

 それに音の粒もはっきりしてる。マイクが違うだけでこんなにも変わるんだな。


『よし、それじゃあリクエストにも答えて行くよー!

まずはこれ、クルミの持ち歌行きます。グッドクランプのストラトキャスター・ジーガール!』


 ストジーは良い曲!俺も凄い好きだ。やっぱりクルミと俺の心は繋がってる...?


『僕の気持ちを受け取ってー♪...どう?クルミの歌どうだった?カラオケでいっつも96点取れるんだー。

えーっと?「76点」76点かー...76点!?誰だこんなの言ったのはー。フラグさん?ふっふっふクルミを敵に回したな...。地の果てまで追い回してくるみ割り器で割るぞ!』


 うっ...まずい、さっきのくるみの裸で欲情しちゃったのとエナドリのせいで...。くうう...。いくしかないか...


 俺は走って階段を降り、すぐさまトイレへと向かった。

 

「ふう...危なかったぜ...一発抜いておくべきだったか...。今度くるみに頼んでみようっとそんなこと言ってる場合じゃない!」


 俺は急いで2階へあがった。すると俺の部屋とは反対側から音が聞こえてきた。しかもよく聞き慣れた声だ。


[クルミの持ち歌はねー他にも結構あるんだよー?]

 

 ...ん?どういうことだ?ここはくるみの部屋、つまり妹の部屋なのだが...中からクルミの声が聞こえる。

 もしかしてくるみもクルミの配信をみてるのか?

 だが、聞いている感じ、見ているわけではなさそうだ。となれば考えられることは一つ。


「くるみはクルミだったのか...?」



次回続くかな?

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