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第8話 エレナ・ドゥマレーシュのお茶会


 ある晴れた日、公爵令嬢エレナ・ドゥマレーシュの家は華やかに飾りつけられ、美しい庭園がお茶会の会場として準備された。リリアは美しいドレスに身を包み、友人たちと共にエレナの家を訪れた。


 

 なぜリリアがこのような場所にいるのかと言うと、それは一通の招待状のせいであった。


 お披露目会も終わり、毎日マナーや経済、文化を学んで過ごすこと1年半ほど、リリアは14歳の誕生日を迎えた。


 しかし、今回はリリアの誕生日会ではなく、リリアの友人であるエレナのお茶会に招待されていた。


「皆様、お越しいただきありがとう。歓迎しますわ」


 エレナはリリアたちを温かく迎え、庭園でのお茶会が始まった。美しいティーセットが並び、香り高い紅茶やお菓子が供され、庭園の花々が彩りを添えた。会話と笑顔が交わされ、和やかな雰囲気が広がっていた。


 そうだったわ。エレナはよくお茶会を開いていた。私もエレナの友人として招待される事があったのに、すっかり忘れていたわ。


 彼女はマナーのなっていない私を笑いものにしていた。それも、自分は何も悪いことをしていないかのように……。


「リリア、ティーカップを持つ時は傾けずに飲むのよ。私たちは友人だから良いけれど、他の場所では気をつけてね」


「まあ、エレナ様はお優しいわ。最初に習うカップの持ち方まで教えて差し上げるなんて」


「そうよねぇ、このような方を招待するとはエレナ様は寛大だわ」


 ご令嬢たちはリリアを見てクスクスと嘲笑っていた。


――――――


 けれど、そのような事はもう起こらないはずよ!私は過去に戻ってから約2年、マナーも他のことも力を入れて学んできたわ。

 今回の人生では、あのような悲惨な最後を遂げないため、何事も完璧なリリア・ヴァンダーヘイデンとなるのよ。


 静かな中庭で行われたお茶会のテーブルに、リリアは優雅に座っていた。彼女の前には美しい陶磁器のティーカップが置かれ、香り高い紅茶が注がれていた。紅茶の蒸気が軽やかに立ち昇り、陽光の中で美しい色合いを放っていた。


 リリアはティーカップを持ち上げ、しっかりと持ち手に触れることで優雅さをアピールした。

 

 「持ち手に指は通さず、中指を添える。そうするとカップが安定します」


 アンのマナー教室で何度練習したことか。意外と手の筋肉を使うのよ、これ。

 

 ティーカップを唇に近づけ、ゆっくりと一口を飲み込んだ。その瞬間、彼女の目は微かに閉じられ、美味しさを感じる様子が伺えた。


「うん、とっても美味しいです」


 彼女は口を拭うことなく、上品にティーカップを戻した。その手つきは自信に満ちており、彼女がマナーを習得したことが伺えた。周囲の令嬢たちも彼女の美しい紅茶の飲み方に注目し、驚きと称賛の表情を浮かべた。


「紅茶、気に入ってくれたようで嬉しいわ。ドゥマレーシュ家ではこの紅茶を毎年仕入れているのよ。何処の紅茶か分かるかしら?」


 エレナの目には、答えられないでしょうけどと書いてあった。


「ヴァレンティア・ブルームかしら。華やかな香りと濃厚な味わいがするわ。こんな貴重な紅茶をいただけるなんて、ありがたいわ」


「そうよ、よく分かったわね。ヴァレンティア地方で今の時期にしか収穫出来ないのよ」


 エレナはリリアが答えられたことに内心驚いていたが、表に出さないよう努めた。

 

 少し表情が固いけれど、何事も無いかのように振る舞えるのは、腐っても公爵家ね。リリアはエレナを見てそう思った。


「さすが公爵家ですわね」


「それを答えられたリリア様も素晴らしいわ」


 他の令嬢たちはエレナとリリアを賞賛した。


 昔、私を馬鹿にしたこともう忘れたのかしら?

 リリアは笑顔を浮かべながら、リリアを褒める令嬢たちに冷めた気持ちを向けた。

 けれど、こういう人たちを操る方法はなんとなく分かった。お茶会は嫌だったけれど、良い収穫ができたわ。

 

 リリアは微笑みながら、お茶会を楽しむ中で自分の成長を感じた。

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