表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

第6話 お披露目会


 伯爵の提案により、リリアのお披露目会が開催された。このパーティーは、伯爵家の社交界における影響力を示す一方で、リリアが変化し成長していることを他の貴族たちに知らせる機会でもあった。


「お嬢様、行きましょうか」


「ええ」


 華やかなホールは、美しい装飾や華麗な燭台で飾られ、リリアのお披露目を祝う雰囲気に包まれていた。招待客たちは豪華なドレスやタキシードを身にまとい、ダンスフロアでは楽しい音楽が鳴り響き、菓子のテーブルでは美味しい料理が供されていた。


「主役のリリア様はまだなのか」


「少し遅い気がしますね」


 招待客たちはリリアの到着を心待ちにしていた。それは、良くない噂の多いリリアが、最近になり大人しくなったという話を確かめたい気持ちからだった。


 ホールの一角にある扉がゆっくりと開いた。その瞬間、招待客たちは静かになり、注目の的となりそうな何かが訪れることを感じた。


 扉の向こうから、リリアが優雅に現れた。彼女は髪を上品にまとめ、美しいピンク色のドレスに身を包んでいた。そのドレスは彼女の優美な肌に映え、幼さを残した美しさを一層引き立てていた。


 リリアはホールに足を踏み入れると、静寂が一瞬にしてため息に変わった。


「遅くなり申し訳ないですわ。慣れないドレスに緊張してしまって」


 彼女は顔を上げ、笑顔で招待客たちに微笑みかけた。その瞬間、リリアの存在がこのパーティーの輝きとなり、誰もが彼女の可愛らしさと気品に魅了された。


「皆様、本日はお越しいただき誠にありがとうございます。是非、楽しんでいってください」


 リリアは学んだ言葉遣いやカーテシーを存分に発揮し、挨拶を行った。リリアが下手な挨拶を見せるだろうと、嘲笑する準備をしていた招待客たちは驚きの表情をあらわにした。


「本日は私の娘、リリアのお披露目会に来てくださり感謝申し上げます。良い時間となるよう趣向を凝らしました。今日は存分に楽しんでください」


 伯爵も招待客に向け挨拶をした。それを合図としてリリアのお披露目会は開始された。


「リリア様、本日はおめでとうございます!」


「まあ、皆様来てくださったのですね。ありがとうございます!」


「リリア様のお披露目会ですもの!もちろんです」


 アンの紹介でお友達となったお嬢様たちもこのお披露目会に参加していた。


 昔の私では考えられないわね……。リリアは過去の悪女リリアであった頃を思い起こし、頭が痛くなった。


「リリア様?具合が悪いのですか?」


 頭を押さえるリリアを見て、心配した人々が声を掛けた。


「いえ、大丈夫です。少し人に酔ってしまって。ご心配ありがとうございます」


「ご無理なさらずにね!」


「心配だわ」


 ふふっ、こんなに心配してもらえるなんて初めてだわ。今はこの時間を大切にしましょう。悪女のリリアはもう終わりなのだから。


「リリア!おめでとうございます!」


「アン!ありがとうございます!来てくれてとても嬉しいわ」


 リリアはアンに抱きついた。


「リリア、今日は許すけれど、挨拶を忘れずにね」


 アンに言われ、リリアはすぐさま挨拶をした。


「本日は来ていただき誠にありがとうございます。ごめんなさい、アンの顔を見たら安心してしまって……」


「もう!リリアは可愛いんだから!本当はすごく嬉しかったです!」


 アンは再度リリアに抱きついた。


「リリア様は非常に可愛らしいですね」


「誰があのような噂を流したのか……」


 それを見ていた招待客が口々に言った。

 

 リリアは、アンから学んだマナーや社交術を発揮し、招待客たちと円滑にコミュニケーションをとった。彼女は自信を持ち、笑顔で人々と会話し、その美しさと知識を兼ね備えた存在として、多くの人々の注目を浴びた。


 伯爵はリリアの成長を誇りに思い、彼女の一歩一歩の変化を感じていた。そして、このパーティーは彼女の新たな人生の始まりを象徴するものであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ